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【50代】自分の年収でいくらの家が買える?|年齢と年収から導き出す

住宅ローンに関するブロガーとして著名な千日太郎さん。過去にお話しいただいた「ボーナス払い ダメ、絶対」「今の低金利時代に定期預金なんて勿体ない?ならば住宅ローンを繰上返済しよう」などが大変好評でしたが、今回は50代の方向けに「いくらの家が買えるのか?」について教えていただきました。(いえーる 住宅ローンの窓口 ONLINE編集部)

20代の方はこちら⇒20代でいくらの家が買えるのか?
30代の方はこちら⇒30代でいくらの家が買えるのか?
40代の方はこちら⇒40代でいくらの家が買えるのか?

CONTENTS


自分の年収でいくらの家が買えるの?

50代というと、昭和47年生まれの千日よりも上の世代の人です。

年齢階層別平均給与では、会社の主戦力となっている30代の人達と指揮官として収入のピークとなる50代です。

(国税庁 27年度 年齢階層別 給与所得者の平均給与より作成)

そして、収入だけでなく預貯金についても多いですね。

下記は、平成28年度の総務省による家計調査報告から千日が作成したグラフです。

持家率も参考になると思います。

60歳以降も貯蓄が増えていますよね。

これは、現時点では年金収入でも生活しながら貯蓄が出来ているということです。

しかし、今後は少子高齢化で年金が減っていくことを考えると…未来の60歳以降の貯蓄のグラフは下がっていく傾向にあるのだと思います。

(総務省 平成28年度 第8-5表 世帯主の年齢階級別貯蓄及び負債の1世帯当たり現在高より作成)

50代になると、定年退職までは10年を切りますので、その間の収入で返済するというよりはそれまで貯めた貯蓄によって家を購入するということになりますね。

ですから、購入できる家の値段は以下のような式で計算できます。

50代から購入する家の値段=現時点の税込み年収×0.17×退職までの年数+自己資金

例えば年収600万円で退職までの年数が10年ならば、上記の式にあてはめると住宅ローンの金額は1020万円です。

これに自己資金を足せば、自分が今の時点で無理なく買える家の値段が計算できるということです。

今いくらの家が買える?

現時点の税込み年収
万円×0.17
×
退職までの年数
自己資金
万円

あなたは
万円
の家が購入できます。

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今いくらの家が買える?

現時点の税込み年収
万円×0.17
×
退職までの年数
自己資金
万円

定年退職までの約10年、この間の収入は主に老後資金のための貯蓄に充てられます。

50代からいくらの家を買えるのか?というのは、年収よりもそれまでに貯めた自己資金の額によるところが大きいです。

今の自己資金でどれほどの家が買えるのかを、専属アドバイザーに相談してみることもオススメです。

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老後の安心のために家を買って良いのか?

下記はある民間企業が「家を買った理由」についてアンケートを行った結果です。

1位 子どもや家族のため家を持ちたいと思ったから 40.3%
2位 現在の住居費が高くてもったいないから 28.5%
3位 金利が低く買い時だと思ったから 25.7%
4位 資産を持ちたいと思ったから 19.9%
5位 老後の安心のため住まいを持ちたいと思ったから 16.5%

5位の「老後の安心のため」と答えた人が16.5%いるのですが、家を買うこと=老後の安心とは限らないのがこれからの少子高齢化社会です。

しかし、現時点でも在職老齢年金(働きながら年金を受け取ると年金額の一部又は全部が支給停止される)や高年齢雇用継続給付を受けると年金の一部が支給停止されるなど、年金の支給額は年々減少しています。

自分たちが年金を受ける立場になったときに、今の水準で年金の支給を受けられるとは考えにくいですよね。

老後資金を残した上で家を買うのであれば、年金収入になった時の住居費の節約につながるでしょう。

しかし、家を買ったことによって老後資金が底を尽いてしまったとしたら?むしろ自ら老後破産のリスクを高めてしまっていることになるのです。


50代からの住宅ローンは効率性よりも貯蓄と持続可能性

50代から住宅ローンをスタートする場合、普通に完済できるという人は少数派ですよね。

そして、年金収入で住宅ローンの利息を払い続けるのは損だということで、何が何でも完済しようとするのは危険だと思っています。

定年後に両親の介護費用が必要になりますし、民間の老人ホームに入るのにも最初にまとまった現金を保証金として納める必要があります。

支給される年金が減ることが分かっている状況では、支払う利息の節約よりもまとまった貯蓄を残しておくことの方がより重要なのです。

年金と介護費用のリアル

例えば、親が認知症になっても、以下の状態であれば『要介護2』です。

立ち上がりや歩行などが自力では困難。排泄、入浴、衣類の着脱などで介助が必要。
日課や直前に何をしていたのかが部分的にわからないため、生活に支障をきたす。
他人とのスムーズな対応が困難。

