親族の土地に家を建てたいけれど、実際どうなんだろう?」とお困りではありませんか?
親族の土地を活用して家を建てれば、できればそうしたいと考えている方も多いはずです。
しかし、自分たちだけで安易に話を進めてしまうと、あとでトラブルに発展するかもしれないので注意が必要です。
そこで今回は、窓口ONLINEを運営しているiYell(いえーる)株式会社の社員赤羽根さんに、おじい様とおばあ様の土地にマイホームを建てる際、良かったことや反省点を正直に答えてもらいました!
※記事内の写真は本人提供のもの
子どもが産まれたことですかね。
現在2人の子どもがいるのですが、1人目の子どもが産まれる際に、一度マイホーム購入を検討したことがあったんです。
その当時は祖父母の土地ではなく、家を建て売りで購入しようと思っていました。
でもその時はローンを組めない事情があって、一旦1LDKから2LDKの賃貸に引っ越すことにしました。
しかし、数年経って2人目の子どもが産まれることになり、「やはり2LDKでも手狭だよね」ということになって、ちょうどその頃コロナの影響もあって実家に戻っていたため、「せっかくならこの土地に家を建てられないか」という話になったんです。
それが最初のきっかけでした。
そうですね。
実際、子どもが1人の時も2LDKでは狭いなと感じることがあったので、2人目が産まれるタイミングで早く引っ越したいなと考えていました。
また、月々の賃料が13万円ほどで、普通にローンを組んだら4,000万円くらいの家が買えるくらいの金額だったので、このまま賃貸に住み続けるのはもったいないなと思ったんです。
あります。
まず、今回家を建てる土地が「市街化調整区域」に指定されており、家が建てられない土地であったことです。
また、地目が「畑」になっていたために、農地転用をして「宅地」に変更する手続きを行わなくてはなりませんでした。
しかも今回は祖父母の土地(親族の土地)ということもあって、市街化調整区域でも家を建てられるようにするため申請をする際、「祖父母から2親等までしか家を建ててはいけない」という条件付きで家を建てる許可をもらったこともあり、ローンの審査にはかなり難航しましたね。
かなり影響します。
基本的に他の人がこの土地を買ったとしても、ここに家を建てられないということになるからです。
ということは、もし僕がローンの支払いができなくなったとして、この土地を担保として差し押さえられたとしても、そこに新しく家を建て替えることはできないんです。
そうなると金融機関には「有用性がない、担保価値がない」と判断されてしまう。
その結果、金融機関としては「土地は担保として不充分なので、ローン審査を通すわけにはいかない」ということになってしまうんです。
それはなかなかシビアな条件なんですね。
では、どのような銀行だとローンに通りやすいのでしょうか。
そうですね、ネット銀行や都市銀行はまず無理だと考えて良いと思います。
地銀やJA、フラット35なら比較的審査に通りやすいかな、という印象でした。
他の人に売れない、他の人がその土地に家を建てられない、という部分が審査に大きく影響しているんだな、と実感しました。
なるほど。
おじい様、おばあ様の土地に家を建てる際には、親族間での話はスムーズに進んだのですか?
これもかなり難航しましたね。
最初は祖父母の家を取り壊してそこに家を建てることになっていて、それを祖父母自体は良しとしてくれていたんです。
しかし実際に話が進むにつれて親族間で「やはり壊さないでほしい」といった意見も出てしまって・・・。
なので最終的には祖父母の家は壊さずに、祖父母の土地の敷地内に家を建てることになったんです。
そうです。
あとで親族間での揉めごとを避けるためにも、最初にきちんと話し合いの場を設け、承諾書のようなものを書いておいてもらうのがよいと痛感しましたね。
また、祖父母が亡くなった際にその土地を相続するのがうちの母とおばだったので、相続に関わる人の許可は最初にとっておいた方が良いと思います。
相続する人がOKを出していない土地に家を建てるのは気が進みませんしね。
確かにそうですね。
実際、その家で育った人からすると家を壊されるのに躊躇する人も出てきそうですもんね。
本当にそうですね。
祖父母の土地に家を建てる際には、そういったことにも配慮しておかなければいけないなと感じました。
市街化調整区域:市街地開発をあまりせず、無秩序な市街地の拡大を防ぐ地域を指し、マイホームなどの建築にあたっては建て方や建てられる規模などに多くの制限がある。
農地転用:言葉の通り、農地を農地以外のもの(宅地、駐車場など)にすること。
不動産登記の地目が「畑」や「田」となっているものを変更することを指し、その土地に住宅を建設する際には、基本的には「宅地」としなくてはならない。
そうですね、まず金銭的なメリットとして土地代がかからなかったことが大きかったなと思います。
とはいえ、土地の分筆費用や農地転用などの申請費用、土地に生えていた木々の伐採や抜根などを合わせて160万円ほどはかかりましたが、それでも普通に土地を購入して家を建てるよりも大幅に費用をカットすることができましたね。
確かにそれは大きいですね。
土地代がかからなかった分、何か拘った部分はありますか?
土地代をカットできた分、建物自体にお金をかけることができました。
内装のデザインにも拘ることができたので、満足度としてはとても高いですね。
自分たち家族の要望に合わせた設計で家を建てられたので、快適に暮らせそうです。
また、今回は祖父母の土地が郊外かつ広かったこともあり、子どもたちと外で思いっきり遊ぶことができるのも嬉しいですね。
家の周りには畑があるので、新鮮な野菜が食べられること、子どもと一緒に農家体験ができることも大きいかなと思います。
兎にも角にも、事前にしっかりと家族会議などの機会を設け、親族の方ときちんと話し合いをしておくことを強くおすすめします。
曖昧に話を進めてしまうと後で揉める原因にもなるので、できれば承諾書などを書いてもらうのが良いと思います。
あとは、家を建てようとしている土地区分や地目がどうなっているのかもしっかり確認しておくと良いでしょう。
今回の僕のように「家を建てられるのは2親等まで」と条件がついて、思いがけずローンの審査が難航してしまう、なんてケースもありますしね。
確かにそうですね。
親族の方との話し合いと土地区分の確認は事前に行う必要がありそうですね。
本日は貴重なお話をありがとうございました!
iYell株式会社 赤羽根 真一
2018年3月にiYell入社
住宅ローンの代行サービスである「いえーる ダンドリ」の契約事業者様向けの営業を担当。
日々、工務店様や注文住宅を建てるお客様の住宅ローンサポートをしている。
独自のらーめんマップが作れるほどのらーめんマニア。
さまざまなところに足を延ばして開拓するのが趣味だが、今はマイホーム建設のために節約中。
家族構成:妻と2人の子ども、愛犬ポテトの5人家族
最近ハマっていること:新居に向けてソファやテーブルなどの家具探し