住宅を購入した人のほぼ全員が利用しているのが、住宅ローン控除(減税)という制度です。
またこれから家を買う人にとっても、この制度を知っているだけでより厳密な支払計画を立てられ、購入金額などにも役立つかもしれません。
しかし必要書類や申請方法など、はじめて住宅ローン控除を受けたいと思っても、わからないことが多く、不安になる人も多いのではないでしょうか?
この記事では、住宅ローン控除(減税)の説明や、受けるための条件、必要書類や手続き、控除期間が13年になったことなどを解説していきます。
- 住宅ローン控除ってなに?
- 住宅ローン控除の対象住宅や要件
- 控除期間が13年に延長決定!要件は?
- どれくらい減税されるの?控除される金額について
- 住宅ローン控除の申請方法や手続き、申請時期
- 住宅ローン控除で必要な書類は?
- まとめ
住宅ローン控除ってなに?
住宅ローン控除は、住宅ローン減税と呼ばれることもありますが、政府がマイホーム購入を後押しするために出した政策で、正式名称は住宅借入金等特別控除といいます。
住宅ローンなどを利用して住宅を購入した場合に、一定の条件を満たすと年末の住宅ローン残高から最大1%を所得税、住民税から控除されるものです。
毎年最大40万円が10年間戻ってくるという、とてもお得な制度です。
では、実際自分は控除対象住宅なのか?またその要件が気になるところですよね。
そちらに関する説明と、消費税増税にともない控除期間が13年に延長されていることなども解説していきます。
住宅ローン控除の対象住宅や要件
対象住宅
対象住宅は、以下3種類です。
- 新築住宅
- 耐震性能を有している中古住宅
- 100万円以上の工事費がかかる増築、リフォーム
新築や中古住宅に限らず、修繕のための建て替え、バリアフリー対応によるリフォームなども対象となります。
ただし省エネ改修工事やバリアフリー対応工事は、別のリフォーム減税である「特定増改築等住宅借入金等特別控除」の方がお得な場合もありますので、どちらが有利なのかご自身の控除金額を計算してから利用しましょう。
住宅ローン控除の要件
住宅ローン控除を受けるにあたって主に5つ注意しなくてはならない重要な点があります。
1.自らが居住すること
住宅ローン控除はマイホーム購入のための制度です。
そのため、自ら居住する物件に適用となり、セカンドハウスや親が住む住宅、賃貸用の住宅などは対象外となります。
また住宅ローン控除(減税)を受けようとするかたは、原則として物件引渡もしくは工事完了から6ケ月以内にその住宅に居住していなくてはいけません。
居住の確認は住民票で確認をされるため、転居手続きを忘れないように注意しましょう。
2.床面積が50㎡以上
対象住宅の床面積が50㎡以上あることは重要な条件です。
不動産登記簿に記載されている床面積と同じで、戸建住宅の場合は壁芯で測定、各階の床面積の合計となり、共同住宅は内法により専有部の測定を行います。
また床面積の1/2以上を居住用としているかも要件のひとつなので注意してください。
3.借入期間が10年以上
借入期間が9年以下の短期間借入の場合は対象外となります。
4.住宅ローン控除対象の人の所得の合計が3,000万円以下
合計の所得金額が3,000万円を超えた年は住宅ローン控除が適用できません。
所得になにが含まれるのかなどはやや複雑なため、国税庁のホームページをご確認ください。
5.耐震性を有している住宅(中古住宅のみ)
中古住宅は建設日により耐震基準を満たしていないことがあり、新築住宅の適用条件にプラスして次のいずれかが適用できることが条件となります。
2.既存住宅性能評価書(耐震等級1以上)を取得している
3.既存住宅売買瑕疵保険に加入している
4.築年数が一定年数以内である
5.(木造などの耐火建築物以外場合は20年以内/耐火建築物の場合は25年以内)
控除期間が13年に延長決定!要件は?
2019年10月に消費税が8%から10%に増税したことにより、住宅ローン控除期間が最大10年から3年延長し、最大13年になりました。
あくまでも増税による特別措置のため、以下の条件を満たしている場合のみ対象となる期間限定のものです。
注文住宅の場合 | 分譲住宅や既存住宅の場合 増改築をする場合 |
2020年9月末 | 2020年11月末 |
どれくらい減税されるの?控除される金額について
住宅ローン控除期間が13年になったのは理解できても、具体的にどのくらい減税されるのかが気になるところですよね。
控除金額の計算方法についての説明や、実際に控除される金額を計算してみました!
