住宅ローンを組んでいる場合、手元のお金に余裕が出てくれば一括返済を検討する人も多いのではないでしょうか。早めに完済できれば、支払うはずだった利息分の負担がなくなるため大きなメリットがあります。ただし、金利や条件によってはそのままの方がお得になるという可能性も否定できません。
そこで今回は、住宅ローンの一括返済に関するメリットやデメリットをご紹介します。適切なタイミングや手続きの方法もしっかりと理解してから検討してみてください。
住宅ローンを一括返済するメリット
住宅ローンをまとめて返済することで、さまざまなメリットがあります。どのようなメリットがあるのかを理解し、貯蓄に余裕がある場合は一括返済を検討してみるのもいいでしょう。
総返済額を減らせる
一括返済する1番のメリットは、総返済額を減らせることです。ローンの返済は、返済期間が長いほど支払う利息が増えます
本来、支払わなければならなかった利息の支払いがなくなるという点は大きなメリットです。基本的に住宅ローンでは、元本と合わせて利息の支払いがあります。
利息は、返済が終わるまでずっと発生するため、借りている期間が長ければ長いほど合計で支払う金額が増えていってしまうという仕組みです。一括返済で支払いを終わらせることができれば、それ以降の利息は発生せず、通算で金融機関に支払う金額を減らせるでしょう。
保証料が戻ってくることがある
ローンの契約時に保証料を一括で前払いしているケースでは、保証料が戻ってくる可能性があります。保証料は、保証会社と利用者との間で保証するためのもので、万が一、住宅ローンの返済ができなくなった時に、保証会社が契約者に代わって返済してくれる契約のことです。
返済が終われば保証も必要なくなるので、完済時期がが早いほど戻ってくる保証料の金額は大きくなります。また、まとめて返済した時だけに限らず、繰り上げで返済した場合でも戻ってくることがあります。ご自身の契約がどのようになっているか確認してみましょう。
自宅を失うリスクがなくなる
すべての返済が終われば、自宅を失うリスクがなくなります。住宅ローンの契約では抵当権を設定していることがほとんどです。 万が一、住宅ローンの支払いが滞った場合には抵当権が施行され 自宅を差押えられることもあります。
抵当権は住宅ローンの支払いが困難になった場合に備えた担保として設定されるものです。一括返済により住宅ローンが完済されると 担保を取る必要がなくなるため抵当権は効力を失います。支払いができなくなった時の不安がなくなるので、気持ちにも余裕が生まれるでしょう。
住宅ローンを一括返済するデメリット
完済することで得られるメリットは多いですが、デメリットがあることも知っておく必要があります。毎月の負担が減る一方で、手元の資金が一気になくなるなど注意しなければならない点も多いのでしっかり確認しておきましょう。
住宅ローン控除の恩恵がなくなる
返済が終われば、月々の支払いがなくなり楽になりますが、住宅ローンの控除が受けられなくなってしまうデメリットがあります。住宅ローン控除は、その年の住宅ローンの年末残高の0.7%が一定期間所得税から差し引かれる制度です。(既に住宅ローン控除を受けている場合は従来の1%が適用されます。)
控除割合よりも低い金利で借入れしている場合は、軽減できる支払い利息より控除額の方が大きくなります。
所得税の控除を受けるためには住宅ローン控除の適用期間が終了するまで一括返済を避けた方が良いでしょう。一括返済を検討している方は控除額と利息の比較もし、ベストなタイミングを選びましょう。
手元から大きな資金がなくなる
一括返済をするのであれば、当然ですが手元から大きな資金がなくなってしまいます。月々の返済がなくなることは 魅力的ですが、手元の資金がどのくらい残るのか、生活に影響はないのかをしっかりと確認してください。
手元の資金がなくなることで、教育費や貯金などを切り崩したり、、ほかのところでお金を借りることになってしまえば意味がありません。とくに、子どもの入学時期や車の買い替えといった大きなイベントがあるときは、できるだけ避けた方がいいでしょう。
ライフプランにおいて大きな支出が見込まれる場合はベストなタイミングではありません。また、大きなイベントがなくても万が一病気などで収入が減ってしまったときのことも考えて、手元の資金には余裕を持たせておくことが大切です。
