住宅ローンを組む際に検討することの一つにフラット35があります。
これは住宅金融支援機構と、取り扱い先の民間金融機関が共同で提供されている長期固定金利の住宅ローンのことです。
従来は「買取型」が主流でしたが、「保証型」を提供する金融機関が増えてきています。
この記事ではこの両者の違いや取扱金融機関について解説していきます。
- フラット35の保証型ってなに?買取型との違いは?
- フラット35(保証型)のメリットデメリット
- フラット35(保証型)は借り換えにおすすめ!
- フラット35(保証型)の取り扱い金融機関
- フラット35(保証型)を金融機関別に徹底比較
- まとめ
フラット35の保証型ってなに?買取型との違いは?
フラット35の保証型と買取型の違いは、大きく分けて以下の3つです。
- 担保(抵当)権の設定
- 取扱金融機関の数
- 団信
それぞれ説明していきます。
担保(抵当権)の設定
最も大きな違いといっても過言ではないのが、担保に関する違いです。
買取型は「借入対象となる住宅およびその敷地に住宅金融支援機構を抵当権者とする第1順位の抵当権を設定」と決まっています。
それに対して保証型の場合「借入対象となる住宅およびその敷地に金融機関を抵当権者とする第1順位の抵当権を設定」となっているのです。
つまり、債権を持っている方が抵当権第一順位に設定されるため、買取型は住宅金融支援機構、保証型は取扱金融機関ということになります。
そもそも「買取型」「保証型」という名称の理由にもなっていますが、金融機関でフラット35を借り入れ、その債権を住宅金融支援機構が買い取るものは「買取型」、取扱金融機関が債権を持ち、その債権を住宅金融支援機構が保証するものが「保証型」ということになります!
取り扱い金融機関の数
一般的に「フラット35」が買取型のことを指していることからもわかるように、買取型は保証型に比べて圧倒的に取り扱っている金融機関が多いです。
具体的には2021年2月現在だと買取型の取扱金融機関は321機関、保証型はわずか11機関となっています。
また詳細は後述しますが、保証型の新規受付を行っているのは8機関のみでさらに少なくなっています。
担保の設定でも説明しましたが、保証型では債権が金融機関にあり、完済できなかった場合に住宅金融支援機構からは保証金を受け取るのみとなり、保証型取り扱い金融機関はリスクを背負うこととなるため、多くの金融機関では取り扱いをしていないのです。
団信
実は同じフラット35でも買取型と保証型では、加入できる団体信用生命保険(=団信)が異なります。
買取型では、住宅金融支援機構が提供する新機構団体信用生命保険制度を利用することが可能です。
それに対して、保証型では各金融機関が提供する団信を利用することになります。
上乗せ金利や取扱団信種類や保障範囲、加入年齢などが金融機関により異なりますので、よく確認しておく必要があります。
フラット35(保証型)のメリットデメリット
フラット35の保証型にはいったいどんなメリットやデメリットがあるのでしょうか。
メリットとデメリットをそれぞれ詳しく追っていきましょう。
メリット
保証型は取扱金融機関による商品の自由度が高く、それぞれの金融機関が団信や融資手数料等を自由に決めることができます。
特に注目すべきは金利です!
保証型は取扱金融機関が金利を設定できるため、買取型に比べ金利が低くなることが多いのです。
住宅ローンは35年など長い期間で組む人が多いので、借入期間中に低い金利がずっと続くのは非常に大きなメリットですね。
デメリット
保証型は取扱金融機関にとってはリスクを負うことになるため、新規借り入れ時に物件購入金額全額の融資はできず、ある程度の自己資金が必要になったり返済比率など融資条件が厳しい点はデメリットといえます。
融資条件が厳しいことで金利が下がっているという一面もあり、メリットと表裏の関係です。
しかし、資金力がない人が保証型を利用するためには、無理をしてでも頭金を入れなくてはいけません。
住宅購入は、住宅ローンの融資を受けた後も家具や家電の購入など、出費がかさむ傾向にあるため、無理に頭金を入れるのは非常にリスクが高いのではないでしょうか。
初めて住宅ローンを組む際にフラット35を選択する場合は、金利の低さだけで決めずに、慎重に考える必要があります。
フラット35(保証型)は借り換えにおすすめ!
理由はのちに述べますが、フラット35の保証型は借換におすすめです!
