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公開日:2024/06/17

住宅ローンの借入額を決めるときのポイント

CONTENTS

住宅ローンの審査を申込む際にはできるだけ具体的な借入可能額を把握するようにしておきましょう。 住宅ローンで借りることが出来る融資金額の上限を超えて申込みをすると、審査に落ちてしまう可能性があるためです。
借入可能額は申込人の 年収のほか、返済負担率や融資率など、さまざまな要素がもととなります。今回の記事では、住宅ローンの借入可能額を決める要因や借入額の目安について紹介します。

後半では、限度額いっぱいまで借りることのメリット・デメリットもまとめました。これから住宅を購入しようと検討している方は、ぜひ参考にしてください。

借入可能額を決める要素

住宅ローンの借入可能額は、年収以外にも次のような要素をもとに、総合的に判断されます。

  • 返済負担率
  • 融資率
  • 借入限度額
  • 返済能力
  • 担保価値

年収だけを基準としていると、上記の要素による影響を見落としがちになります。審査において懸念事項と判断される可能性があるため、 それぞれの要素について正しく理解しておきましょう。

返済負担率

返済負担率とは、年収に占める年間返済額の割合です。返済負担率が高すぎると、収入の多くを月々の返済に充てなければならず、生活が苦しくなります。また、将来返済が滞るリスクが高いと判断されて、審査が通りにくくなることがあります。
たとえば、住宅金融支援機構が提供するフラット35の場合は、返済負担率を以下のように設定しています。

  • 年収400万円未満:30%以下
  • 年収400万円以上:35%以下

民間の金融機関でも、それぞれが返済負担率の限度を設定しています。年収の多さよりも返済負担率が優先されるのが一般的です。
また、多くの場合、年収が低いほど返済負担率の限度も低くなります。返済負担率の計算は「年間返済額÷年収×100(%)」で、ここで当てはめるべき年収は所得税などを差し引く前の税込年収です。

融資率

融資率は、購入物件の総額に対する借入額の割合です。たとえば、5,000万円の物件を購入する際に、自己資金を1,000万円出して4,000万円をローンで借りた場合、融資率は以下の式から80%となります。

融資率(%) =借入金額 ÷ 物件購入・建設総額 × 100
=4,000万円 ÷ 5,000万円 × 100
=80%

この融資率が高いと、審査に通りにくくなることがあります。融資率の高さによって適用金利が変わるケースも多々あります。たとえばフラット35【保証型】では融資率に応じて適用金利が変わります。
基本的には、融資率が高くなると適用金利も高くなります。融資率が高いということは、それだけ借入者の返済負担が重くなると想定されるためです。

また、万が一返済が滞って物件を差し押さえることとなったときに、残債対比での物件の資産価値が小さく、債権回収が難しくなるリスクがあることも背景にあります。

借入限度額

ローンによっては、個別に借入限度額が決まっている場合があります。年収が高く、高額な物件を購入したいと思ってもそのローンの借入限度額を超える金額の借入はできません。たとえば、フラット35の場合は限度額が8,000万円となっています。
民間の金融機関でも、商品ごとに借入限度額を設けており1億円以上の借入れとなると利用できる金融機関が限られます。

返済能力

返済能力は、住宅ローンの限度額を決める重要な要素です。年収も返済能力の指標のひとつです。年収が高ければ、より多くの金額を返済にあてても生活を維持できる可能性が高いためです。
既存の借入れ状況も重視されるポイントとなります。 車やショッピングなど、別のローンの返済が続いている場合、その支払いが返済負担率を上げる要因となるためです。

もしも、支払遅延などの信用事故を引き起こした場合、審査において返済能力に懸念があると判断され、住宅ローンが組めなくなるので注意しましょう。

担保価値

購入を考えている住宅の担保価値も、借入可能額を決める重要な要素です。住宅ローンは、基本的に購入対象の物件を担保にして融資する制度です。万が一住宅ローンの返済が滞った場合、 金融機関は担保を差し押さえて現金化するなどして、債権の回収にあたります。
借入れ額と比べ担保価値が高い物件の方が、担保を差し押さえた場合に、売却して残債権を処分できる可能性が高まるため、審査においても重要視されます。購入時の価格も重要ですが、物件の品質や立地などの資産価値も重要です。

