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住宅ローンの返済、大変ですよね


こんにちは、ブロガーの千日太郎です。
「住宅ローンの返済がキツイです……」というご相談を受けることがあります。購入時は払えると思って借りたんだけど、その後収入が減ってしまったという人もいますし、思ったよりも支払が多かった。見込みが甘かった……と振り返る人もいます。

実際統計的にも住宅ローンの返済がキツイと感じる人は増えているようです。少し前の調査結果ですが、2014年日弁連破産事件及び個人再生事件記録調査によると、破産債務者が多重債務を負担するに至った主な理由は以下のとおり。

負債原因の人数比 2014年 2011年 2008年 2005年
生活苦・低所得 60.24% 60.29% 63.69% 61.85%
保証債務や第三者の
債務の肩代わり
27.18% 26.33% 25.08% 25.09%
事業資金 21.37% 23.66% 18.85% 18.73%
病気・医療費 20.73% 20.26% 20.98% 22.91%
失業・転職 19.84% 19.77% 14.67% 18.12%
負債の返済 17.18% 24.47% 28.20% 32.32%
住宅購入 16.05% 12.24% 9.59% 10.80%

2014年破産事件及び 個人再生事件記録調査より抜粋。

1位の生活苦や2位の保証債務(連帯保証人になってしまった)という理由はよく聞くことですし、それ以下の理由もある程度想定されるものですよね。

驚くべきは「住宅購入」というのが多重債務の原因で、しかもそれがかなりのペースで増加傾向になっているということです!

増え始めの2008年はリーマンショックの発生した年ですね。それ以前に家を買った人にとって「そんなはずじゃなかった…」という想定外の出来事だったでしょう。

住宅ローンは35年という長期間の契約です。人によってはそれまで生きてきた人生よりも長い。なので、想定外の事態によって支払いがキツくなってしまったときに、どういう手が打てるのか?ある程度想定しておく必要があるのです。

返済が苦しいなんて銀行に言ったら有無を言わさず競売にかけてしまう…?

住宅ローンの返済は大変ですね


こんな不安を持つ人がいますが、そんなことはありませんよ!
競売にかけるというのは銀行(保証会社)にとっても最後の手段です。競売は安く買い叩かれてしまうので、貸金を全額回収しきれないケースも多く、債権者としてもできればやりたくないのです。

返してもらえるのなら、少し条件を緩和してでも利息と元本を払い続けてもらう方が、債権者としてはありがたいのです。

ただ、当初の約定通りに払うことが難しくなっているという前提がありますので、債権者としては「この人は本当に払いきることができるか?」について、通常よりも厳しい審査になることでしょう。

そのような状態になる前に、早め早めに支払いがラクになるような手を打っていくことが大事なのですよ。今日はその手段を段階ごとに解説していきますね。

1:借り換えによって毎月返済額を軽減
2:賃貸へ転用して賃貸収入で返済を継続
3:任意整理手続で金利と元金の圧縮
+:自然災害債務整理ガイドラインというセーフティネット

低金利の住宅ローンに借り換えて毎月の返済額を軽減する

借り換えによって返済額を軽減するというのは、最も早期にやれることです。例えばリーマンショックよりも前に住宅ローンを借りた人ならば、2018年現在、借り換えることでほぼ確実に借り換えメリットがあります。

つまり、今よりも相対的に高い金利で住宅ローンを借りているのですから、低い金利の住宅ローンに乗り換えることによって毎月の利息の支払いを減らし、かつ、元本を多く返済することができるということです。

借り換えのメリット

住宅ローンを借り換えるだけですから、今のマイホームに住み続けながら、支払だけを減らすことができますね。

実際に借り換えなくても、借り換え金融機関の審査に通れば、現在の銀行に対して金利を下げるように交渉することもできます。つまり、自分の方が優位に立って金利引き下げの交渉を進めることができるのです。

詳しくはこちらに書いていますのでぜひ一度読んでみてくださいね。

住宅ローン見直しの裏技、教えます|金利交渉と借り換えの秘訣!

