住宅ローンの返済負担率(収入に対する住宅ローン返済額の割合)は、余裕を持たせることが大切です。金融機関も住宅ローンの返済負担率は厳しくチェックしており、返済負担率が30〜40%を超えていると、審査を受け付けないことがあります。
ですがフラット35では、返済負担率30〜40%ギリギリでも審査が通ってしまうことがあり、その後の住宅ローン返済に苦心してしまうケースが多いのです。
この記事では、
- 返済負担率ギリギリで借りてしまう、悪い例。
- 返済負担率に余裕を持たせる方法。
について解説させて頂きます。審査がゆるいとも言われるフラット35。しかし貸してくれるからといって、返済負担率ギリギリまで借りるのは危険ですよ。
フラット35には、返済負担率の基準がある
フラット35を借りるためには、返済負担率の明確な基準があります。
この基準を満たしていなければ、フラット35は借りれません。
年収 | 400万円未満 | 400万円以上 |
基準 | 30% | 35% |
ただし返済負担率の基準をクリアしていても、銀行窓口の判断によっては審査に通してもらえません。これは銀行による判断なので、銀行・担当者を変えることで、同じ条件でもフラット35が借りられることもあります。
フラット35は返済負担率ギリギリでも、審査が通ってしまうことも
フラット35では返済負担率ギリギリでも審査に出してもらえれば、そのまま通ってしまうことがあります。ほかの住宅ローンではシビアにチェックされる返済負担率なのに、わりと通ってしまうフラット35。それゆえ「フラット35の審査はゆるい」と、言われてしまうのです。
ただしフラット35の審査の甘さはたびたび問題になっており、
- 返済負担率の厳格化(年収400万円未満:30%・年収400万円以上:35%)。
- 自己資本比率(頭金の割合)による、金利の優遇。
と、審査基準が引き上げられました。(平成19年10月より)
それでもフラット35の審査基準は依然ゆるく、「返済負担率ギリギリまで借りれてしまう」という弊害を生んでしまうのです。
返済負担率ギリギリはダメ!実際に陥りがちな3つの悪い例
借りる側からすれば、審査基準がゆるく、たくさんお金を貸してくれるのはありがたい限りです。
ですが、それではダメなのです。
なぜなら返済負担率ギリギリで住宅ローンを借りてしまうと、収入・支出のバランスが少し崩れただけで住宅ローン返済が苦しくなるからです。ライフプランのどこかでネジが一本外れてしまうだけで、家計が火の車になる可能性がございます。
妻の収入を合算していた場合、出産・育児などで妻の給料が減ったとき対応できない
妻の収入を合算して、フラット35で返済負担率ギリギリまで住宅ローンを借りた場合。これはなかなか危険でございます。
なぜなら妻の給料が減った(出産・育児など)とき、住宅ローン返済に対応できなくなる可能性があるからです。
夫婦共働きでフラット35を申請すれば、1人の年収だけでは借りられない金額も貸してもらえます。諦めていた物件にも手が届くかもしれません。ですがフラット35を返済負担率ギリギリまで攻めてしまうと、その後のリスク(妻の退職・休職)に対応できません。
もし妻が出産・育児で収入が減ってしまうと、これから増えていく子育てにかかる費用に家計が圧迫されます。
前を向くと子育て費用。うしろを振り向けば、重くのしかかる住宅ローン。この状況はなかなかキツいですよ。
夫の収入ギリギリで借りてしまうと、転職・残業、賞与のカットのリスクに対応できない
夫だけの収入でフラット35を借りたとしても、油断はできません。
なぜなら夫の収入だって、安定する保証はないからです。
- 業務効率化で、残業代が減る。
- 業績が悪化して、賞与が減る、なくなる。
- 大手企業だったのに、希望退職を募る。
- 転職したら年収が下がるから、辞めたくても仕事が辞められない。
もしも夫の年収でフラット35を返済負担率ギリギリまで借りてしまったら、これらのリスクに対応できません。
希望退職をすすめられても、転職したら年収が下がるかもしれない。年収が下がったら、住宅ローン返済がますます苦しくなる・・・。
前にも進めず、後ろにも下がれない状況。これは率直に言って、涙が出てきます。
注文住宅で契約後に予算オーバーしてしまい、返済負担率ギリギリに
注文住宅で家を建てる場合、当初の請負金額より予算オーバーすることがあります。
オーダーメイドで家を建てる注文住宅では、家作りを進める中で予期せぬお金がかかることがあります。
- 地盤調査した結果、地盤補強の工事が必要だった。
- 詳細な打合せを進めるうちに、設備をグレードアップしてしまった。
- 外構工事が見積書に含まれておらず、予算オーバーしてしまった。
契約時はゆとりある資金計画だったのに、最終的な金額では返済負担率ギリギリの住宅ローンを借りることに。
これでは収支のバランスが崩れたときに、返済が苦しくなる可能性が高いです。
注文住宅の家作りはオーダーメイドで理想の家が建てられる一方で、費用は高くなりがちです。着工(家の工事がはじまること)がはじまっても、住宅ローンを抑える意識は必須でございます。
返済負担率ギリギリにならないようにするには?
フラット35で返済負担率ギリギリにならないようにするには、最初から余裕をもった返済負担率で購入を検討することが大切です。フラット35では返済負担率ギリギリでも審査に通ることがあります。しかしそれに甘えてしまうと、その後の返済が大変です。
ですので最初から購入する物件のグレードを下げることをおすすめします。
目指す返済負担率は25%
審査基準がゆるいと言われるフラット35。返済負担率30%(年収400万円以上は35%)まで貸してくれるのは、借りる側としては魅力的です。
ですがゆとりある返済を実現するには、返済負担率は25%以下を目指すべきでしょう。
返済負担率25%とは、月収40万円の人が住宅ローンを毎月10万円返済している状態です。(ボーナス返済なし)
フラット35で借りられる上限35%よりも10%も低いですが、それでも毎月の収入の1/4が住宅ローン返済に取られています。
返済負担率25%でも、家計における影響力は絶大ではないですか?
ですので正直に言えば、「返済負担率25%でも安心だ!」とは言い切れません。できる限り、25%以下を狙っていきたいところです。
住宅ローンの返済負担率は、小さければ小さいほど家計は楽になります。入居してからの生活にストレスがなくなるので、マイホームでの幸福度も上がりますよ。
ちなみにですが、私の住宅ローン返済負担率は15%を切っています。返済負担率15%を切ると、相当ストレスフリーな生活になります。
審査がゆるく、ギリギリまで借りれるフラット35。しかしあまり無理せず、返済負担率を抑えることをおすすめします。
まとめ:返済負担率25%以下に抑えたいところ
フラット35はほかの金融機関とちがい、お金を貸す目的がちがいます。
そのため審査基準がゆるくなりがちで、返済負担率ギリギリまで貸してくれることも多いです。
しかしそれに甘えて返済負担率ギリギリまで住宅ローンを借りてしまうと、入居してからの返済が大変です。ほんの少し収支のバランスが崩れると、一気に家計が炎上、返済が苦しくなる可能性がございます。
気前よく貸してくれるフラット35ですが、なるべく返済負担率を抑えることをおすすめします。目標は25%以下。ぜひゆとりある返済負担率を実現して、ストレスフリーなマイホームライフを楽しみましょう。
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