「いえーる 住宅ローンの窓口 ONLINE」では、自分が希望する借入れ条件を踏まえて、一人ひとりに適したローンを確認できます。また、今回の記事でも紹介している借入可能額に悩む方は、無料で専門家への相談も可能です。
住宅を購入するにあたり、住宅ローンの借入可能額を確認してみたい方は、ぜひ一度「いえーる 住宅ローンの窓口 ONLINE」を利用してみてください。

借入可能額の計算方法

借入可能額はさまざまな要因によって変動するため、正確な金額は金融機関に相談しなければ把握できません。
ここでは、返済率をもとにした借入可能額の計算を実例とともに紹介します。

計算式

返済負担率をもとにした借入可能額は、次の式で計算できます。

借入可能額=年間返済可能額÷12か月÷100万円あたりの審査金利をもとにした返済月額 × 100万円

年間返済可能額=額面年収×返済負担率の上限

たとえば、年収600万円の方がフラット35を借りる場合、返済負担率の上限は35%です。このときの年間返済可能額の計算は、次のようになります。

年間返済可能額 = 6,000,000円 × 35% = 2,100,000円

返済負担率 の限度は、年収にかかわらず一律か年収が高いほど高くなる傾向にあります。そのため、基本的には年間返済可能額も年収に比例して高くなると考えられるでしょう。

いえーる 住宅ローンの窓口 ONLINEのWebサイトでは返済可能額をシミュレーションできます。ぜひご活用ください。

計算例

年収700万円の方が、35年ローン、適用金利1.8%の前提で借りると仮定して、借入可能額をシミュレーションしました。ここではフラット35同様に返済負担率を35%とします。

年間返済可能額 = 7,000,000円 × 35% = 2,450,000円

次に、35年ローン・金利1.8%のとき、100万円あたりの返済額は3,210円です。これをもとにすると、借入可能額は次のように計算されます。

借入可能額 = 2,450,000円 ÷ 12か月 ÷ 3,210円 × 1,000,000円=6,360万3,323円

およそ6,360万円が借入可能額となります。なお、年収倍率も審査の際に重視される傾向があり、おおむね年収の7倍程度がひとつの目安です。
年収倍率を重視する金融機関では、返済負担率よりも年収対比での倍率が重視されて、借入可能額が低くなる可能性もあるでしょう。

借入可能額の目安

返済負担率を35%、適用金利を1.8%とした場合の借入限度額、および年収の7倍とした場合の借入限度額を並べると、次のとおりになります。

年収 年収倍率で見た限度額 返済負担率でみた限度額
(7倍)
300万円 2,100万円 2,726万円
400万円 2,800万円 3,634万円
500万円 3,500万円 4,453万円
600万円 4,200万円 5,452万円
700万円 4,900万円 6,360万円
800万円 5,600万円 7,269万円
900万円 6,300万円 8,178万円
1,000万円 7,000万円 9,086万円

返済負担率と年収対比での倍率のどちらを重視するかは、金融機関によって異なります。借入額を伸ばしたいという方は、複数の金融機関に相談して、自分にあった金融機関を見つけましょう。

借入額を決めるときのポイント

借入額を決めるときのポイントとして、次の3点を考慮しましょう。

  • 諸費用や維持費用を考慮する
  • 金利タイプを把握する
  • 将来のライフプランも踏まえる

それぞれのポイントについて、詳しく紹介します。

諸費用や維持費用を考慮する

住宅ローン借入時の諸費用や、自宅の維持費用を考慮して返済計画を立てましょう。金融機関によって異なりますが、住宅ローンを利用するにあたり融資手数料や保証料などの費用が必要となる場合もあります。
また、多くのローンでは火災保険に加入することが条件となるため、実質的に保険料も最初にかかります。物件購入にともない、登記費用や仲介手数料などもかかるでしょう。

