住宅ローンの本審査への申し込みは、万が一審査に落ちてしまった時のことを考えれば複数の金融機関に申し込んでおきたいものです。しかし、何か所までの申し込みなら常識の範囲内とされるのか、迷う方も多いのではないでしょうか。
そこで、今回は住宅ローンの本審査に複数申し込む場合のメリットとデメリット、実際の申し込みの流れと審査を通過するためのコツを解説します。これから住宅ローンを組む予定がある方は、ぜひ最後までご覧ください。
住宅ローンの本審査は複数申し込める
住宅ローンは、複数の金融機関に申し込めます。審査では、申込者の希望借入れ金額や収入をもとに融資できるか判断するため、2か所以上の金融機関に申込みをしても問題ありません。
とはいえ、煩雑な住宅ローンの申出み手続きを並行して行うのは大変なので、あまりにも多くの申し込みは金融機関側の印象を悪くするおそれがあるため、多くても2~3か所所までに留めておくとよいでしょう。
なお、申し込んだ審査がすべて通過できた場合、融資を受ける金融機関以外はすべてキャンセルすることになります。もしも断ることに不安が拭えない場合は、申し込みを検討している金融機関にあらかじめ確認してみることをおすすめします。
本審査を複数申し込むメリット
先にもお伝えしたように、本審査は複数の金融機関に申し込むことが可能ですが、審査に落ちてしまった場合の対策のほかにはどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、いくつかの金融機関に本審査を申し込むメリットを見ていきます。
契約手続きをスムーズに進められる
住宅ローンの申し込みから本審査の結果がわかるまで、一般的に1週間~2か月かかります。1か所の金融機関のみに申し込み、審査に落ちた場合は、次の本審査の結果までさらに約1週間~2か月かかることになります。
しかし2か所以上へ同時に申し込んでおくことで、1つの金融機関がが通らなくても他の金融機関で通過できた場合、2か月待たずに速やかな融資を受けることが可能です。契約スケジュールの大幅なずれこみを防ぎ、スムーズにお金を用意できます。
よりよい条件を比較して選べる
金利などの条件は、金融機関によってそれぞれ異なります。長期的に返済する住宅ローンの金利は、少しでも低い方が相対的に支払額を抑えられるため、商品は慎重に選ばなければなりません。また、「金融機関が指定する条件を満たす家を建てる」「メインバンクとして利用する」といった条件を満たすことで金利優遇が受けられる特典などもあるので、比較検討することがおすすめです。
2か所以上に申し込む場合、これらの条件を比較検討して、より自身に合う商品を選択できるメリットがあります。
本審査をやり直す手間を少なくできる
事前審査と本審査の結果にはそれぞれ有効期限があります。それぞれ金融機関によって大きく差があり、事前審査は承認日から60日から180日、本審査は承認日から60日から270日までと幅があります。有効期間内に次の手続きをしなければ、原則として審査の結果は無効となります。
ふたつ目の商品を検討しているうちに期限を過ぎてしまった場合、事前審査からやり直しになります。このようなことを繰り返していると、何度も手続きをしなければならないため、条件のよい商品を見つけた場合は、Web申し込みなどを活用して早めに申し込むことが大切です。
申し込みまでの時間ロスを防げる
商品選びで迷っているときは、予想以上に時間が早く過ぎていくものです。分譲住宅を検討している場合は、迷っているうちに買い手が決まってしまうこともあるでしょう。
事前審査をいくつか申し込んでおき、そのなかからよい条件の商品を選択して本審査に申込むと時短にもなります。
住宅ローンを扱う金融機関は全国にたくさんあるため、自身のメインバンクや引っ越し先の地方銀行など、目星をつけたところに申し込んでおくのもひとつの方法です。
通過してもキャンセルできる
申し込んだすべての審査に通過したとしても、金融機関と正式契約を交わす前ならキャンセルできます。