要介護2は公的介護保険の施設サービスを利用して、介護施設に入所することができますが、特別養護老人ホームへの入所が出来るのは原則として要介護3からです。

要介護2では、週に2~3回の訪問介護や通所介護が基本となり、介護の負担は家族に重くのしかかります。

老齢年金の受給権を持つ人の平均年金月額は約20万円ほどですが、民間の介護付き有料老人ホームの平均的な費用(30日換算、要介護3の場合)は28万6千円かかります。

内訳は以下のとおりです。

居住費     120,000円
食費      73,500円
その他費用   69,000円
介護サービス費 22,701円
サービス加算   1,567円

平均的な金額ですので、具体的な費用は老人ホームのホームページで確認して下さいね。

調べてみたら分かりますが上記に加え別途、入居一時金として300万円程度のお金が必要です。

とてもじゃありませんが、年金で賄えるものではありません

ちなみに特養老人ホームの費用は8万8千円からで入所一時金などの初期費用無しです。

全然違いますね。

年金で持続可能ならあえて完済しないのが正解

例えば、定年の時点で1000万円(金利1.2%)の住宅ローンが残ってしまったとします。

貯蓄は1000万円です。

これを完済したら手許の貯蓄がゼロになります。

完済せずに継続したら、貯蓄は手許に残りますが、1カ月に1万円(以下)の利息を元本とは別に払うことになります。

単純な損得勘定ならば前者の一括返済が正解になるのですが、それはあまりに危ないですよね。

年金で返済を継続できるのなら、無理に一括返済せずに後者の継続を選ぶべきでしょう。

金利が上がって支払いが辛くなったら、その時には繰上返済して毎月の返済額を減らす調整をすれば良いのです。


定年後の返済を少なくするためのテクニック

定年後の返済を少なくするためのテクニックとしては、以下の3つの方法があります。

  1. 繰上返済して毎月の返済額を減らす
  2. 10年固定と20年固定のミックスローン
  3. リバースモーゲージ

それぞれご紹介しましょう。例として、50歳で年収600万円、貯蓄を2000万円とします。式にあてはめると…

3020万円=600万円×0.17×10+2000万円

約3000万円の家を購入できるということになりますね。

繰上返済して毎月の返済額を減らす

定年時に繰上返済して毎月の返済額を減らせば、嘱託社員になって収入が半減しても、またその後年金収入のみとなってさらに収入が減少しても、支払を継続することが可能ですよね。

なお、繰上返済には二つのタイプがあります。

期間短縮型は繰上返済によって返済期間を短縮するタイプで、毎月の元利均等返済額はそのまま。
返済額軽減型は繰上返済によって毎月の元利均等返済額を減らすタイプで、返済期間はそのまま。

期間を短縮する方が支払利息を安くできるので期間短縮型を勧める人もいますが、今回は支払を減らして、定年退職後も継続することを前提にしていますので、「返済額軽減型」を選択します。

《3000万円を29年元利均等返済0.5%で借りた場合》
この場合選ぶのは変動金利(0.5%)で、期間は最長の29年とします。

多くの銀行で住宅ローンを組めるのは80歳未満となっているためですね。

そうすると、10年後の定年時の残高は2千万円です。

このうちの半分を繰上返済すると、その後の毎月返済額も約半分になるのです。

そして、元の自己資金の2000万円のうち、約半分は温存出来ているということです。

60歳定年時に
半額繰上返済
変動金利
0.5%
毎月返済 92,626
60歳残高 20,142,573
繰上返済 10,142,573
その後毎月返済 45,985

(単位:円)

いかがでしょうか。これならば、定年後に嘱託になったとしても、また年金だけになったとしても続けて行けそうですよね。

なお、変動金利の場合は返済額の25%を貯蓄した上で手取り月収の4割以下にすることをセオリーとして推奨しておりますが、今回その条件は不要です。

なぜか?

2000万円の自己資金を温存していますので、いつでも元本を減らして利息の負担を減らすことが出来るからです。

また5年ルールがありますから、金利が上がっても5年間は返済額は増えませんよね。

加えて、当初の10年間は住宅ローン控除があり、年末の住宅ローン残高の1%の税金が還付されますから金利の上昇による負担はかなり相殺されるのです。

これらの変動金利のポイントについて、詳しくはこちらをどうぞ。

変動金利とは何か?をあなたは知らない by |住宅ローンの選び方vol.2


10年と20年のミックスローン又はフラット35Sで定年時に繰上返済する

十分な貯蓄があれば、変動金利で繰上返済することで対応できますが、金利変動リスクをできるだけ負いたくない、という人もいると思います。

そういう場合は10年と20年のミックスローンかフラット35Sで借りて繰上返済することをお勧めします。

《3000万円を29年元利均等返済で10年固定(0.66%)と20年固定(1.01%)半分ずつミックス》
10年固定の方だけを10年後の定年時に全額繰上返済すれば、残るのは20年固定の方だけですね。

