(2)住宅ローン控除で相殺される
住宅ローン控除とは当初の10年間について、住宅ローン残高の1%を税金からマイナスする減税措置です。変動金利だと今金利は0.5%位ですよね。つまり、払う利息よりも税金から返金される(還付される)金額の方が大きいので、逆に利息が貰えるような状態なんです。
0.5%-1%=-0.5%の利息を払う。つまり、0.5%利息が貰えるということです。
例えばこの10年の間に金利が0.5%から1.5%に上がったとしても、こういう式になります。
1%-1.5%=0.5%の利息を払う。つまり、当初払うつもりだった利息を払うだけということです。
当初の10年間というのは、元本が多くなかなか減らない時期です。そんな時期に金利が上がると、さらに元本の減りが遅くなってしまいますよね。でも、住宅ローン控除は元本が多い方がその恩恵も多いです。元本の減りが遅い方が有利に働くわけです。
金利の上昇リスクが無いとは言いません。上がるときには上がるでしょう。
しかし、上がったとしてもそれが家計に及ぼすダメージは、変動金利のルール(5年ルールと125%ルール)と住宅ローン控除という制度よってかなりの部分が緩和されるように設計されているのですね。
銀行の経営が危なくなったら金利を上げてくるかもしれない…
たまに、こんな風に言う人が居ますが、銀行の経営が傾く可能性よりも、一般的には個人的に仕事でしくじって給料が下がったり、病気になって働けなくなって無収入になってしまう可能性の方がよっぽど高いはずです。
どうしても自分には甘くなってしまうのですよ。
2.金利の上昇リスクに備えるには?二つの「4」
それでも、金利の上昇リスクにはある程度の備えが必要です。住宅ローンの千日メソッドでは、変動金利で借りる場合は以下の2つの条件をクリアすることをお勧めしています。題して『変動金利の2つの「4」』です。
✓毎月の元利均等返済額の4分の1以上を貯金する。
✓上記の貯金と元利均等返済額を手取り月収の4割(40%)以下にする。
(1)返済額の4分の1以上を貯金する理由
毎月の返済額の4分の1以上を貯金出来るということは、銀行が1度に上げる上限の125%にいつでも対応可能ということです。
元利均等返済額
100%→5年→125%→5年→156%→5年→195%→…
対応する金利
0.7%→5年→ 2.3%→5年→ 3.6%→5年→ 5.3%→…
このように、最短で15年で約2倍になることもあり得るのですが、返済額が2倍になる場合の変動金利は約5.3%です。これはバブル期の変動金利の水準です。ここまでになる可能性も否定は出来ませんが、少なくとも一段階上がるケース、125%になるケースについては、想定しておく必要があるでしょう。
(2)手取り月収の4割以下にする理由
銀行の審査で住宅ローン融資の審査で判断するラインはローン返済額が収入の4割以下というものがあります。4割超が住居費というのは、何か不測の出費があったときに返済が滞る可能性が高いという銀行の経験則から導かれた割合です。
年収で計算する方法もありますが、住宅ローンの支払いは月ごとですから、月収、それも手取り月収をベースに判断する方式がより実践的です。年収だとボーナスも込みになってしまいます。
ボーナスは35年間ずっと必ず一定以上が出るとは限らないですよね。
4分の1の貯金+ローン返済額を手取り月収の40%以下に抑えるというのは、金利が上がった場合も、今まで通りの生活水準を維持出来るラインということです。
以上が変動金利で『毎月の返済を無理なく行える』ための千日メソッドです。では次は、『住宅ローンを完済した上で老後の生活資金を残す』にはどうしたらいいか?という方法についてお話しましょう。
住宅ローンについてもっと知りたい・・・
この記事は役に立ちましたか?
もっと知りたいことがあれば、お気軽にお問い合わせくださいね。