団体信用生命保険の保障がなくなる
団体信用生命保険の保障がなくなることもデメリットのひとつとして考えられます。団体信用保険は、住宅ローンの支払い中に契約者が死亡や高度障害など万が一のことがあった場合に、その時の残高と同額の保険金が支払われる保険のことです。
もしものことがあった場合、残された家族は住宅ローンの支払いをすることなく、安心して住み続けることができます。ただし、一括返済すれば手元の資金がなくなり保障もなくなってしまうので、団体信用生命保険以外の生命保険に加入していない場合は、新たに生命保険に加入するか 検討する必要があります。
手数料がかかる
一括返済の手続きには、手数料がかかる可能性があることもデメリットといえます。用意しなければならない書類やどのくらいの手数料がかかるのかは契約ごとで異なるため、手続きの前に契約書をしっかりと確認して調べておくのが重要です。
無料のケースもありますが、ほとんどの場合は10,000〜50,000円の手数料がかかります。返済分のお金を用意するだけでは手続きはできないので、手数料についても調べて準備しておきましょう。
一括返済する最適なタイミング
手元の資金に応じて最適なタイミングでの一括返済を目指しましょう。家族構成や貯蓄額など家庭によって違いはありますが、一般的には資金に余裕があるときや、定年退職したときなどがおすすめです。
資金に余裕があるとき
資金に余裕があれば、一括返済を退職金すべてを返済に回してしまっては、老後の資金が足りなくなる恐れも出てきてしまいます。これから生活費がどれくらい必要なのかなど、しっかりと確認してから返済を検討するようにしましょう。
一括返済する場合のやり方
一括返済する場合、ただお金の準備だけをすればいいのではするのによいタイミングといえるでしょう。住宅ローンの返済にに充ててもまだ資金が残るようであれば、利息分の支払いもなくなるので早めの完済がおすすめです。
ただし、将来大きな出費があるという場合には、すぐに一括返済をせずに、一部繰り上げ返済を活用するなど計画的な返済をしていきましょう。
定年退職したとき
定年退職した際もベストなタイミングといえるでしょう。定年退職では、まとまったお金が入ってくるので一括返済がしやすい状況になるからです。住宅ローンの多くは35年ローンなど長期間で組んでいるケースが多いため、定年退職時にまだ返済が済んでいないということも少なくありません。
お手続きする際には借入先の金融機関へ 申込みをしたり、完済後に書類を受け取ったりするなどさまざまな手続きが必要です。ここでは、一括返済の流れを紹介します。
1.金融機関に申込みをする
まず、金融機関に申込みをします。細かな内容は金融機関ごとに異なりますが、一括返済をする際は、必要な手続きをしなければなりません。直前ではなく、「完済希望から1か月前までに」など、金融機関によって申込みに期限があるので、よく確認するようにしましょう。
金融機関によってはPCやスマートフォンなどから申込むことも可能です。インターネットバンキングを使用すれば、繰り上げ返済の手続きに関する項目があるので、そこから手続きをすることができます。
申込みをすると金融機関から完済に必要な書類が届きます。 必要事項を明記の上期限内に返送してください。窓口に直接出向けば、その場で記入漏れなどの確認をしてもらえるので、修正対応などの手間を省くことができます。
窓口へ行く場合は、口座の届出印や通帳など必要なものを確認して忘れないように持っていくと、手続きがスムーズにできるでしょう。また、手続きでは手数料が発生するケースが多いので、どの程度必要なのかも確認しておくのがおすすめです。
2.返済用預金口座に資金を入金する
次に、返済用預金口座へ入金します。返済用預金口座とは、毎月の住宅ローン返済額が自動で引き落とされる口座のことです。
決まっている繰り上げ返済日に間に合うように、返済日の前営業日までに入金しなければならないので注意しましょう。
3.抵当権抹消書類を受け取る
返済の引き落としが確認できると、金融機関から抵当権抹消に必要な書類が送られてきます。抵当権抹消とは、担保にしていた不動産の抵当権を消すための手続きのことです。