住宅ローンの場合は、本審査の後にキャンセルをしても、個人の信用情報に影響することはありません。
しかし、キャンセルする場合には、マナーとして出来るだけ早いタイミングで金融機関に連絡をいれておきましょう。
本審査を複数申し込むデメリット
本審査は複数の金融機関に申し込んでも大きな問題ではありませんが、デメリットもあります。
複雑な手続きを何行も同時に行わなければならない
住宅ローンの申し込みには、多くの書類の提出が求められます。
ひとつの審査で求められる書類だけでも膨大な数になりますが、複数のローンに申し込むとなれば、それだけ多くの手間や労力がかかることになるでしょう。
とくに、本審査は提出物の不備が原因で審査に落ちることもあり、正確な情報提供が不可欠です。複数の申し込みを行う際はこれらを同時進行しなければならず、多くの手間と労力を費やすことになります。
なお、本審査では事務手数料がかかる金融機関もあります。その場合、コストも余分にかかるため注意が必要です。
印象が悪くなる可能性がある
あまりにも多くの申し込みをしている場合、本当に融資を受けて住宅を購入する意思があるのかなど、金融機関側に疑問を抱かせてしまう可能性があります。金融機関側では、審査で個人の信用情報を照会し、いつ・どの金融機関に申し込んだかなどを確認できます。
信用情報は、個人で情報の削除ができないため、あまりにも申し込む数が多い場合は印象を悪くしてしまうおそれもあるでしょう。そのため、多くても2~3か所程度に留めておくことをおすすめします。
本審査の大まかな流れ
住宅ローンは、都市銀行をはじめ地方銀行や信用金庫、ネット銀行などさまざまな金融機関で扱っているため、事前にいくつか目星をつけておくとよいでしょう。
住宅ローンに申し込む際は、金融機関の窓口に行って手続きを行うのが一般的ですが、審査の流れを把握しておくことでスムーズに手続きできるようになります。
時間がある方は、金融機関が実施している相談会などを利用するのもおすすめです。ここでは、本審査におけるおおまかな流れを解説します。
1.事前審査
自身の条件に合う商品を見つけたら、はじめに事前審査に申し込みます。基本的には購入予定の物件と、融資を受ける人について審査が行われます。主な必要書類は、融資を受ける人の本人確認書類と、収入に関する書類、購入する予定の物件に関する書類です。
結果が出るまではおおむね2日から1週間程度が目安となっており、結果は郵送されることが多いです。インターネットから申し込みができる場合は提出書類が異なるケースがあるため、事前に確認しておきましょう。
2.不動産売買契約
事前審査に通ったら、不動産の売買契約を締結します。なぜ事前審査の後に契約するのかというと、購入資金の融資が受けられる目処をつけておく必要があるからです。
一般的には、住宅の購入を申し込んでから事前審査に申し込み、事前審査に通ってから売買契約を結ぶことが多いです。すなわち、本審査は不動産売買契約後に行うのが通常の流れとなっています。
3.本審査
本審査では、事前審査よりも細かい内容までチェックします。そのため提出書類も多くなり、それぞれの書類には発行後3か月以内など期限があるため、一つひとつ不備のないように注意することが大切です。具体的には、以下の書類を用意しましょう。
- 借入申込書など申し込みに関する書類
- 本人確認ができる書類
- 収入に関する書類
- 勤務先に関する書類
- 家族に関する書類
- 物件確認のための書類
- その他状況に応じて必要となる書類
収入に関する書類は、給与所得者であれば源泉徴収票や住民税の決定通知書や課税証明書などが挙げられます。給与所得者でありつつ確定申告も行っている方は、さらに源泉徴収票や確定申告書の写しや所得税の納税証明書が必要です。
物件確認のための書類は、販売図面や不動産の登記事項証明書、売買契約書などいくつか種類があるため、本審査で求められるものを適切に用意することが重要です。