借り換えの注意点

金利を引き下げることができるのは、ある程度過去に今よりも高い金利で借りていた人です。なので、すべての人が借り換えによって毎月の返済を減らせるとは限りません。

また、借り換えによって金利を引き下げることはできますが、返済回数を増やす(または完済日を繰り下げる)ことは実質的にはできないようになっています。なので、軽減できる毎月の返済額は金利の引き下げ分だけに限られます。金利の引き下げが小さい場合は毎月にすると大した軽減にならないこともあります。

また、借り換えには当然審査に通らなければなりません。ケースによっては借り換えの審査に通らないこともあり得ますので注意が必要です。借り換えの審査のポイントについてはこちらに詳しく書いていますので、合わせてご覧くださいね。

気をつけろ!

住宅ローン借り換え時の審査で気をつけたい3つのこと

自宅を賃貸に出して賃貸収入で返済を継続する

賃貸収入で返済


次は賃貸に出すという選択肢です。賃貸するのでその家に住むことはできませんが、手放すことは免れます。

住宅ローンは原則として対象の不動産を自宅として使用することを条件とする借金です。だからこそ、低金利で借りられるというものなのですよ。最初から賃貸収入を得ることを目的に借りる場合は「投資不動産ローン」ということになり、安くても2%から3%くらいの金利になってしまいます。

しかし、当初は本当に住宅として使用する目的で借りて、その後にやむを得ない事情によって賃貸に転用するというのは、わりとハードルが低いのです。

賃貸への転用は結構一般的に行われている

債権者としては我々債務者が払えなくなってしまうよりは、支払いを継続してもらう方が良いので、賃貸で確実に返済を継続できるということが合理的に説明できれば、高確率で賃貸への転用を認めてくれます。

そもそも、転勤などでやむを得ず住宅ローン返済中の自宅を賃貸に出す人も多いですので、絶対に賃貸に出すことは認めないなどという金融機関はありません。

さらに公的融資のフラット35などは、金融円滑化の取り組みの一環として、賃貸に出して返済を継続することそのものを認めています。住宅金融支援機構のホームぺージでは「融資住宅を所得が回復するまでの間賃貸し、その家賃収入により返済を継続することも可」と明記されています。

自宅を賃貸に出す際の注意点

ただし、賃貸に出すということは、当然その家には住めないということですね。そして、事業リスクを負うということも忘れてはいけません。つまり、借りる人がいなくなってしまうと、住宅ローンと自分が住む家の家賃のダブルの支払いになってしまうということです。

ただ、これについては家賃返済特約付き【フラット35】というユニークな商品があるのでご案内しましょう。

この商品は、一定の条件に該当する場合には、返済期間を延長して毎月の返済を減額した上で、住宅を住宅金融支援機構と提携する住宅借上機関に賃貸し、その賃料を住宅金融支援機構が直接受領して返済に充てるというものです。

つまり空き室リスクが無く、確実に賃貸収入によって返済を継続できるということです。特に、健康上の理由から団信に加入せずフラット35を利用するという人は、検討対象に入れておいても良いと思いますよ。

任意整理手続で金利や元金の減免を交渉する

それでも払えなくなった場合は債務整理手続に頼ることになりますが、債務整理の入り口と言えるのが任意整理手続です。

任意整理手続は個人再生手続や自己破産手続のような裁判所を介する正式な手続ではありません。あくまでも任意整理手続は債務者と金融機関・消費者金融会社などの債権者が、テーブルについて話し合いによる解決を目指す和解交渉なのです。

つまり、任意整理手続は返済を続けることが前提ですが、金利の減免や元金の減免などを含めて元利合計を圧縮し返済し易くするところがミソです。交渉が上手くいけば自宅を失うことなく返済を継続することができるのです。

任意整理手続のメリット

もちろん、任意整理手続を行なうことで個人信用情報機関に金融事故情報として登録されますが、個人再生手続や自己破産手続のような公的なペナルティはありません。

また自分から公言しない限りは親戚や勤務先に知られることもありません。そういった意味でも、任意整理手続は債務整理手続の入口の手続きとしてメリットがあると言えます。

任意整理手続は債務者本人が自力で行うことも制度上は可能ですが、和解交渉では債権者側は弁護士や司法書士などの専門家が出てきます。したがって、こちらも弁護士を立てた方が交渉はスムーズです。

