信用情報を開示請求する場合、デメリットがあるのか、本人以外でも請求できるかなど、さまざまな疑問を抱えている方がいるのではないでしょうか。信用情報開示を請求する前に、どのような流れで開示するのか確認しておくことが大切です。
本記事では、信用情報開示の注意点や加盟機関の種類、請求する方法をご紹介します。そのほか、信用情報に傷がついてしまう事例をいくつかお伝えするので、これから住宅ローンを組もうと検討している方は、ぜひ参考にしてください。
信用情報開示のデメリット
信用情報開示のデメリットを挙げるとすれば、手数料がかかるという点です。加盟機関には主にJICC・CIC・KSCの3つがあり、各機関・請求方法によって手数料が異なりますが、多くの場合500~1,000円ほどとなっています。
信用情報の開示請求を行っても、審査に影響が出てしまったり、本人に不利に働いたりすることは基本的にありません。信用情報開示により、情報の登録期間が延びるというケースもないので、安心して手続きを進められるでしょう。
また、信用情報開示を請求するのに抵抗がある方で、信用情報に不安がある方はクレジットカードを作成してみることである程度確認することができます。「credit=信用」と意味するようにクレジットカードは個人の信用をもとに後払いの返済をするしくみとなっています。 そのため、クレジットカードは必ず利用者の返済能力があるかどうかの審査を行います。カードが発行されるということは、 個人信用情報に問題がなかったということになります。ただし、複数のクレジットカード審査を一度に同時に申込むと貸し倒れのリスクがある と判断され審査に影響してしまうおそれがあります。
そのため、クレジットカードを作成する場合は、1社ずつ審査を受けることがポイントです。万が一、審査に落ちた場合は、直ちに再度申し込むのではなく、3か月以上の期間をあけて申し込んでみるとよいでしょう。
信用情報機関に開示請求する際の注意点
信用情報の開示請求する際、手数料がかかるという点だけではなく、そのほかの注意点を確認しておくことが大切です。ここでは、信用情報機関に開示請求をするときの注意点を2つご紹介します。
加盟機関を確認すること
信用情報機関に開示請求する場合、各機関にどのような機関・企業が加盟しているのかを確認しておきましょう。信用情報機関によって、チェックされる項目が異なります。
たとえば、JICCの場合は主に消費者金融やクレジットカード会社、CICの場合は主に信販会社やクレジットカード会社、KSCの場合は全国の銀行が加盟しています。JICCとCICのどちらにもクレジットカード会社が加盟していますが、具体的な社名は異なるので把握しておきましょう。
また、開示請求したい情報を扱っているか確認したい場合、各信用情報機関のホームページなどで調べられます。事前にリサーチしておくことで、開示請求先を間違ってしまうという事態を避けられます。
情報が反映されるまで時間がかかること
信用情報の開示請求をしても、最新情報を手に入れられるとは限りません。信用情報は、1か月に1度のペースで更新されています。更新日は加盟会社によりことなるため、請求するタイミングによっては、古い情報を入手してしまうというケースがあるでしょう。
最新情報を入手できなかった場合は、直ちに開示請求するのではなく、一定期間おいてから再度請求することがポイントです。最低でも、1か月ほど期間をあけておけば、最新情報を入手できる可能性があります。
信用情報機関の種類
主な信用情報機関の特徴をご紹介します。信用情報の開示請求を考えている方は、ご自身の確認したい信用情報を正しく請求するため、ぜひ参考にしてください。
JICC
JICCは、株式会社日本信用情報機構のことです。JICCに加盟している機関・企業は、クレジットカード会社や信販会社、ローン会社、消費者金融などです。
申し込みに関する情報は6か月間登録され、契約や返済、滞納などに関する情報は5年間登録されます。JICCは、ほかの信用情報機関と異なり、任意整理に関する情報も登録しているので、扱っている情報量が多いといえるでしょう。
CIC
CICは、株式会社シー・アイ・シーのことです。CICに加盟している機関・企業は、クレジットカード会社や信販会社、リース会社、消費者金融、保険会社、携帯電話会社などです。
