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家を購入する際には、予算決めから物件選び、売買契約といった物件購入の手続きと、住宅ローンの申し込みや審査、融資実行といった手続きを並行して行う必要があります。一般の人で住宅購入に慣れた人は少ないので、実際の手続きの際に慌てることのないよう住宅購入と住宅ローンの借り入れの流れを理解しておきましょう。住宅ローンの申し込みから融資実行までにかかる期間も説明していきます。
住宅ローン申し込みの時期はいつ? 全体の流れを把握しよう
住宅ローンの審査が通ったとか、通らなかったという話を聞いたことがあるかと思います。住宅ローンは、申し込んだからといってすぐに借りられるものではありません。事前審査(仮審査)、本審査などいくつかの手順を踏む必要があります。
住宅の購入を考えているのなら、気に入った家が見つかったときに慌てずにすむよう、住宅ローンの申し込みから融資実行までの流れを知っておきましょう。
もっとも重要な“予算決め”から
まずやるべきことは「住宅購入の予算決め」です。この予算決めが最も大切と言っても過言ではありません。予算が決まったら、物件探しを始めましょう。同時に、住宅ローンについても情報収集をしておくことをおすすめします。
そして、気に入った物件を見つけたら購入申し込みと同時に、住宅ローンの事前審査を受けます。通常は、事前審査がOKにならないと、売買契約を結ぶことはできません。事前審査後に、不動産会社などと住宅の売買契約を結び、住宅ローンの申し込み、本審査へと進みます。
本審査が通れば、いよいよ金融機関と住宅ローンの契約です。その後、融資実行といって、住宅の購入代金が振り込まれて決済が終わると、不動産会社などから住宅の鍵を受け取って引き渡し完了となります。なお、住宅の所有権登記などは、住宅ローン融資が行われる日に同時にすませるのが通例です。
住宅ローンの審査に向けて、購入予算を決めてから家探しを!
さて、先ほど住宅の購入予算決めが最も大切とお伝えしました。当然のことですが、住宅ローンは借りることよりも完済することが大切だからです。もし、収入に見合わない予算を組んでしまい、住宅ローンを借りすぎてしまったらどうなるでしょうか。返済を続けていくのが難しくなり、最悪の場合は家を失ってローンだけが残ることにもなりかねません。
こういう話をすると、「金融機関が貸してくれるのだから問題ないのでは?」という質問を受けることが少なくありません。これは大切なことなので、しっかり認識しておいていただきたいのですが、「“借りられる金額”と“借りていい金額”は違う」のです。
もちろん、金融機関は、お金を貸す相手の収入や経済的な安定性をしっかりと審査した上で、融資の可否を決めています。各金融機関ごとに、返済比率(年収に占める年間返済額の割合)の基準が決められていて、その基準を超える金額を借りることはできません。
金融機関が定める返済比率の基準は30〜40%程度となっています。ですが、一般的には、住宅ローンの返済比率は20〜25%に抑えるべきと言われているのです。この数字は、私がファイナンシャル・プランナーとして多くのご家庭の家計状況を拝見してきた経験からも、まず間違いのないものと言えるでしょう。
【返済比率の例(【フラット35】の場合)】
年収 | 400万円未満 | 400万円以上 |
基準 | 30%以下 | 35%以下 |
そう考えると、金融機関が貸してくれるからと、融資を受けられる目一杯の金額を借りてしまうと、将来的に返済を続けていくことは難しくなる可能性が高いと言わざるを得ません。
収入が確実に増えていくのであれば問題ないかもしれませんが、今の時代はそのような保証はどこにもありません。また、子どもが産まれるなど家族が増えれば、生活費が増えますし、教育費などの負担も増えます。その他にも、想定外の介護でお金がかかったり、病気や会社の都合で働き続けることができなくなってしまったり、収入が大きく下がったりすることも考えられます。
ですから、住宅の購入予算は、将来の家計収支の予測と返済シミュレーションをしっかり行い、無理なく完済できる金額にとどめておくことが何よりも大切なのです。
(参考:免許証を簡単入力。最短1分で結果が分かる「家探し前クイック事前審査」)
家探しと並行して、住宅ローン審査をする金融機関を選ぼう
購入予算が決まったら、家探しを始めましょう。同時に、住宅ローンを申し込む金融機関も探しておきましょう。
実は、住宅ローンには何千という商品があります。「全期間固定金利型」や「変動金利型」といった金利タイプの違いはもちろん、金融機関ごとに「金利」も違えば、「事務手数料」、「繰り上げ返済にかかる手数料」、「保証料」の違いもあります。なお、住宅ローンを借りる際に加入する団体信用生命保険(団信)の保障内容も、金融機関ごとに異なっているのです。
また、不動産会社などと金融機関が提携して扱っている、提携ローンを選ぶこともできます。提携ローンの場合、金利の優遇がされている場合もありますし、手続きを不動産会社などが代行してくれる場合もあります。
