今回はフラット35の団体信用生命保険、略して「団信」について、いえーる 住宅ローンの窓口 ONLINEを運営するiYell株式会社の代表取締役兼CEOであり、日本一住宅ローンに詳しいと自負する「住宅ローン博士」の窪田 光洋に解説してもらいました。
フラット35の団信は保障内容が充実しているので、団信の加入に迷われている方は参考にしてください。
- そもそも団信とは
- 新しくなったフラット35の保障内容
- 民間金融機関の団信と比べてどうなのか
- 既に保険に入っている場合はどうしたらいいのか
- 返済額を下げるなら借入額を見直そう
- フラット35の団信はかならずチェックしてください
そもそも団信とは
団信とはローン返済中、借り手に万が一のことがあって返済ができなくなった場合、生命保険会社が残りのローンを金融機関に支払う保険です。
これにより残された家族は、住宅ローンの負担がゼロになるメリットがあります。
ただし、保障内容はそれぞれなので、ちゃんと事前確認する必要はありますよ。
新しくなったフラット35の保障内容
フラット35とは住宅金融支援機構が手がける住宅ローン商品です。
2017年10月に、フラット35の団体信用生命保険(団信)付きのローンの保障内容が変更されました。
今回の改正では、次の3つがポイントです。
1. 団信約料が金利に含まれ、総額が安くなる可能性も
これまでフラット35には、団信特約料が金利に含まれていませんでした。
そのため、年に1度はその分の資金を事前に準備したり、時期が近づいたら引き落とし口座に資金を移動させたりする必要があったのです。新しい団信で金利に特約料が含まれるようになると、このデメリットが解消されます。
【返済費用の目安】
借入額3,000万円、35年ローン(ボーナス返済なし)、元利均等返済の場合。
ローンの総支払額 | 団信特約料の総支払額 | 総支払額合計 | |
---|---|---|---|
現在 | 約3,628万円 | 約204万円 | 約3,832万円 |
新制度 | 約3,797万円 | 金利上乗せ | 約3,797万円 | 約35万円お得! |
※現在の金利:1.12%、新制度金利:1.4%、1人で加入する場合を想定。
※新制度の借入金利は、現在の借入金利と同一条件で新制度とした場合の試算で、団信加入に必要な費用を含む。
※融資事務手数料、物件検査費用、火災保険等を含まない。
2. 保障範囲が新しくなった
二点目は保障範囲の変更です。
今までは「死亡」と「高度障害」が保障範囲でした。
しかし、変更により「死亡」と「身体障害保障」になりました。
でも、高度障害と身体障害はどう違うんですか?
・両眼の視力を全く永久に失ったもの
・言語またはそしゃくの機能を全く永久に失ったもの
・中枢神経系・精神または胸腹部臓器に著しい障害を残し、終身常に介護を要するもの
・両上肢とも手関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの
・両下肢とも足関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの
・1上肢を手関節以上で失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったか、またはその用を全く永久に失ったもの
・1上肢の用を全く永久に失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったもの
「身体障害」の支払い要件が障害等級1級、2級に該当する障害になり、「身体障害者手帳」が必要です。
また「身体障害」になったことで、新たに追加となる保障もあります。
たとえば、心臓ペースメーカーを埋め込んでいたり、人工透析を受けていたりするなど、日常生活が極度に制限される障害が1級の状態が該当します。
3. 3大疾病付き保障内容も充実
介護保障が追加されたこと、そして「高度障害」から「身体障害保障」に変更されたことです。
認定基準は、公的介護制度で定められた基準に該当するかどうかで判断されます。
新しいフラット35の3大疾病付き保障は「介護保障」も追加されます。
「介護保障」とは、要介護状態になり、介護認定で「要介護2」以上と判定された場合などが対象。
新たな「3大疾病付機構団信」の金利は「フラット35一般団信の金利+0.24%」で、「フラット35借入金利+0.52%%」です。
民間金融機関の団信と比べてどうなのか
団信には加入が必須
団信に加入するかどうかを選択できるのは、フラット35だけと考えて大丈夫です。
保障内容はそれぞれ
民間金融機関の住宅ローンの保障内容は幅広くあります。
例えば楽天銀行では、3大疾病に加えて5つの重度慢性疾患を保障対象にしている商品もあります。
ただし、その代わりに支払う“お金”に上乗せされていることを忘れないでくださいね。
既に保険に入っている場合はどうしたらいいのか?
見直しの結果、団信と生命保険の両方に加入する選択肢もあるでしょう。
返済額を下げるなら借入額を見直そう
少しでも金利を下げ、毎月の返済額を低くおさえるために、あえて保険や団信に入らない方もいらっしゃいます。
最終的にどう判断し、決断されるかは個々人の自由です。実際、返済期間に万が一のことがなければムダなお金を支払ったことなるからです。
私個人としては団信に加入することをオススメしますが、団信不加入を検討している方は、どういうリスクがあるか想定してから決断してください。
フラット35の基本から気になる情報までまるっと知りたい方は、こちらの記事も合わせて読んでみましょう。
フラット35の団信はかならずチェックしてください
保障内容が新しくなったフラット35の団信についての解説、いかがでしたでしょうか。
フラット35を検討される方は、最長35年の長期返済になると思います。その間に万が一のことが発生する可能性はあります。ぜひ、しっかりと検討してみてください。
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