もちろん、弁護士費用が掛かりますが任意整理手続の費用はそれほど高くはなく、分割払いに応じてくれる弁護士事務所も少なくありません。

なお、弁護士なら誰でも任意整理手続を受任できますが、やはり、債務整理手続が専門の腕利き弁護士に依頼するのがベストでしょうね。

任意整理手続のペナルティ

ただし任意整理手続をした場合、個人信用情報機関に任意整理手続した旨が金融自己として記録されてしまいます。俗に言うブラックリストに載ります。

少なくとも5年間は新たなカードローンやクレジットカードの契約はできません。また、住宅ローンの審査にもパスできないと考えられます。

さらに、任意整理手続を行った当の銀行や消費者金融会社とは、5年過ぎても新たな契約は見込めません。

例えば、A銀行のカードローンを任意整理手続した場合、A銀行の各種ローンは5年過ぎても使えないばかりか、A銀行のグループに属する企業との契約もできなくなります。

自然災害債務整理ガイドラインを利用する

自然災害債務整理ガイドラインでサポート


最後にこれだけは知っておいて欲しい債務整理の方法として「自然災害債務整理ガイドライン」をご紹介しておきましょう。

これは自然災害の影響を受けたことによって住宅ローン等の債務を弁済できなくなり、自己破産するしかない状態になった個人が、破産手続等によらずに、ローンの免除や減額を銀行に申し出て債務整理を行う際の準則として取りまとめられたものです。

対象となる自然災害は平成27年9月2日以降に災害救助法の適用を受けた自然災害です。今年は特に大規模な自然災害に立て続けに見舞われましたが、以下の災害はすべてが対象となっています。

平成30年大阪府北部を震源とする地震
平成30年7月豪雨による災害
平成30年8月30日からの大雨による災害
平成30年北海道胆振地方中東部を震源とする地震
一般社団法人 自然災害被災者債務整理ガイドライン運営機関

自然災害で家を失い、住宅ローンだけが残ってしまう……!
これこそ想定外のアクシデントだと言えると思います。そんなアクシデントから生活を再建するための、極めて重要なセーフティネットなのです。

自然災害債務整理ガイドラインのメリット

このガイドラインで債務整理するメリットは以下の3つです。

  1. 手続き支援は無料!
  2. 財産の一部を手許に残せる!
  3. ブラックリストに登録されない!


債務免除の法律上の書類作成について、弁護士などの「登録支援専門家」による支援を無料で受けられます。そして生活必需品や一定の現預金、被災者生活再建支援金、災害弔慰金・災害障害見舞金については手元に残せます。

また、このガイドラインで債務整理した場合は個人信用情報(ブラックリスト)に記録されないので、その後生活を再建すれば、クレジットカードも作れますし、住宅ローンだって組めます。これは前述の任意整理手続との一番の違いでありメリットですね!

まず自分から動いて申請しないと使えない

この自然災害債務整理ガイドラインについては、まだまだ知名度が低いので、多くの人に知ってほしいですね。

これを利用するにはまず、債権者に対してガイドラインの手続き着手を申し出る必要があります。

その際に金融機関から借入先、借入残高、年収、資産(預金など)の状況などを聞かれ、金融機関等から手続着手について同意が得られたら、地元弁護士会などを通じて「登録支援専門家」による手続支援を依頼し、本格的な手続きがスタートします。まずは自分で動かなければなりません。

多くの金融機関は地震や水害が発生すると一時的に債務の支払いを猶予する窓口の設置を行い、その告知をHPでやってくれるのですが、このガイドラインについてはまったくやらないです。

支払いを猶予する場合は利息と元本をちゃんと回収できますけど、債務整理をされてしまうと銀行にとって大きな損失になるからです。

この方法を取れば絶対に債務免除されるということではありませんが、無料で財産を残しつつ、ブラックリストにも載らない債務整理の方法があるというのは今までに無かったことです。

これを知っているか、知らないか、そして自分から積極的に動けるかどうかにかかっているんですね。ぜひ参考にしてください。

はマイホームの購入と住宅ローンのノウハウを体系的にまとめた本を出しています。
家を買う時に「お金で損したくない人」が読む本
千日 太郎 (著) / 日本実業出版社

全国の大型書店と通販で発売中です。ブログでは、さまざまなエントリーに分散してしまいがちな情報を分かりやすく整理しています。良かったらお手にとってくださいね!
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