「今の低金利時代に定期預金なんて勿体ないですよ。とても運用成績のよいお勧め商品なのですが、いかがですか?」
こんな感じで銀行から金融商品を勧められたら、そろそろ住宅ローンの繰上返済を考える時かもしれません。
一般的な定期預金の利率は0.01%位ですから、銀行の担当者も間違ったことは言ってません。しかし、投資信託には元本割れのリスクがあります。それに銀行の売る投資信託にはもれなく「販売手数料」「信託報酬」「解約手数料」というものが必要です。
銀行にとっては、売った時点で儲けが確定するような、そんな商品が多くを占めているんですよ。
その点、住宅ローンの繰上返済はどうでしょうか?
住宅ローンの繰上返済で利息を節約する
たとえば3,000万円を固定金利1%で35年ローンを組んだ人が、13年後に1,000万円を繰上返済したらどれだけ利息を節約できるかをグラフに表してみました。
残り22年で114万円の利息が節約できます。
1,000万円という多額の繰上返済を例にとりましたが、これは元々借りている元本ですから、いずれにしても35年の期間で払うお金です。
これに対して利息が減る分というのは、繰上返済によって支払いが減る部分ということです。
つまり、繰上返済する1,000万円には1,114万円分の値打ちがあるということです。
悪くない話ですよね。
一方でこれは銀行にとっては損失です。本来ならば、その元本部分について利息が儲かるはずだったのに、繰上返済されてしまうと、それがなくなるということです。
「今の低金利時代に定期預金なんて勿体ないですよ。住宅ローンを繰上返済してはいかがですか?」
断言してもいいですが、こんなことを言ってくる銀行の担当者はいません。彼らも分かってはいるのですが、そんなこと言ってたら商売にならないのです。ただ、貯金があれば積極的に繰上返済していけば良いのか?というと、そうでもありません。
今日は、私がおすすめする住宅ローンの「千日メソッド」から賢い繰上返済のコツを解説したいと思います。
繰上返済したお金は返ってこない
繰上返済したお金は返ってきません。いくら確実に儲かるからといっても、手持ちの貯金が少なくなってしまった状態で、病気や他のアクシデントで収入が止まってしまったら?
✓繰上返済しても、返済日は毎月決まった日にやってきます。
✓過去に多額の繰上返済をしたからといって、何度か待ってくれるということはありません。
何かの時のために、幾らかは手もとに置いておく必要があります。また、子供の学費のために貯蓄しておく必要もあるでしょう。
文部科学省が行った試算よると、40年前に年間3万6千円だった国立大学の授業料は、15倍の約54万円になっており、15年後の2031年度には国立大の授業料が年間93万円程度にまで上がるという報道もあるようです。
今3歳のお子さんが大学生になる頃には、国立大学に進学したとしても約400万円の学費が必要な計算なのです。
住宅ローン控除(減税)の受けられる10年間は繰上返済しない
住宅ローン控除(減税)とは、12月31日の住宅ローン残高の1%をその年の所得税と翌年の住民税からマイナスする(控除する)減税制度です。つまり、住宅ローン残高が多ければ多いほど、多くの税金が還付されます、つまり年末調整で返ってきます。
変動金利や10年固定のように住宅ローンの金利が1%を下回っている場合は、払う利息よりも返ってくる税金の方が大きくなります。ですから、住宅ローン控除が受けられる当初の10年間については繰上返済しないのが賢い方法なのです。
これに対して、フラット35のような超長期固定金利のように住宅ローンの金利が1%を上回っている場合は、返ってくる税金よりも払う利息の方が大きくなります。ですから当初の10年間についても繰上返済した方が利息は節約できます。
「じゃあ住宅ローンの金利が1%超なら当初10年でも繰上返済した方がいい?」
そんな単純には言えませんよ。
例えば、住宅ローンの金利が1.1%であれば、当初の10年はローン残高の1%が住宅ローン控除で返ってきますので、実質的な金利は0.1%ほどです。
繰上返済しても0.1%ほどの利息が節約できるだけなんですよ。例えば1,000万円の0.1%といえば1万円ですよね。
繰上返済したお金は返ってきません。
年間1万円の利息を節約する代わりに1,000万円も貯金を減らすリスクを負うのは割に合わないのです。あえて繰上返済せずに貯金しておく方が、いざというリスクに強い資金計画です。
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