千日の住宅ローンの選び方(中級編)シリーズの5回目です。
異なる金利タイプの住宅ローンを組み合わせるミックスローンについてお話しようと思います。題名としては中級編ですけど、これまでの4回の総まとめ的なテーマです。上級編といっても差し支えないと思います。
書いているうちに2つに分けなければ、まとめきれないことに気づきまして、前編と後編に分けることにしました。
第1回:自分にとっての住宅ローンとは何か?をあなたは知らない
第2回:変動金利とは何か?をあなたは知らない
第3回:固定金利とは何か?をあなたは知らない
第4回:「当初固定金利」とは何か?をあなたは知らない
第5回(前編):固定金利と変動金利のミックスローンとは何か?をあなたは知らない
第5回(後編):一定期間固定金利のミックスローンとは何か?をあなたは知らない
ミックスローンとは単純に言うと、1つの住宅を担保にして2枚の住宅ローン契約書を結ぶことです。
✓住宅は一つ
✓借入は異なる金利タイプで2本
銀行の担当者はこういう説明をすると思います。なんでこんなことをするんでしょうか?多くの利用者が変動か固定かを決められずにこうしたミックスローンを組みたいという需要があるからです。
✓金利上昇リスクが怖いので固定金利を混ぜる。
✓固定金利だけだと高いので変動金利を混ぜる。
こうすると、変動金利と固定金利のデメリットを少なくすることが出来ます。しかし、同時に変動金利と固定金利のメリットも減ってしまいます。
✓変動金利のみで借りるよりも高い金利になってしまう。
✓固定金利だったら無かった金利上昇リスクがある。
それに加えて2本の住宅ローン契約を結ぶことで諸費用も2倍近くかかってしまいます。
✓銀行に払う手数料:約3万円×2本
✓印紙税:2万円×2本
✓登録免許税:借入×0.4%☜変わらず
✓司法書士報酬:5~10万円×2本
『だからミックスローンを選んではいけない』
もしこのように思っているのだとしたら、私の話を聞く価値があると思います。そんな単純なものではありません。もっと奥が深いのですよ。
まず、多くの人が一度は考える変動と固定のミックスについて解説しておこうと思います。まずは変動金利と固定金利はどういうものだったかを確認します。
✔変動金利とは短期プライムレート(※)によって銀行が金利を上げたり下げたりする金利タイプです。金利は安いですけど上がるリスクがあります。
※短期プライムレート
金融機関が最優良の企業に対し融資する1年以内の短期貸し出しの最優遇金利。
✔固定金利とは借入時の適用金利が全期間にわたってずっと適用される金利タイプです。金利は変動より高いですけど上がるリスクはありません。
『確かに、お互いのメリットを打ち消しあってしまうかもしれないけど、同時にデメリットも小さくなるんだから、それはそれでアリじゃないの?』こんな風に考える人もいるでしょう。しかし、2つの大事なことを忘れているんですよ。
✓金利タイプは2つあっても、借りる人は1人しかいません。
✓金利タイプは2つあっても、担保となる家は1つしかありません。
どういうことなのか、これから分かりやすく説明していきますね。