JICCと同じく、申し込みに関する情報は6か月間登録され、契約や返済、滞納などに関する情報は5年間登録されます。ただし、個人再生や任意整理に関する情報は扱っていないので把握しておきましょう。
KSC
KSCは、全国銀行個人信用情報センターのことです。KSCに加盟している機関・企業は、銀行や信用金庫、信用組合、農協組合、政府系金融機関などです。
申し込みに関する情報は6か月間、契約や返済、滞納、貸付自粛情報に関する情報は5年間登録されます。また、自己破産や個人再生に関する情報は、7年間と長期間登録されます。
信用情報機関に開示請求する方法
信用情報開示を検討している場合、スムーズに手続きを進めるために、事前に請求する方法を確認しておくことがポイントです。ここでは、信用情報機関に開示請求する方法をJICC・CIC・KSCの3つに分けてご紹介します。
JICCの場合
JICCに開示請求をする場合、窓口・郵送・インターネットから手続きを行うことが可能です。ここでは、インターネットから開示請求する方法をお伝えします。
- 1. スマートフォンにJICCアプリをインストールする
- 2. アプリ内で本人認証を行う
- 3. 本人情報を入力する
- 4. 手数料の決済を行う
- 5. 手続き完了後にアプリまたは郵送で開示結果を受け取る
スマートフォンから開示請求した場合、クレジットカード決済・コンビニなどでのオンライン収納代行・キャリア決済の3つから選ぶことが可能です。
郵送で開示請求する場合は、運転免許証などの本人確認書類を準備しなければいけません。決済については、郵送の場合コンビニなどで購入できる郵送開示利用券のみと限られています。
CICの場合
CICに開示請求する場合、JICCと同じようにインターネットや郵送で手続きを行えます。ここでは、インターネットから開示請求する方法をお伝えします。
- 1. クレジットカードまたはキャリア決済の可否を確認する
- 2. クレジットカード契約時に登録した電話番号から指定の電話番号にかける
- 3. 音声ガイダンスの案内にしたがって受け付け番号を取得する
- 4. 受け付け番号や本人情報などの必要事項を入力する
- 5. 手数料の決済を行う
- 6. 開示結果を受け取る
インターネットから開示請求する際、手数料の支払い方法はクレジットカードまたはキャリア決済なので、ATMなどに行かなくてもその場で手続きを進められます。郵送の場合は、郵送開示利用券またはゆうちょ銀行の定額小為替証書にて決済します。
KSCの場合
KSCに開示請求する場合、インターネットまたは郵送から手続きを行えます。ここでは、インターネットから開示請求する方法をお伝えします。
- 1. メールアドレスを登録する
- 2. 氏名や住所、電話番号など申し込み情報を入力する
- 3. 公的個人認証または本人確認書類を使った本人確認を行う
- 4. 決済サイトのURLが記載されたメールを受け取り、手数料の決済を行う
- 5. ダウンロードサイトのURLが記載されたメールを受け取り、開示報告書をダウンロードする
インターネットから開示請求を行う場合、マイナンバーカードまたは顔写真付きの本人確認書類が必要です。手数料の支払い方法は、クレジットカードまたはデビットカード決済・PayPay・キャリア決済の3つから選べます。
郵送で開示請求する際、申込書や本人確認書類のコピー、郵送開示利用券を準備する必要があります。郵送する費用がかかり、不備があった場合には再度書類を送らなければいけません。
そのため、手続きに手間をかけたくない場合や、費用を抑えたい場合にはインターネットからの開示請求がおすすめです。ただし、開示報告書はURLが記載されたメールを受信してから10日以内にダウンロードしなければいけないので、迅速に対応することがポイントです。
信用情報に傷が付く例
信用情報に傷が付くと、住宅ローンの審査などを通過できなくなるおそれがあります。ここでは、信用情報に傷が付いてしまう事例を7つご紹介します。
クレジットカードの利用料金を延滞している
クレジットカードで買い物した際、利用料金を滞納すると、完済後もしばらく滞納情報が登録されてしまうケースがあるでしょう。たとえばJICCでは、延滞解消の事実情報は、2019年9月末以前の契約日であれば1年を超えない期間、2019年10月以降の契約日であれば5年以内の期間残ります。
