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公開日:2018/03/22
更新日:2019/01/29

贈与税を学べ|親の援助と住宅ローンで賢く家を買う方法

公開日:2018/03/22 更新日:2019/01/29


家を買う時に、贈与という形で親からの資金援助を受けることが可能です。贈与された資金を頭金の足しにすれば、そのぶん借入金を少なくしたり、より高額な物件を購入することができます。しかし、贈与には贈与税がかかります。
今回は、住宅購入のために贈与された資金に対して課される贈与税について解説します。

CONTENTS

贈与されたお金で住宅を買うと贈与税は発生するのか

人から財産を受け取ると「贈与」を受けたことになります。贈与が一定の金額を超えると、その超えた金額に応じて贈与税が課せられます。一般的な贈与税には、年間110万円までの「基礎控除」が存在するので、年間110万円までの贈与に対しては税金がかかりません。

住宅を購入するために贈与された贈与金に対しても、贈与税がかかります。
しかし、住宅購入のための贈与に関しては、贈与税が免除される特例となる2つの制度が存在します。
贈与税を上手に活用して、お得にマイホームを手に入れましょう。

どれぐらいの贈与税を払わなければいけないのか

まずは、いくら贈与税を支払う必要があるのか確認しましょう。以下、直系尊属(祖父母や父母など)から、その年の1月1日の時点で20歳以上の者(子や孫など)へ贈与がなされた場合の贈与税の計算と税率の表です。

基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10%
400万円以下 15% 10万
600万円以下 20% 30万
1,000万円以下 30% 90万
1,500万円以下 40% 190万
3,000万円以下 45% 265万
4,500万円以下 50% 415万
4,500万円以上 55% 640万

出典:国税庁HP

計算の方法は以下のとおりです。
贈与税 = (1年間で貰った贈与の合計額 − 基礎控除(110万円)) × 税率 − 控除額
贈与額が110万円を超えた場合、上記の表に基づいて贈与税が課されます。

住宅ローンスペシャリスト
田辺
例えば、祖母が子に1,000万円の贈与を送った場合、計算式は以下のようになります。
「(1,000万円 [贈与額] – 110万円 [基礎控除]) × 30% [税率] – 90万円 [控除額] = 177万円」
30代男性
控除額は、「(1年間で受けた贈与の合計額 – 110万円 [基礎控除]) × 税率」の計算で算出された金額を基準に差し引かれるのですね。

贈与税が免除される2つの制度

住宅の購入について、贈与税が免除される2つの制度があります。

(1)住宅取得等資金の非課税制度

「住宅取得等資金の非課税制度」とは、住宅の新築・購入、またはリフォームをする際、その資金を補うために父母、または祖父母から贈与金を貰った場合に贈与税の一定額を免除する制度です。
なお、非課税の限度額は住宅の種類や契約の締結日、または消費税に応じて変わります。

非課税の限度額

1.住宅用の家屋の新築等に係る対価等の額に含まれる消費税等の税率が10%である場合

住宅用家屋の取得等に係る契約の締結日 省エネ等住宅 左記以外の住宅
平成31年4月1日~平成32年3月31日 3,000万円 2,500万円
平成32年4月1日~平成33年3月31日 1,500万円 1,000万円
平成33年4月1日~平成33年12月31日 1,200万円 700万円

2.上記以外の場合

住宅用家屋の取得等に係る契約の締結日 省エネ等住宅 左記以外の住宅
~平成27年12月31日 1,500万円 1,000万円
平成28年1月1日~平成32年3月31日 1,200万円 700万円
平成32年4月1日~平成33年3月31日 1,000万円 500万円
平成33年4月1日~平成33年12月31日 800万円 300万円

「省エネ等住宅」とは、省エネ等基準(1,断熱等性能等級4若しくは一次エネルギー消費量等級4以上であること、2,耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上若しくは免震建築物であることまたは3,高齢者等配慮対策等級(専用部分)3以上であること)に適合する住宅用の家屋であることを一定の書類により証明されたものを指します。