そもそも住宅ローンの「借り換え」とは、返済中の住宅ローンを一括返済して、新たな住宅ローンを組み直すことをいいます。
住宅ローンは空前の超低金利時代のため、10年前に最低金利の水準で借り入れたとしても、現在のほうが金利が低いことも珍しくありません!
そのような場合、借り換えをすることで低い金利に乗り換えられ、総返済額が大きく軽減できる可能性があります。
さて、ではなぜフラット35の保証型は借り換えにおすすめなのでしょうか?
確かにフラット35の保証型は条件が厳しい場合もありますが、買取型よりも低い金利を享受することができるからです。
借り換え時に諸費用はかかるものの、新規で借り入れする際に大きな金額を用意しなくてはいけなかった自己資金(頭金)が不要である金融機関もあるので、借り入れ時に保証型を選べなかった人も視野に入れられるかもしれません。
保証型を利用する際は自分も利用できるのか諸条件をよく確認する必要はあります。
しかし金利が低い現在だからこそ、固定金利でさらに低金利であるフラット35の保証型のニーズが高まっており、それに伴い保証型を取り扱う金融機関が増えてきました。
往来のフラット35よりも団信が充実している商品が増えていますので、借り換えのタイミングで団信の見直しもおすすめです!
フラット35(保証型)の取り扱い金融機関
2021年2月現在、フラット35の保証型を取り扱っている金融機関は11機関ですが、新規受け付けをしているのは以下の8機関になります。
- 日本住宅ローン
- アルヒ
- 財形住宅金融
- 広島銀行
- クレディセゾン
- 住信SBIネット銀行
- 愛媛銀行
- 日本モーゲージサービス
日本モーゲージサービスは2021年2月15日から新たに保証型の取り扱いを開始しました!
実は上でも触れましたが保証型取扱金融機関も少しずつ増えており、さらに保証型の商品自体の種類も増えているのです。
保証型ニーズの高まりに応じて供給側も多様化し始めています。
フラット35(保証型)を金融機関別に徹底比較
では、保証型のフラット35を取り扱っている借り換え可能な金融機関をそれぞれ比較していきましょう。
特に借り換え金利、融資(事務)手数料、団信の種類をピックアップして表にしています。
金利 | 融資手数料 事務手数料 |
団信種類 | |
日本住宅ローン MCJフラット“極”30借換タイプ |
年1.27% |
※それぞれ必要 |
|
アルヒ ARUHIスーパーフラット借換 |
年1.040% |
|
|
財形住宅金融 フラット35エース(借換え) |
or
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|
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広島銀行 〈ひろぎん〉住宅ローンフラット35(保証型) |
年1.25% | 融資金額の2.2%(税込) |
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クレディセゾン セゾンのフラット35(保証型)借換え |
年1.04% | 融資金額の2.2%(税込) ※最低手数料22万円(税込) |
|
住信SBIネット銀行 【フラット35】(保証型) |
年1.29% | 融資金額の2.2%(税込) ※最低手数料11万円(税込) |
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愛媛銀行 | 年1.22% | 融資金額の2.2%(税込) |
|
日本モーゲージサービス MSJフラット35(保証型) |
年1.27% | 融資金額の2.15%(税込) ※最低手数料:16万5,000円(税込) |
|
※2021年4月現在
※金利は一般団信加入
それぞれの金融機関の保証型の特徴を説明してきますね。
日本住宅ローン
実は日本住宅ローンの保証型はだれもが選べるわけではありません。
日本住宅ローンが提携している大手ハウスメーカーから住宅を購入する場合のみ、利用ができます。
2021年2月現在では以下4社と提携しています。
- 積水ハウス
- 大和ハウス工業
- 住友林業
- セキスイハイム
商品の一番の特徴としては、全疾病特約が無料でついてくる点ではないでしょうか。
死亡や高度障害になった場合以外にも、病気やケガで所定の就業不能状態が15日を超えた場合は毎月の返済金額を保障してくれる上、さらにその状態が1年以上となった場合には残高が0円になります。
通常金利上乗せで付けるレベルの保障ですが、そもそも日本住宅ローンの借り換えを利用する条件にこの団信加入が入っているのです。
つまり所定のハウスメーカーから住宅を購入し、さらに申込時の年齢が全疾病特約付団信の加入年齢である51歳未満で、健康上問題のない方のみ利用できるということです。
間口が非常に狭くはなりますが、全疾病特約の無料付帯は魅力的であるといえますので、条件に当てはまる方は検討してみてはいかがでしょうか。
アルヒ
アルヒの保証型は、WEBからの借り換え申込で事務手数料が1.1%(税込)になります!