ご自身の控除金額算出に役立ててくださいね。
控除金額の計算方法
1~10年目の10年間と、11~13年目の3年間では、控除金額の計算方法が異なります。
1~10年目 | 住宅ローン年末残高 (上限4,000万円)×控除率1% |
11~13年目 | 以下のいずれか小さい金額
|
11~13年目の計算がやや複雑ですが、記載の通りいずれか小さい金額が適用されることに注意してください。
実際に計算してみよう
ある年の住宅ローン年末残高が3,000万円で、購入金額が4,000万円の場合の控除額を実際に計算してみましょう。
1~10年目の場合:30万円(3,000万円×1%=30万円)
11~13年目の場合:26万6,666円(3,000万円×1%=30万円>4,000万円×2%÷3=26万6,666円)
住宅ローンの年末残高が基準となるため、毎年控除額は変わります。
またあくまでも控除金額のため、控除金額が全額還付されるとも限りません。
所得税よりも控除額のほうが多い場合、オーバーした部分は住民税から控除されますが、住民税の控除は上限があり、所得税の課税総所得金額等の金額の7%(上限13万6,500円/年まで)が翌年の住民税から差し引かれることになっています。
つまり控除金額のほうが所得税と控除上限の住民税よりも上回った場合、その分は控除されません。
では具体的な例で見てみましょう。
控除金額:40万円(上限金額4000万円×1%=40万円)
この年の年間所得税が60万円の人の場合は、所得税額である60万円から控除額40万円が引かれることになり、納税金額は20万円となります。
しかし同じ控除金額が40万円でも、この年の年間所得税額が20万円支払う人の場合はどうでしょうか?
所得税額の20万円は全額控除されるため、所得税は0円になりますが控除しきれない残りの20万円全額は住民税から控除はされません!
住民税の控除上限額は13万6,500円ですので、差額の6万3,500円は減税とならないのです。
所得税が多い人=所得が多い人ほど住宅ローン控除の恩恵をMAXで受けられるということになります。
ただし、そうはいっても最大480万円も控除されるお得な制度ですので、家を買う人は必ず利用しましょう。
住宅ローン控除の申請方法や手続き、申請時期
では、実際住宅ローン控除を受けるためにどのようにいつまでに申請を行ったらよいのでしょうか?
申請方法や申請を行う時期について説明していきます。
申請方法
住宅ローン控除を受けるには確定申告をする必要があります。
対象住宅に入居した年の翌年の確定申告時に、税務署に必要書類を提出します。
なお、確定申告は以下3つの方法があります。
- 郵送申告
- インターネット申告(e-Tax)
- 管轄税務署にて直接申告
会社員など給与所得者の場合は、2年目以降からは年末調整で控除を受けられるようになるため、住宅ローン控除の申請で大変なのは初回のみです。
しかし、住宅ローン控除は何度も行うものではないため、書類の記入では戸惑うことも多いでしょう。
不安に思ったら提出する前に、税務署に記入方法などを質問してから確定申告書を完成させると、後日申請不備で再提出となって還付金の振込が遅れるリスクが避けられます。
確定申告時期は?
住宅を取得し、居住した年の翌年に行うことになります。
確定申告は毎年2月中旬から3月中旬の1か月の間に行う必要がありますが、2021年は新型コロナウイルスの影響を受け、申請時期が延長になる可能性があるため、時期が近付いたら国税庁のホームページを確認することをおすすめします。
なお、申請してから1か月ほどで確定申告の際に指定した口座へ還付金は振り込まれます。
年明けから春にかけて、仕事が多忙になり奔走している間に、確定申告時期がすぎてしまった…という人も少なくありません。
特に住宅ローン控除に関しては、うっかり申請を忘れてしまうと大損してしまう可能性も。
しかしそのような場合ももしかしたら申請が間に合うかもしれません!
詳しくはこちらの記事をご確認ください。
住宅ローン控除で必要な書類は?
住宅ローン控除を最初に申請するときに必要な書類は以下の通りです。
書類名 | 入手先 |
マイナンバーカード ※ない場合は個人番号通知書やマイナンバー記載の住民票でも可。 |
市区町村 |
住宅ローンの残高証明書 | 借入先金融機関 |
給与等の源泉徴収票 | 勤務先 |
確定申告書 | 税務署 国税庁のホームページ |
(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書 | 税務署 国税庁のホームページ |
土地・建物の登記事項証明書 | 法務局 |
土地・建物の売買契約書もしくは工事請負契約書 | 本人 |
<中古住宅の場合>以下のいずれかの書類
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建築士等 登録住宅性能評価期間 住宅瑕疵担保保険法人 |
ただし、人により追加で必要な書類が生じることがありますので、詳しくは国税庁のホームページで確認してください。
ただし、人により追加で必要な書類が生じることがありますので、詳しくは国税庁のホームページで確認してください。
まとめ
住宅ローン控除は、税金が最大13年間も控除される非常に良い制度ですが、初年度は必ず確定申告をしなくてはなりません。
用意する書類が多いため、確定申告時期にバタつかないように早めに準備しておきましょう。
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