受贈者の条件

この制度を利用するためには、以下の要件を満たす必要があります。

1,贈与を受けた時に、贈与者の直系卑属(子や孫など)であること。
2,贈与を受けた年の1月1日の時点において、20歳以上であること。
3,贈与を受けた年の年分の所得税に関わる合計所得額が2000万円以下であること。
4,平成21年から平成26年までの贈与税申告で「住宅取得等資金の非課税」の適用を受けたことがないこと(一定の場合は除く)。
5,自己の配偶者、親族などの一定の特別な関係がある人から住宅用の家屋の取得をしたものではないこと、またはこれらの方との請負契約等により新築若しくは増改築等をしたものではないこと。
6,贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅取得等資金の全額を充てて住宅用の家屋の新築等をすること。
7,贈与を受けた時に日本国内に住所を有していること(例外あり)。
8,贈与を受けた年の翌年3月15日までにその家屋に居住すること、または同日後遅滞なくその家屋に居住することが確実であると見込まれること。

出典:国税庁HP

(2)相続時精算課税制度

「相続時精算課税制度」とは、生前贈与の場合に2,500万円までの贈与税を非課税にする制度です。原則として60歳以上の父母、または祖父母から、20歳以上の子または孫に対して財産が贈与された場合に適用されます。贈与額が2,500万円を超えた場合には超過額に対し、一律20%の贈与税がかかります。

30代男性
これはお得な制度ですね!税金をかけずに2,500万円までの金額を贈与できるなんて、使わない手はないですね!
住宅ローンスペシャリスト
田辺
確かにお得な制度ですが、メリットだけではなくデメリットも存在するんです。
例えば、贈与時に払った金額分は、相続時にまとめて相続税が課される点や、基礎控除と併用できない点などが挙げられます。
30代男性
なるほど、お得なことばかりではないんですね。しっかりと考えて制度を利用しないといけませんね。

夫婦それぞれの親から贈与された場合はどうなるのか?

住宅購入の際に夫婦それぞれの親から贈与された場合は、夫と妻、それぞれの贈与に関して上記で挙げた特例を活用することができます。

(1)住宅取得等資金の非課税制度の例

まず初めに、住宅取得等資金の非課税制度を活用した場合をみてみましょう。
例えば、夫の父母から1,500万円、妻の父母から1,000万円の贈与金をもらい、平成30年、消費税8%の時に省エネ住宅を購入したと仮定します。上記表に照らし合わせると、非課税の限度額は1,200万円です。

30代男性
この場合、夫の父母からの贈与に関しては300万円が課税の対象に、妻の父母からの贈与に関しては全額非課税の対象になりますね。
住宅ローンスペシャリスト
田辺
そうですね。ただし、この制度を適用するためには住宅を共有名義にする必要があります。共有名義にすれば、それぞれが制度を活用できます。

(2)相続時精算課税制度の例

相続時精算課税制度に関しても、夫婦それぞれに適用することが可能です。
例えば夫の父母から3,000万円、妻の父母から2,500万円の贈与を受け取った場合、前者に関しては500万円が課税の対象になり、後者に関しては全額非課税となります。

住宅ローンスペシャリスト
田辺
どの制度を選ぶかは、各制度の特徴を考えた上で決めましょう。

現金で貰ったらバレないから贈与税は払わなくていいの?

基本的に贈与税の申告は、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日の間に税務署に対して行います。申告をしなかった場合は、ペナルティー分を加算して税金を支払わなければなりません。

それでは、現金で貰ったにも関わらず贈与税を支払わなかったらどうなるでしょうか?結論から言うと、すぐに未支払いが判明することはありませんが、最終的には発覚します。

30代男性
どういう場合に発覚するのでしょうか?
住宅ローンスペシャリスト
田辺
相続が発生したタイミングで判明することが多いですね。相続税を申請したタイミングで税務署は亡くなった人のお金の流れを調査します。その過程で贈与税未払い分に関して、追加で支払いを課されます。

制度を賢く利用して贈与税を減額させよう

どうでしょうか?各制度にはメリットとデメリットがともに存在しますが、うまく使いこなせば、贈与税額を少なくすることができます。両親の援助と住宅ローンを賢く利用して、住まいを手に入れましょう!

住宅ローンスペシャリスト

「日本一住宅ローンに強い会社」iYell株式会社に在籍する住宅ローンスペシャリスト。
大人の色気を漂わせて、住宅ローンを手取り足取り教えてくれる。
なお、紙面では公開しがたいあらゆる経験をしてきているため、社員からは住宅ローンはもちろんのこと、恋愛相談されることもしばしば。

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