家を購入し、住宅ローンを契約する際に諸費用がかかることをご存じですか?
今回は意外と見落としがちな「諸費用」について、日本一住宅ローンに詳しいと自負する住宅ローン博士「窪田 光洋」が解説いたします。
1. 諸費用にかかるお金はどれぐらいか?
3~10%程度に収まることが多いですね。
例えば、3,000万円の新築物件だと約300万円。6,000万円の中古物件だと約600万円の諸費用がかかることになります。
諸費用で一番差が出る項目は仲介手数料です。仲介物件には仲介手数料がかかり、売主物件は仲介手数料が発生しません。
2. 諸費用にはどんな種類があるのか?
物件購入費用に加えてどのような諸費用があるのか、4つの項目に分けて説明します。
住宅ローン・保険の諸費用
住宅ローン・保険にかかる諸費用は4つです。
・融資事務手数料
・保証料
・火災、地震保険料
・団体信用生命保険(=団信)
これらはすべて住宅ローン実行時に必要なお金であり、数十万以上の費用となります。
融資事務手数料
融資を受ける金融機関に支払う手数料です。大きく「一律で○万円」という定額制と「借入金額の○%」という定率制の2種類があります。
手数料の割合が高額な場合、その分の金利が低くなることもあるので、全体のバランスを勘案して総合的に判断しましょう。
保証料
諸費用の中で、最も負担の割合が大きいのが保証料です。
保証料を支払うことで、借主が住宅ローンを返済できなくなった場合、保証会社が借主に代わって、金融機関への債務を支払います。
その後は保証会社から請求されることになります。フラット35など一部の住宅ローンでは保証料がない商品もあります。
火災、地震保険料
火災が発生した時に住宅に関する損害を補償してくれる保険のことです。ほとんどの場合、加入しなければなりません。
火災保険料は建物の構造によって保険料が変わります。任意で地震保険に加入することもできますが、地震保険への加入は火災保険への加入が前提となっています。
団体信用生命保険
借主に万が一のことがあった際、住宅ローンの残債務を保障するための生命保険です。民間金融機関の多くはこの団信への加入を借り入れの条件としています。
金利に含まれている場合は支払いの必要はありません。別途支払いが必要な場合、「住宅ローンの金利が0.2%上乗せになる」「年払いで保険料を支払う」などのケースがあります。
税金・登記の諸費用
税金・登記にかかる諸費用は5つです。ただ、支払うタイミングがそれぞれ違います。
・印紙税
・登録免許税
・司法書士への費用
・固定資産税・都市計画税
・不動産取得税
印紙税は、売買契約時とローン契約時に2回発生します。
印紙税
印紙税とは、住宅の売買契約書や住宅ローンの契約書などを交わす時の契約書にかかる税金です。
契約書に記載された金額によって税額が決まります。原則として収入印紙を契約書に添付し、実印で割印をします。
登録免許税
平成32年3月31日まで、抵当権の設定費用は融資金額の0.1%です。
通常は融資金額の0.4%ですが、軽減税率適用中で0.1%となっています。
不動産の抵当権・所有権移転の登記などを行う際に課税されるのが登録免許税です。
登録免許税の優遇措置は、所有権の保存登記や移転登記にも適用されます。物件によって優遇措置内容が異なりますので、国税庁HPでご確認ください。
所有権に関わる登記の場合には、その固定資産税評価額に所定の税率を乗じて税額を求めます。
司法書士への費用
登記申請手続きを司法書士に代行してもらうための報酬で、登録免許税とは別に必要です。
依頼する司法書士や建物によっても異なり、交通費なども加算されるので少し多めに考えておく必要があります。
例:8~20万程度(依頼先により異なります)
固定資産税・都市計画税
土地や建物などの不動産を所有している場合にかかる税金で、その不動産が所在する市町村に納めます。
本来、固定資産税と都市計画税は、1月1日時点で固定資産課税台帳に登録されている人物が納税義務者となります。
途中で不動産を売却した場合、年間にかかる「固定資産税・都市計画税」を日数に応じて買主も負担することがあり、通常は日割りで精算します。
不動産取得税
不動産取得税とは、不動産を取得した時に物件が所在する都道府県に支払う税金です。固定資産税評価額に対して、原則税率4%を乗じた金額が税額となります。ただし、特例や優遇措置もあるので、4%よりも低くなるケースもあります。
不動産売買の諸費用
中古住宅を購入する場合は、不動産会社に支払う仲介手数料が発生します。
仲介手数料は400万円超の場合、
物件価格の3%+60,000円+消費税です。
最近は、仲介手数料を割り引いてくれる不動産会社もあるので、費用を抑えたい人は不動産会社に交渉してみるのも手です。
なお、新築マンションの場合、仲介手数料は発生しません。
生活関連の諸費用
生活関連に関する費用は大きくは3つです。
・引っ越し費用
・家具、家電
・引っ越し挨拶の手土産などの雑費
これらの費用は契約などが終わった、引っ越し前後のタイミングで発生します。また、どれぐらいのお金がかかるかは、家族の人数や家具家電を買い換えるかによっても変わります。
3. 頭金は諸費用ではないのか?
勘違いされている方もいらっしゃるのですが、頭金と諸費用は別です。
・頭金:住宅本体価格に対して最初に支払うお金
・諸費用:住宅本体価格以外の費用
この部分をしっかり考慮し、住宅購入の計画を進めないとスムーズにはいきません。
4. 諸費用を支払うタイミングはいつ?
先ほど、13種類の諸費用について説明しました。ここでは、どのタイミングで諸費用を支払うのか説明します。
■売買契約時
・印紙税
■登記時
・登録免許税
・司法書士への費用
■引き渡し時
・固定資産税・都市計画税
・仲介手数料
■ローン実行時
・印紙税
・保証料
・融資事務手数料
・団体信用生命保険
・火災、地震保険料
■入居前後
・引っ越し費用
・家具、家電
・挨拶の手土産などの雑費
・不動産取得税
支払うタイミングをしっかりと把握し、諸費用にかかるお金を用意しましょう。
また新築マンションの場合は、諸費用以外の「申込金」「手付金」を用意する必要があります。
建売住宅の諸費用は、こちらの記事も参考になります。
5. 住宅ローン諸費用を節約するポイントは?
住宅購入における諸費用の金額の目安、種類、支払うタイミングについてご案内しました。住宅にかかる諸費用は高いので、“少しでも諸費用を節約したい”と思いますよね。
保証料がかからないフラット35
諸費用にかかる費用の中でも高いのが、住宅ローンの保証料です。先ほども少し触れましたが、この保証料がかからない住宅ローンの商品があります。
オススメは、各金融機関と提携して住宅支援機構が提供するフラット35です。フラット35は保証会社を利用していないため、保証料がかかりません。もちろん住宅ローンは、金利などを含めたトータルで判断するべきですが、一度検討する価値はあります。
火災保険の保証内容を最低限にする
火災保険も諸費用を抑えることができるかもしれません。シンプルに、本当に必要な補償内容を確認して選ぶことが大切です。
例えば近くに海や川がない地域ならば、水災の手厚い補償内容は必要ではないかもしれません。このように、本当に必要な補償内容と予算を確認しながら決めていきましょう。
諸費用を支払うタイミングや金額を把握しよう
住宅の購入を考えるとき、物件価格にばかり目が行きがちです。しかし、住宅を購入する際に発生する「諸費用」を想定し、住宅購入の資金計画を立てることが大切です。
分からないことは不動産会社の担当者へ積極的に相談してみましょう。
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