また、不動産の登記事項証明書は、不動産売買契約時に不動産会社などから渡されるため、必要以上に取り寄せる必要はありません。金融機関に提出するまで紛失しないよう、大切に保管しておきましょう。
これらの書類を提出後、1週間~2か月程度で結果が出ます。本審査に通ったら住宅ローンを契約します。
このとき、金利や返済期間が決定しますが、金利は融資が行われた タイミングのものが適用されることが多いです。なかには、契約時点での金利が適用される場合もあるため確認しておきましょう。
手続きは、平日の金融機関営業日に行われます。その際には、借入額に応じた印紙税が必要です。たとえば、借入額が1,000万円から5,000万円以下の場合は、2万円分の印紙が必要です。これらも忘れずに準備しておきましょう。
住宅ローンの契約後は、物件の引き渡しと同時に融資が行われるのが一般的です。その後、契約どおりに返済を進めていく流れとなります。
本審査に通過するためのコツ
住宅ローンの本審査では、提出書類に不備があると書類の再提出が必要となり審査に時間を要することがあります。また、希望する借入金額によっても審査結果に影響すること があるでしょう。ここでは、本審査に通過するためのコツを解説します。
借入希望額を低めに設定する
収入に対する返済の割合を「返済比率」といいます。この返済比率が低い方が余裕をもって返済していきやすいため、審査に通りやすくなります。
既存のローンを完済したり、自己資金を増やしたりして借入金額を低くすることで、本審査に通る 可能性が高まります。
ワイド団信やフラット35を検討する
住宅ローンにはさまざまな商品がありますが、ほとんどの商品で生命保険への加入が必要です。団体信用生命保険(団信)は契約時の必須条件としている金融機関が多いですが、 過去3年以内の病歴や持病などがあると加入ができないことがあります。 日頃から健康管理をしておきましょう。
また、どうしても団信への加入が難しい方は、加入条件が緩和されたワイド団信への加入がおすすめです。ただし、ワイド団信は金利が0.2%程度上乗せされるため、総返済額がおおくなります。直近3年の間はできる限り健康に気を付けておきたいものです。
金利と健康状態が気になる場合は、フラット35の利用を検討してみてください。フラット35は、団信への加入が任意で、転職直後やフリーランスでも利用できる商品です。怪我や病気で返済できなくなったときのリスクは負いますが、健康状態に自信がない方には利用しやすいでしょう。
こちらの記事では、団信の告知書で聞かれる内容や、万が一審査に落ちたときの対処法を解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
融資を受けるまで転職・借入れは 避ける
本審査に通ったあとに転職・借入れをすると金融機関に新しい勤務先情報や新たな借入れの情報を 提出しなければなりません。 借入れの要件が変更するため、再度審査が必要となり融資を受けられなくなるケースもあります。
まとめ
住宅ローンの本審査は、複数の金融機関に申し込んでも問題ありません。むしろ、希望の住宅ローンの審査に落ちた場合でも融資までのスケジュールが大幅に変更せずに済むよう、いくつか申し込んでおくことがおすすめです。
申込書類の準備には労力を要しますが、審査通過後には、自分に最も合う好条件の住宅ローン選びを可能にします。金利や特典などじっくり比較検討し、長期的な視野で判断するとよいでしょう。
「いえーる 住宅ローンの窓口 ONLINE」では、住宅ローンの専門家に無料で相談できるため、納得のいくローン選びが可能です。申し込みから各種手続きまで手厚いサポートを受けられるため、手続きする際の時間や手間の負担も抑えられます。
また、本審査に落ちてしまった場合にも、中立的な立場での提案や相談を行っています。住宅ローンのことならぜひ「いえーる 住宅ローンの窓口 ONLINE」にご相談ください。
住宅ローンについてもっと知りたい・・・
この記事は役に立ちましたか?
もっと知りたいことがあれば、お気軽にお問い合わせくださいね。