金融機関と住宅ローン選びについては、そのポイントをご自分で勉強した上で、実際の住宅ローン商品の情報を集めて、比較検討されることをおすすめします。
手続きは、店舗でもネットでもできる
住宅ローンを借りるには、実際に金融機関の店舗に行って手続きをするか、ネットで手続きをするか、どちらか選ぶこともできます。前者の場合は、メガバンクや地方銀行など実際に店舗を持っている金融機関が対象となります。後者の場合は、ソニー銀行やイオン銀行といったネット銀行が主になりますが、現在はメガバンクなどでもネットで手続きができるようになっています。なお、一般的な傾向としては、ネットで手続を完結させるほうが金利は低くなるようです。
店舗に足を運んで、相談しながら住宅ローン選びや借入の手続きを進めていきたいか、時間を問わずにネットで手続を完結させたいかについても検討しておきましょう。
購入する物件が決まったら、事前審査に申し込みしよう
理想の物件が見つかって、購入を決めたら、住宅ローンの事前審査を申し込みましょう。事前審査は、住宅ローンを扱う金融機関が、申し込みをした人に融資できそうかどうかを審査するものです。最小限の情報から短期間で審査が行われ、だいたい1習慣程度で結果が出ます。
事前審査を受けるには必要な書類がありますので、ご紹介しておきましょう。ここにあげるのは、一般的な例なので、実際の申込みに当たっては必ず金融機関に確認してください。
【事前審査に必要な書類】
本人確認書類 | 運転免許証、パスポート、健康保険被保険者証(いずれかひとつを用意する) |
収入確認資料 | (給与所得者の場合)直近の源泉徴収票または課税証明書などの公的所得証明書類 |
(個人事業主の場合)直近3年分の確定申告書と付表 | |
(法人代表者の場合)直近3期分の決算報告書と法人税納税証明書など | |
購入物件の資料 | 販売チラシや建築の見積書、間取り図など(所在地、面積、間取りなどの概要がわかる書類) |
申し込みの書類 | 事前審査の申込書、印鑑(認め印でも可) |
※1 必要書類は商品によって異なるため、代表的な例を記載しています
※2 事前審査時では提出が不要な場合もあるので、詳しくは金融機関にお問い合わせください
売買契約後、いよいよ本審査へ
事前審査に通ったら、家の売買契約を結び、いよいよ本審査です。売買契約を結ぶ際には、手付金を支払うことがあります。手付金は売買契約の成立を示す証拠金のようなもので、決済の際には家の購入代金に充当されます。
本審査は、金融機関や保証会社が正式に住宅ローン融資を行うかどうか判断するための審査です。収入など返済能力だけでなく、団信に加入できるかどうか健康状態や物件の担保価値なども審査されます。
より厳しく審査されるため、審査結果が出るまでにはだいたい2〜3週間程度かかります。また、事前審査に通っても本審査に通らない場合もあります。本審査に通らなければ住宅ローン融資を受けることはできないので、家の売買契約に住宅ローン審査が通らなかった場合には契約を解除して、手付金も返ってくる「住宅ローン特約」がついているかどうかを確認するようにしてください。
本審査に必要な書類もご紹介しておきましょう。これについても、実際に申し込みをする際には、必ず金融機関に確認してください。
【本審査に必要な書類】
本人確認書類 | 運転免許証またはパスポート、個人番号カードなど、健康保険証、印鑑証明書、住民票の写し |
収入確認資料 | (給与所得者の場合)直近の源泉徴収票または課税証明書などの公的所得証明書類 |
(個人事業主の場合)直近3年分の確定申告書と付表 | |
(法人代表者の場合)直近3期分の決算報告書と法人税納税証明書など | |
購入物件の資料 | 販売チラシや建築の見積書、間取り図など(所在地、面積、間取りなどの概要がわかる書類 |
不動産契約売買書、重要事項説明書 | |
他の借り入れについての書類 | 契約内容やローン残高がわかる書類 |
申し込みの書類 | 住宅ローンの申込書、団信の申込書兼告知書 |
晴れて住宅ローン契約を締結!
何事もなく本審査を通過すれば、金融機関と住宅ローン契約(金銭消費貸借契約)を結びます。その後は、融資の実行を待つのみです。金融機関によって違いはありますが、住宅ローン契約を結んでから、融資実行日までは、だいたい3日〜1週間くらいかかるのが一般的です。
住宅ローンの事前審査に約1週間、本審査に2〜3週間かかるので、事前審査から融資が実行されるまでには、だいたい1ヵ月〜1ヵ月半かかるのが一般的と考えておきましょう。
融資実行日には、不動産会社などの担当者、司法書士、買い主が立ち会って決済が行われます。同時に鍵の引き渡しも行われ、いよいよ新しく購入した家に入居できる状態になります。
まとめ
ここでは住宅ローンの申し込みから融資実行までの流れを確認してみました。申込みの時期や融資が実行されるまでにかかる期間について、ご理解いただけたでしょうか。
住宅ローンの融資を受けるまでには、事前審査や本審査といった審査を受ける必要があります。必要書類なども事前に確認しておいて、手続きの際に慌てることのないようにしておきたいところです。
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