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40代から組む住宅ローンの金利タイプ、年数、繰上げ返済の極意


こんにちは、ブロガーの千日太郎です。40代くらいになると、会社内でのポジション、評価というものが概ねフィックスする時期です。よっぽどのことが無い限りはだいたいこのあたりまでだろうというのが見えてきてしまう時期ですね。

人生で、家を買うベストなタイミングは、自分の欲しいと思う家の値段と自分の収入のレベルが一致するときだと思っています。40代というのは、自分が今後受け取るであろう収入の総額がほぼ予想できる時期です。30代まではまだ、自分のキャリアが今後どうなっていくのか、未分化な部分がありますけど、40代になるとほぼそれが固まります。

なので、ある意味、40代になると年齢と年収で幾らの家が買えるか?というのはほぼ確定的になるのです。

【40代】自分の年収でどんな家が買える?|年齢と年収から導き出す

今日は金融のプロである千日が40代で住宅ローンをスタートする人向けに、さらに具体的な住宅ローンの借り方、返し方についてお話していこうと思います。

40代からの住宅ローンの心構え

40代で無理なく払える住宅ローンの金額は、現時点の年収と、定年までの年数でほぼほぼ確定的に見積もることができます。

40代の住宅ローン=現時点の税込み年収×0.19×退職までの年数+1000万円

これは、退職までの間の毎月の返済を無理のない金額にし、退職時には約1000万円を繰上げ返済すれば完済できるような住宅ローンの金額ということです。これに現時点の自己資金を足したものが、自分のサラリーマン人生で手に入れられる家の値段ということです。

いや、こんなものじゃないはず…!と思うかもしれません。しかしこの計算で出てきた数字に対して希望的観測を加えてはいけません。それを事実として受け入れられないのであれば、家を買うということそのものが高リスクのギャンブルになってしまうのです。

40歳というのは、人間にとって一つのターニングポイントです。

これまでと、ギアを入れ替えなければ生きづらくなるんですよ。人生に行き詰まりやすい時期です。厄年ってこういうことから経験的に言われているんじゃないのか?と思ったりしますね。

ミッドライフクライシスという言葉を聞いたことがあるでしょうか。直訳すると「中年の危機」です。

今まで見て見ぬふりをしてきたこと
だから先送りしてきたこと

これに向き合わざるを得なくなる時期ということです。だって、人生折り返しでここからはラスト(死)に向かって歩いていくのだということを自覚するからです。

知らぬふりをしても突き付けられる。
終わりが見えているから先送りできない。

かく言う私()もまた、そうした葛藤の中にいるのです。

これから、人生の重要な決断を行うにあたり、こうした心理的な不安障害をかかえて、意思決定を歪めてしまうのであれば、無理に家など買わない方が良いのです。中年の危機を迎えた自分と、どこまでちゃんと向き合えるか?ということが肝です。

頭打ち感を感じたとしても、『でもまあ、自分の人生、これはこれでよかった』と心の折り合いがつけば、ミッドライフクライシスは収まります。自分を本当に理解できるのは自分だけです。他人の人生と比較するのをやめる、ありのままの姿を受け入れることが大切です。

40代からの住宅ローンお勧めは変動か固定か?

これから後半にかけて少子高齢化社会の到来で収入が減少する(又は増えない)リスクは上がっていきます。

そのリスクが上がる後半には金利面でリスクを取らない住宅ローンが合理的なのですが、つまりそれは金利が固定されている固定金利だということです。

40代からの固定金利ならば20年固定がお勧め

なので、今の固定金利での毎月返済額で十分に払える。そして定年時の残高を1000万円以下にできるのであれば、固定金利は合理的な選択です。

ただし、固定期間は35年も必要ないです。定年退職までは35年も残されていないからです。つまり金利を固定する場合は多くの人が20年程度の固定期間で良いということです。

40代で変動金利を選択しても良いのはどんな人か?

今は変動金利が0.45%を下回る水準で、人類史上、最も変動金利が低い時期です。この低い変動金利のメリットを享受したいですよね。なので、変動金利を選んでも良い人についても書いておこうと思います。

変動金利が低い理由は銀行の都合で随時上げることが出来るからです。なので、変動金利で借りても良い人というのは、以下の2つの条件を満たす収入がある人ということをお勧めしています。(これを変動金利の2つの4といいます)

  • 毎月の元利均等返済額の4分の1以上を貯金する。
  • 上記の貯金と元利均等返済額を手取り月収の4割(40%)以下にする。

詳しくはこちらに書いています。変動金利の5年ルールと125%ルールがあるということが前提です。

変動金利は怖くない!|住宅ローンの選び方

この条件(2つの4)は変動金利を選ぶならば最低限クリアしておかなければならないという最低限のラインです。

40代で変動金利をお勧めする人はどんな人か?

さらに、固定金利よりも変動金利がマッチする人、変動金利を積極的にお勧めする人というのは、もう少しレベルが上になります。銀行が金利を上げてきたときに、繰上げ返済によって残高を減らして対応することが出来る人です。

こちらの千日のブログで、金利が上がったときに幾ら繰上げ返済すれば、今までの毎月支払額のまま完済できるのか?という表をまとめています。

どれだけ変動金利が上がったら、どれだけ繰り上げ返済したらいいのかを知るとクリアになる|千日のブログ

40代からスタートする住宅ローンは何年借りる?