事務手数料は2%が一般的です。
借り換え金額が3,000万円の場合は、2%だと60万円、1%だと30万円ですから結構大きいですよね。
WEBから申込ができる人には非常におすすめです。
また、団信種類も豊富であり、特にがん団信(がん50%保障プラン)は金利上乗せがたった0.05%ですので、軽い負担で2人に1人がなると言われているがんに備えられると思うと付けておくと安心ですね。
財形住宅金融
財形住宅金融の保証型は他と大きな違いがあり、融資手数料の支払い方を以下2つから選ぶことができます。
- 手数料定率型
- 手数料定額型
融資手数料の支払いだけでなく、金利も異なることから、どちらが自分にとって良いのかよく確認しましょう。
手数料定率型は毎月の返済金額を抑えたい方、手数料定額型は初期費用を抑えたい方におすすめです。
今後更なる借り換えを視野に入れている方は、手数料定額型で初期費用を抑えておくほうがいいかもしれませんね。
広島銀行
広島銀行は、西日本の地方銀行の中でフラット35の実行件数が1位(2014年~2017年の累計)になるほどフラット35の利用が高い地方銀行で、はやくから保証型の取扱いをしています。
広島銀行では買取型の場合は、手数料定額タイプと手数料定率タイプの2タイプありますが、保証型の場合は手数料は定率タイプで2.2%(税込)となっているので注意が必要です。
また<ひろぎん>フリーミックスプランを利用することで、固定金利のフラット35と変動金利のローンを組み合わせることが可能です。
現在は変動金利のほうが低いですが、今後金利が上がるリスクもあるため、固定金利と組み合わせられるのは便利ですね。
クレディセゾン
クレディセゾンの保証型の8大疾病付団信は、低い上乗せ金利でがんが100%保障されます!
もちろんそれ以外の重度慢性疾患にも対応していますが、+0.14%の上乗せでリスクがとても高いがんを備えられるのは大きなメリットです。
またフラット35を契約した方限定で住まいに関するさまざまな優待特典を受けることができます。
引っ越し費用や、動画サブスクリプションサービスの割引など、さまざまな優待サービスを受けることができるのは非常に便利ですよね。
住信SBIネット銀行
住信SBIネット銀行の保証型は、とにかく団信が手厚いです!
上乗せ金利がなく全疾病保障まで付けることができますが、仮に全疾病保障が健康上の理由では入れなかったとしても保証型での利用が可能です。
さらに金利も魅力的の上、2020年の8月から電子契約が可能となりました。
電子契約事務取扱手数料として5,500円(税込)はかかってしまいますが、通常数万円必要になる印紙代が不要になったり、何より来店不要で手続きが完了できるのは、コロナ禍の現在とても安心ですよね。
愛媛銀行
愛媛銀行の保証型は金利も低めで団信の上乗せ金利も低く、非常に使いやすいといえます。
地方銀行の良いところは、直接窓口で細かく案内してもらえるサポート力です。
非対面で完結できる金融機関は便利ですが、住宅ローンは複雑であるため、書類の書き方や必要書類などを直接対面で相談ができるため、記入誤りによる書類の往復も不要となりますし、心強いですね。
日本モーゲージサービス
日本モーゲージサービスは、2021年に新しくフラット35の保証型に参入することになりました。
力を入れているのは団信で、一般団信以外は全てに就業不能保障が付いています。
病気だけでなく、骨折などのケガでも15日以上就業ができない場合にも毎月の返済を保障してくれますし、仮に就業不能状態が1年以上になってしまっても残高が0円になります。
また団信種類が一般団信以外に3つもあって豊富のため、自分に合う保障を選択しやすいですね。
まとめ
フラット35の買取型と比較しても、保証型は金利が低いことが特徴です。
また、その中でも取扱金融機関によりそれぞれ特徴があり、団信の保険料が不要であったり、融資手数料が低かったり商品性も異なります。
フラット35の特徴である金利が固定であるため、金利相場の低い時期に借り換えをおこなうことで、金利が低いままローンを払い続けることができます。
借り入れの際は自己資金(頭金)の問題で保証型を選択できなかった方も、借り換えのタイミングで検討してみてはいかがでしょうか。
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