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20代から組む住宅ローンの金利タイプ、年数、繰上げ返済の極意

20代から組む住宅ローンの金利タイプ、年数、繰上げ返済の極意

こんにちは、ブロガーの千日太郎です。20代で住宅ローンを組んで家を買う、おそらく周囲の友人の中でも早い方だと思います。なにぶん人生初のことなので、身近な人生の先輩として親に相談するという人も多いです。

しかし親が家を買った頃の経済環境は右肩上がりの高度成長期でした。親の時代の「正解」がこれからの低成長時代の正解とは限らないです。これからは少子高齢化で日本経済の先行きが不安と言われるのに、不動産価格は高止まりという今のご時世。そうした環境で、「自分に幾らの家が買えるのか?」について、こちら「【20代】自分の年収でどんな家が買える?|年齢と年収から導き出す」の記事で解説しました。

【20代】自分の年収でどんな家が買える?|年齢と年収から導き出す


今日は金融のプロである千日が、20代で住宅ローンをスタートする人向けに、さらに具体的な住宅ローンの借り方、返し方についてお話していこうと思います。

20代からの住宅ローンの心構え

住宅ローンは早い時期から返済を開始することで、早く完済できますので、早い方が有利といえば有利です。だから早くスタートしようとしている自分は正解なのか?というと必ずしもそうではありません。

年齢と年収から幾らの家が買えるのか?次のような式で計算できると解説しました。

20代の住宅ローン=現時点の税込み年収×0.191×35年

つまり、この式は現時点の年収が35年続くという前提で計算されているのです。おかしくないですか?真面目に仕事をしていれば、キャリアを重ねることで年収は増えていくはずですよね。

これは定年退職までの年数が長く、その間に何が起こるか分からないというリスクとのバランスを取っているのです。20代は、社会に出てからのキャリアとしては未分化な段階です。収入面では、まだこの先どうなるか決まっていないのに、支出面では確定した債務を負うという事でもあるのです。

世の中、一寸先は闇です。

社会に出ると、自分さえミスをせずちゃんとやっていれば問題ないかというと、そんなことはありません。

自分の会社が経営の舵取りを誤り経営が傾く。
自分の会社が不祥事を起こし経営が傾く。

このように、自分だけではどうしようも無い要素で収入が左右されることがある、ということを肝に銘じておいてください。若く、社会に出てからまだ間が無いということは、今後そうしたアクシデントを経験する可能性が高いということでもあります。

今後、収入が上がるというプラスの可能性も高くなると同時に、不幸に見舞われて収入が下がるというマイナスの可能性も高くなるのです。それをシミュレーションの数字に(ザックリですが)反映させるために、あえて、今の収入で定年まで行くという前提を置いているのです。

今の収入が少ないと、上記の式ではどうしても頭打ちになりますよね。

「この式にあてはめると自分が欲しい物件は到底購入できない…」

それは、自分の身の丈(今の年収)と自分が満足できる家の価格が、今の時点では未だマッチしていないということなのです。

  • もう少し貯金を増やせばどうでしょうか?
  • 今よりも年収が上がればどうでしょうか?

もしも自分の欲しい家と、その価格が釣り合わないのだとしたら、それはまだ家を買うべきタイミングでは無いのかもしれません。来るべき時のために貯蓄に励むこともまた、家を買うプロセスなのだと思いますよ。

20代からの住宅ローンお勧めは変動か固定か?

リスクの取り方から比較すると固定金利がお勧めです。20代ということは、現役の年数が長いので、返済期間を長くとれる。その代わりに社会に出てからのリスクが大きいということでしたね。

ですから、金利面のリスクを取らない固定金利の方がオススメです。金利を固定するのであれば、金利が変動することが無いのですから、勤続年数とともに収入が増えていったとすれば、後になるほど返済は楽になっていきます。

  • 後になにがあるか分からない←リスクが高い!
  • 後になるほど楽になるように→リスクを下げる

このようにリスクを相殺する効果があるのです。

加えて、今後は少子高齢化社会の到来でリスクは上がっていきます。高齢化社会のリスクが上がる後半には金利面でリスクを取らない住宅ローンが合理的なのですが、つまりそれは金利が固定されている固定金利だということです。

固定金利の中でも特に、フラット35は35年間の超長期固定金利であり、勤続年数を問わないなど、審査も甘めなのでオススメです。

20代からスタートする住宅ローンは何年借りる?