住宅ローンについては多くの金融機関で以下の上限が設けられています。

  • 住宅ローンの完済時の年齢は80歳未満であること。
  • 住宅ローンの最長年数は35年であること。

なので、44歳までの人ならば最長の35年間で借りることが出来ます(完済年齢79歳)が、45歳からは1年ずつ返済期間は減っていくことになりますね。

しかし、いずれにしても、今の給料があるのは長い人でも20年くらいです。こんな場合で35年借りても大丈夫なのでしょうか?常識で考えたら大丈夫ではありません。給料がある期間で完済しなければならないです。

そこで、千日は最長期間で借りて、住宅ローン控除のある10年間が経過してから繰上げ返済して、定年までに完済することをお勧めしています。

この理由は2つあります。

      1. 住宅ローン控除の恩恵を最大限に得るため。
      2. 期間を短縮することは後からいつでも可能だが、長くすることは難しいため。

    まず1つ目、住宅ローン控除は年末の住宅ローン残高の1%が税金から最大10回還付(返金)される減税制度です。なので、当初の10年間は住宅ローンの残高は高く維持しておくことでその分沢山のキャッシュバックが得られるという、メリットがあります。

    そして2つ目、繰上げ返済することによって、後から返済期間を短縮させることは随時可能ですが、返済期間を長くしてもらうことは、条件を緩和することになるため、銀行に対してお願いしなければなりません。そして、銀行が承諾するという保証もありません。

    当初10年間の貯蓄目標は60歳時点の残高

    当初の10年間は住宅ローン控除がありますので、繰上げ返済はしません。

    当初10年間は貯蓄にいそしみ…
    当初10年が終わってから、繰上げ返済していく。

    こうした方針です。40代からスタートする住宅ローンでは、当初の10年が終わった状態だと、すでに50代に突入しているということですね。定年退職まで秒読みです。ですから、当初の10年を経過した時点で、定年退職の60歳のときのローン残高の貯蓄が出来ていると、すこし安心できます。

    あとは、後半をいままで通り返済していきさえすれば、定年退職のときに完済して、退職金はまるまる全て老後資金に温存できるからです。

    例えば、60歳残高が1000万円となる住宅ローンであれば、当初の10年で1000万円貯蓄するということになります。住宅ローンの返済とは別に1年で100万円の貯蓄を作っていくということですね。

    資金計画のシミュレーション例

    借入金額として多い3000万円と4000万円で具体的にどのようになるのか、シミュレーションしてみました。

    年齢45歳
    固定金利1.38%
    35年
    元利均等
    借入金額3,000万円 借入金額4,000万円
    毎月返済 9万円 12万円
    10年後残高 2,285万円 3,047万円
    60歳残高(25年後) 1,889万円 2,589万円

    借入3000万の場合、毎月9万円の返済をしながら、15年間返済していくと60歳の定年時の残高は1889万円となりますね。つまり60歳のときに1889万円のキャッシュがなければ定年退職後もローンが残ってしまいます。

    当初の10年で60歳残高の半分である1889万円の貯蓄ができていれば、残りの5年に貯蓄を減らさなければ、定年退職の60歳で退職金に手を付けずに住宅ローンを完済出来るという計画が立てられます。

    10年で1889万円ということは、1年で189万円の貯金です。さらに50代のころには子どもの大学進学などが控えていることや、親の介護費用なども掛かってくる可能性があることを考えると、少し余裕を見ておかなければならないですね。

    40代から定年までの期間というのは長いようでいて、住宅ローンの期間で考えると短いです。当初の10年で、定年時の繰上げ返済の残高を作るという目標で貯蓄を頑張るのです。

    もし、それが難しい場合は50代にスタートするケースにずれ込むということです。次回の「50代から組む住宅ローンの金利タイプ、年数、繰上げ返済の極意」(近日公開予定)が参考になると思います。

    また、具体的なシミュレーションの例はこちらの書籍の方でも解説していますので、是非ご一読くださいね。

    家を買うときに「お金で損したくない人」が読む本
    千日 太郎 (著) / 日本実業出版社


    文:千日太郎

    【シリーズ】
    ・ボーナス払い ダメ、絶対 by千日太郎
    ・今の低金利時代に定期預金なんて勿体ない?ならば住宅ローンを繰上返済しよう by千日太郎

    【住宅ローンの金利タイプ、年数、繰上げ返済の極意シリーズ】
    ・20代から組む住宅ローンの金利タイプ、年数、繰上げ返済の極意
    ・30代から組む住宅ローンの金利タイプ、年数、繰上げ返済の極意
    ・50代から組む住宅ローンの金利タイプ、年数、繰上げ返済の極意

    千日 太郎

    ブロガー

    この記事を書いた人

    関西地方在住のブロガー。昭和47年生まれの男性という以外は、詳細を明らかにしていない。自身もリーマンショックの年の2008年に新築マンションを購入し、住宅ローンを借りている。
    インターネット上には家の購入や住宅ローンを選ぶときに役立つまともなサイトが少なすぎるという思いから「千日のブログ 家と住宅ローンのはてな?に答える」及び「千日の住宅ローン無料相談ドットコム」を運営しており、一般の人からの住宅ローンや不動産購入についての相談に無料で答え、個人を特定できない形でその質問と回答を公開している。

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