また、クレジットカードの利用料金を返済できないと判断されたときは、クレジットカード会社の判断により強制解約となるおそれがあります。強制解約や虚偽の情報で登録していた場合も信用情報に傷が付くケースがあるでしょう。
奨学金の返済を滞納している
日本学生支援機構(JASSO)の場合、奨学金の返済を3か月以上滞納すると、返済が完了しても5年間は情報が残ってしまいます。なお、日本学生支援機構が信用情報機関に加盟したのは2008年11月であり、2009年4月から信用情報の登録を実施しています。
携帯電話の分割購入代金の未納がある
携帯電話本体の分割購入代金を支払わずにいると、信用情報に傷が付いてしまうおそれがあるでしょう。通話料金のみであれば割賦商品に含まれないため信用情報に登録されることはありませんが、クレジットカード払いにしている場合はクレジットカードの支払いに延滞情報が 登録される場合があるので注意が必要です。
任意整理したことがある
任意整理とは、裁判所などの公的機関を通さずに債権者と直接交渉し、返済方法を話し合って決める債務整理です。引き直し計算によって借金の減額が見込まれる場合や、借金の総額が比較的少額な場合に行われます。
任意整理の記録は信用情報に残るおそれがあるので、住宅ローンの審査を通過できないこともあるでしょう。
特定調停したことがある
特定調停とは、支払い不能に陥るおそれがある債務者と債権者の間に簡易裁判所を挟み、今後も支払いを継続することを前提として、返済方法をはじめとする双方の利害関係を調整する債務整理です。
任意整理との大きな違いは、公的機関の介入の有無に加え、弁護士を雇わずとも個人でも申し立てを行える点です。個人での申し立ては債権者1件につき500円程度と、非常に安価なところも強みでしょう。
しかし、特定調停もまた信用情報に残るおそれのある手続きです。JICCでは、債務整理にまつわる情報の保管期間を5年以内としています。
自己破産したことがある
自己破産とは、裁判所を通して借金の返済を免除してもらう債務整理です。自己破産もまた、信用情報機関に異動情報として登録されます。基本的には、自己破産実施から5年間は信用情報から削除されません。
個人再生したことがある
個人再生とは、ある程度安定した収入があるものの現在の借金が破産につながるおそれのある債務者を対象に、裁判所を通して借金の一部を免除する再建型債務整理です。負債総額に応じて最低限返済すべき金額が定められており、この金額を返済すると負債残額は免除となります。
裁判所に再生計画を認可してもらう必要があり、多岐にわたる書面を作成しなければならないため、弁護士などに依頼して手続きしてもらうことがほとんどです。
個人再生に関しても、信用情報に登録されるおそれのある手続きといえるでしょう。借金を完済しても、5年間は信用情報から消えることはありません。
現在借金がある場合、住宅ローンの審査に通るか不安になるものです。こちらの記事では、借金があっても住宅ローン審査は通るのか、また、借金がある場合の審査対策について解説しています。
開示請求は本人以外でもできる?
信用情報の開示請求は、法第76条により、本人や法定代理人、任意代理人のみ行えるとされています。法定代理人や任意代理人なら本人以外でも開示請求ができますが、それら以外の方では行えません。
ただし、本人が意思表示するのが難しく、また本人の生命や身体、財産を保護する必要があるときに、親族などに情報を提供するケースがあります。こうした特別な状況でない限りは、本人や法定代理人、任意代理人以外が開示請求を行うことはできません。
まとめ
住宅ローンの審査を受ける際、信用情報開示を請求するデメリットとしては、手数料がかかってしまうという点が挙げられます。基本的に本人以外は開示請求できず、開示請求することで今後の審査や信用情報に影響することはありません。
ただし、開示請求するたびに手数料がかかるので、請求先を間違えないように加盟機関を確認しておくことが大切です。住宅ローンを検討している方は、事前に信用情報に傷が付く事例を確認し、日々の支払いで遅滞などをしないように注意するようにしましょう。
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