住宅ローンについては多くの金融機関で以下の上限が設けられています。

  • 住宅ローンの完済時の年齢は80歳未満であること。
  • 住宅ローンの最長年数は35年であること。

なので、20代からスタートする住宅ローンは最長の35年間で借りることが出来ます。定年退職が60代の前半であるとすると、29歳で35年借りても64歳で完済となりますね。ほぼ定年までに住宅ローンを終わらせることが出来ます。

なので、最長の35年で借りることをお勧めしています。理由は2つです。

      1.住宅ローン控除の恩恵を最大限に得るため。
      2.期間を短縮することは後からいつでも可能だが、長くすることは難しいため。

    住宅ローン控除は年末の住宅ローン残高の1%が税金から最大10回還付(返金)される減税制度です。なので、当初の10年間は住宅ローンの残高は高く維持しておくことでその分沢山のキャッシュバックが得られるという、メリットがあります。

    返済期間が長ければ長いほど、ローン残高が減るスピードが遅くなるため、返済期間は最長の35年とすることを推奨しています。

    また、繰上げ返済することによって、後から返済期間を短縮させることは随時可能です。しかし逆に返済期間を長くしてもらうことは、条件を緩和することになるため、銀行に対してお願いしなければなりません。そして、銀行が承諾するという保証もありません。したがって当初の返済期間は最長の35年にしておくことをお勧めします。

    20代からの賢い繰上げ返済の極意

    繰上げ返済することで利息発生を減らせます。損得の観点からは以下のようなことが言えます。

    • 住宅ローン金利が1%以下なら、住宅ローン控除の10年間は繰り上げ返済しない方が得です。
    • 住宅ローン金利が1%超なら、住宅ローン控除の10年間でも繰り上げ返済した方が得です。

    しかし、家を買った当初というのは支出が増えます。頭金やローンの返済以外にもたくさんお金を使います。最も貯金が減ってしまうタイミングなのです。

    なので、いくら利息の節約になるからといって、どんどん繰上げ返済して本来必要な貯金を貯められていないというのは危険なのです。ですから、家を買ってからしばらくの間というのは、むしろ貯金に専念すべき時期だと思いますよ。

    住宅ローンの固定金利が1%を超えている。これを高い、と思われるかもしれません。しかし、カードキャッシングなら15%前後、ケタが一つ違ってきますよね。1%の利息を惜しんで繰上げ返済して貯蓄が無くなり、カードキャッシングで15%の利息を払うなんて、本末転倒です。

    繰上げ返済したお金は返ってきません。急にまとまったお金が必要になったときや、想定外の事態で収入が大幅に減ってしまったときに頼りになるのは、貯蓄なのです。繰上げ返済するのは、十分な貯蓄が貯まり、余ったお金が出来てからにしましょう。

    実際問題としては、なかなか「余ったお金」など出来ないのが実態だと思いますよ。

    家を買うときに「お金で損したくない人」が読む本
    千日 太郎 (著) / 日本実業出版社


    文:千日太郎

    【シリーズ】
    ・ボーナス払い ダメ、絶対 by千日太郎
    ・今の低金利時代に定期預金なんて勿体ない?ならば住宅ローンを繰上返済しよう by千日太郎

    千日 太郎

    ブロガー

    この記事を書いた人

    関西地方在住のブロガー。昭和47年生まれの男性という以外は、詳細を明らかにしていない。自身もリーマンショックの年の2008年に新築マンションを購入し、住宅ローンを借りている。
    インターネット上には家の購入や住宅ローンを選ぶときに役立つまともなサイトが少なすぎるという思いから「千日のブログ 家と住宅ローンのはてな?に答える」及び「千日の住宅ローン無料相談ドットコム」を運営しており、一般の人からの住宅ローンや不動産購入についての相談に無料で答え、個人を特定できない形でその質問と回答を公開している。

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