完済すれば自動的に消えると思われがちですが、法務局に申請して抹消の手続きをしなければなりません。抵当権の抹消登記 をしなければ、登記簿上ではローンが終わっていないとされ、不動産の売却などができなくなってしまうので注意してください。
また、抵当権の抹消登記が完了していないと新たにローンを組む場合、審査に通りにくくなる 可能性もあるので注意が必要です。抵当権抹消に関する必要な種類は、不動産の種類などによっても異なりますが主に以下の5つです。
- 抵当権抹消登記申請書
- 弁済証書
- 登記済証もしくは登記識別情報
- 登記事項証明書
- 委任状
申請書に必要事項を確認し、書類もすべて準備できれば、管轄の法務局へ提出して手続きを完了させます。法務局へ出向く時間がないという場合は、依頼料がかかってしまいますが司法書士にお願いする方法もあるので検討してみましょう。
一括返済以外に一部返済もある
早く住宅ローンを 完済したいけれど、一度にすべての返済を終わらせるのは難しいという場合には、一部繰り上げ返済を利用する こともできます。 一部繰り上げ返済には「期間短縮型」と「返済額軽減型」の2つがあるので、自身に合った方法を選択してください。
期間短縮型とは
期間短縮型は、毎回の返済額を変えずに返済期間を短縮する繰り上げ返済のことです。ローンをすべて支払い終わるまでの期間が短くなるので、支払う予定だった利息を減らせる点が大きなメリットといえるでしょう。
元利均等返済の場合であれば、借入れした当初は利息が占める割合が高くなりますが、期間の経過にしたがい少なくなっていきます。そのため、早めに繰り上げ返済を行えば、総返済額を減らすことができるので、返済額軽減型と比較すると利息の軽減効果が大きくなります。
とくに、定年後もまだローンの支払いが残っているという人や少しでも早く完済して老後に備えたいという人におすすめです。
返済額軽減型とは
返済額軽減型は、返済期間を変えずに毎回の返済額を減らす繰り上げ返済のことです。期間短縮型と比較すると利息の軽減効果は小さいですが、毎月の支出を抑えられるため家計への負担軽減効果を感じやすいといえるでしょう。
繰り上げ返済することで短期的に支出は多くなりますが、生活への負担は少なくなるといえます。返済軽減型であれば毎月の支出が抑えられますが、ローンをすべて払い終わるまでの期間は変わらないため、期間短縮型よりも総返済額は大きくなりやすい点には注意が必要です。
現在、子どもの教育費や親の介護などで経済的負担があるという人は返済額軽減型がおすすめです。また、転職など働き方に変更があって収入が減ってしまったという場合でも、固定費が見直しできるのでおすすめの繰り上げ返済方法といえます。
住宅ローンの審査に通過するのか不安な方も多いでしょう。こちらの記事では、住宅ローンの審査基準について解説しています。年収の借入目安や注意事項も取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。
まとめ
一括返済は、支払う予定だった利息の負担が減るため、総返済額が抑えられるメリットがあります。ただし、短期間に手元の資金を手放すことになるため、計画的に行わなければ生活が苦しくなったり、いざ資金が必要になった時に対応できなくなってしまったりするリスクが 高まるでしょう。
一括返済を検討する際は、手元の資金やライフプランなどを確認して、よいタイミングを選ぶことが非常に重要です。また、返済額の軽減には借換えをすることも有効な手段です。現在の住宅ローンよりも低い金利の住宅ローンに借換えることで、 総返済額を抑えることができます。
また、団体信用生命保険の保障プランも合わせて変更できるため、今のご自身にあった最適な 住宅ローンを選ぶことができます。 「いえーる 住宅ローンの窓口 ONLINE」 では住宅ローンの専門家が借換えの相談を無料で行っております。来店不要、電話とメー ルで気軽に相談できるので、全国どこからでも利用可能です。 住宅ローンでお悩みがあれば、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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