つまり、定年後の毎月の返済額は半分となります。

そして、元の自己資金の2000万円のうち、約半分は温存出来ているということです。

変動金利のときよりも少し支払いが多くなりますね。

金利変動リスクを負わないことが支払いに影響しているのです

60歳定年時に
10年固定繰上返済
10年固定
0.66%
20年固定
1.01%
毎月返済 47,372 49,742 97,114
60歳残高 10,148,378 10,315,377 20,463,755
繰上返済 10,148,378 0 10,148,378
その後毎月返済 0 49,742 49,742

(単位:円)

《3000万円を29年元利均等返済でフラット35S金利Aプラン(0.82%→1.12%)で借りた場合》
フラット35Sは当初の10年(金利Aプラン)の金利を0.3%引き下げるもので、省エネルギー性、耐震性など質の高い住宅を取得した場合に金利優遇される制度です。

10年後に約半分を繰上返済すれば、その後の返済額が半分になります。

ミックスローンとほぼ近似した結果が得られます。

ただしフラット35は団信保険料が任意で、別契約となっていますので、加入する場合はこれに加えて年1回の団信保険料が必要になります。

60歳定年時に
半額繰上返済
フラット35S
0.82%→1.12%
毎月返済 96,892
60歳残高 20.450,014
繰上返済 10,450,014
その後毎月返済 48,712

(単位:円)

ざっと簡単な説明でしたが、詳しくはこちらをご一読ください。

固定金利と変動金利のミックスローンとは?|住宅ローンの選び方【中級編 (前編)】


一定期間固定金利のミックスローンとは?|住宅ローンの選び方【中級編 (後編)】


リバースモーゲージで元本は返済せずに利息だけ払う

そして、最後がリバースモーゲージです。

あまり聞きなれない言葉かもしれませんね。どういうものか、ご説明しましょう。

マイホームを担保にお金を借りて存命中は利息だけ支払い、死亡時に家を処分して元本を返済するスキームです。

いわゆる住宅ローンのリバース(逆)ですね。

住宅ローンの完済時には抵当権が外れますが、再度、家に抵当権を設定して、老後の生活資金や家の修繕に充てる資金を借り入れるということです。

リバースモーゲージは元本を払わず利息だけを払いますので、支払い負担は小さくなります。

最近月々の利息を支払う必要がない商品も増えています。

定年までは普通の住宅ローンを借りて、定年になったらリバースモーゲージに借り換えるという方法です。

そして契約者が死亡した後は配偶者に引き継ぐことが出来ます。

なお、リバースモーゲージの金利は変動金利のみです。

優遇金利などはなく、店頭金利(3%弱)がそのまま適用される感じです。

固定金利は選択できません。

終了の時期が予め決められないからですね。

【特設サイト】あなたにおすすめのリバースモーゲージを見る

リバースモーゲージの注意点

元本は最終的に家を売却して回収に充てられることになります。

「契約者が死亡した後は配偶者に引き継げる」ので、その点は安心ですね。

あくまで元本は夫婦両方が他界した後に銀行が家を売却した代金で充てられます。

ですから、その家を子供たちに相続させるということは出来ません

なので、リバースモーゲージを組む場合には推定相続人全員の書面での同意が必要になります。

また、リバースモーゲージは自宅の担保価値まで借り入れることが出来ます。

そしてその資金の用途は広く、本人又は配偶者の生活にかかる資金であれば何でもOKとなっています(ただし事業目的、投資目的はダメです)。

ですから、医療費や介護費など万が一の時に必要になったら上記の上限の範囲内で何度でも借りることが出来ます。

ただし、自宅の担保価値が上限で年に1回その見直しをしますので、自宅の担保価値が借入額を下回った場合は、下回った部分を1年以内に一括または分割で返済しなければならない点に注意が必要です。

まとめ~今後注目されるリバースモーゲージで定年後も持続可能なプランを立てる

リバースモーゲージは海外では欧米を中心にシニア層の自宅の有効活用法として広く利用されているものですが、日本ではまだまだ知られていないです。

前例も少ないのでよく条件を確認する必要がありますね。

しかし、リバースモーゲージは60歳以上の持家率が9割を超える日本社会が少子高齢化で直面するであろう空き家問題の解決策としても注目されています。

これから徐々に増えていくのではないでしょうか。

そして、ゆとりのある老後生活をするためには、リバースモーゲージもおすすめです。

老後資金は夫婦でいくら必要?ゆとりのある暮らしをするためには!


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