自宅に住み始めれば、修繕・メンテナンスなどの維持費がかかるほか、毎年固定資産税が発生します。このような初期費用や長期でかかる維持費用を考慮して、現実的かつ保守的な返済計画を立てることが重要です。

金利タイプを把握する

住宅ローンの金利タイプを把握して、自分に合ったものを選択しましょう。ローン金利は、大きく分けて変動金利と固定金利のタイプがあります。さらに、固定金利は期間限定で固定となるもの、借入期間を通じて固定となるものがあるので注意しましょう。

期間限定で固定となるもののなかには、固定期間経過後に変動金利になるものと、特約などでふたたび固定期間にできるものもあります。基本的には固定期間が短いほど金利が低くなりますが、将来金利が上昇したとき、返済負担が増大するリスクがあります。金利水準とリスクの両面を踏まえて、最適なプランを選んでください。

将来のライフプランも踏まえる

返済計画を立てるときには、将来のライフプランも踏まえる必要があります。たとえば、将来収入が下がる心配がある場合、現時点での借入可能額いっぱいまでローンを借りるのは避けた方がよいでしょう。
また、今後子どもが成長して教育費用が増大するなど、支出が増える要素がある方も注意が必要です。住宅ローンは長期にかけて返済が継続します。今だけでなく、長期間の返済継続が可能であることを確認したうえで契約を進めましょう。

限度額まで借りても大丈夫?

限度額と、現実的に返済できる金額は、まったく異なります。借入れ可能というだけで限度額いっぱいまで借入れをすることはおすすめしません。
一方で、金融資産に余裕がある方や、家計のやりくりが上手で限度額まで借りても返済に不安がないなら、あえて限度額まで借りるのもひとつの選択肢となります。限度額まで借りるメリット・デメリットを整理したため、借入額を検討する際の参考にしてください。

限度額まで借りるメリット

限度額まで借りれば、それだけ住宅購入に多くの資金を充てられるため、より高額な物件が手に入ります。より広い家、利便性の高い家に住むことが可能です。また、都市部の好立地な物件を購入すれば、資産価値を維持する観点からも有効です。
近年は歴史的な低金利が続いているため、比較的返済コストを抑えて借りることができるのもメリットといえます。現預金や金融資産に余裕がある方なら、借入を積極的に活用して自己資金を温存し、それを投資に回すといった戦略も考えられるでしょう。

限度額まで借りるデメリット

限度額まで借りる最大のデメリットは、月々の返済額が重くなり、生活が厳しくなるリスクがあることです。借入限度額は、家計状況まで踏まえたものではありません。たとえば子育てや教育コストで多額の支出がある家庭は、ローン返済額を重くすると、家計が破綻するリスクも高まるでしょう。
また、変動金利で限度額までローンを借りている方は、将来の金利上昇がリスクとなります。今後もし金利が上昇した場合、借入額が大きい分返済額も大きく増大する可能性があります。

万が一住宅ローンの審査に通らなかったときのために、同時に複数のローンを申し込んでおく方も少なくありません。こちらの記事では、住宅ローン審査複数申し込みのメリットやデメリットを解説します。

まとめ

借入可能額は、年収のほかにも今回紹介したような返済負担率や融資率、返済能力などによって変わります。基本的に年収が高いほど借入可能額が伸びる傾向にはあるものの、完全に比例するとは限らないため注意しましょう。
また、借入可能額の限界まで借りることが正解とは限りません。将来のライフプランなども踏まえて、余裕をもって返済できる 金額を借りてください。

「いえーる 住宅ローンの窓口 ONLINE」を活用すれば、自分が希望する借入れ条件にマッチした金融機関やローンを選べます。また、専門家への住宅ローン借入の相談も可能です。
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