人生100年時代といわれている現代、老後の生活を不安に思う人も増えてきました。
老老介護や認認介護が問題になっているということもあり、老人ホームなどの介護施設がより一層注目されています。
しかし、実際のところ老人ホームと一口に言っても介護施設にはさまざまな種類があり、どのように選んだらよいのか迷う方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、老人ホームの選び方に焦点を当て、ケース別の施設紹介やそのポイントについてわかりやすくお伝えしていきます。
そもそも老人ホームなどの介護施設はどのように探せば良いのでしょうか?
探す方法は、大きく分けて以下の3つあります。
それぞれ特徴がありますので、自分に合ったものがどれなのか順番にみていきましょう。
今はほとんどの情報をインターネットで調べることができます。
種類としては、大きく分けて以下の2つです。
入居したい介護施設がすでにあるのであれば、公式ホームページをチェックしてみるとよいでしょう。
情報がゼロの場合は、ポータルサイトで多くの施設をみて比較検討することをおすすめします。
地域包括支援センターに相談して施設を探すという方法もあります。
地域包括支援センターとは、介護保険法で定められた保険、医療の向上・介護予防などの福祉の増進を目的として、市区町村ごとに設置されたその地域に暮らす高齢者のための相談機関のことです。
利用できるのは65歳以上の高齢者、もしくはその家族などの支援者に携わるものとなっています。
主任ケアマネージャーや社会福祉士などの専門家が配置されていて利用も無料のため、希望の条件を伝えて相談にのってもらうと良いでしょう。
介護について特集している雑誌や書籍は、数ある介護施設の特徴や人気サービスの内容が記載されているため、入門書としてとても参考になります。
ただしインターネットの方が最新の情報を掲載している可能性が高いため、気になる施設があればインターネットで検索をかけてみると良いでしょう。
以上が、介護施設を探す際の3つの手段でした。
まずは1つでも多くの情報をゲットすることが、後悔のない老人ホーム選びのポイントになります。
時間はかかっても、自分に合うやり方でじっくり探していきましょう。
介護施設や老人ホームにはたくさんの種類があるため、何を基準に選んだらよいのか悩みますよね。
そこで施設を選ぶ際にチェックしていただきたいポイントを4つご紹介します。
まずは、何よりも費用面です。
高齢になると、自分でも予想できない病気やけがのリスクが上がります。
突然の出費などがあることも踏まえ、料金が自分にとって適切であるかどうかはとても重要です。
介護施設利用にかかる費用は最初に一括納付という場合もありますが、食費やおむつ代などが毎月別途必要になることが多いです。
そのことを視野に入れながら、どのくらいの予算までなら出せるのかを事前に検討するようにしましょう。
入居予定者が住み慣れている馴染みの地域で探すのも良いですが、入居する人の家族や親しい人が定期的に訪問しやすい場所であることもポイントです。
入居しても、場所が遠い、立地が悪いなどの理由で訪問者がいなかったら、寂しいですよね。
今までと異なる場所で長い時間を過ごすストレスが、親しい人と会えることで緩和されるケースも多くあります。
親しい人が訪問しやすい場所なのか、も選ぶ際のポイントとして押さえておきましょう。
老人ホームで生活していく上で、施設自体が快適かどうかは重要なポイントです。
自分に合わない環境で生活をすると、それがストレスとなって体調に悪影響を与える可能性も・・・。
安心して暮らすために、体調や状況に応じた設備が備わっているかを知っておくことが大切です。
専用個室を希望している場合は、広さだけでなく居室内にトイレがあるか、持ち込めないものがあるのかなども確認しておくと、入居してからギャップに戸惑わなくてすみますよ。
また、老人ホームでは共有スペースに集まってレクリエーションなどを開催することも多いため、共有部にどのようなものがあるのかも十分に確認しておきましょう。
状況により必要な内容は異なりますが、どのような介護サービスが受けることができるのか、また追加オプションにはどのようなものがあるのかは必ず確認しておきましょう。
例えば以下のようなサービスはニーズが高いです。
長い目でみたとき、自分が快適に安心して暮らせるようなサービスが導入されているかどうか、しっかりチェックしておきましょう。
入居者の意向確認や譲れない条件の洗い出し、資金準備などの事前準備を健康で元気なうちに行った方がいいのは大前提ですが、老人ホームや介護施設を利用する理由や介護レベルも人により異なります。
自分に最適な施設はどのようなものでしょうか?
いくつかの参考例をお伝えします。
1つ目のケースは、ケガで入院後に自宅での生活が困難になったケースです。
年齢を重ねると、ケガや病気で入院した後に今までと同じような生活が難しくなって介護施設を利用せざるを得なくなることがあります。
意図せず介護施設を利用せざるを得ない状況になるわけですから、不安も大きいことでしょう。
そのため、安心感が得られやすい住み慣れた場所の近くに施設を探す必要があります。
地方自治体や社会福祉法人が運営してる公的介護施設です。
低価格で充実した介護サービスを受けることができ、終身利用ができるため非常に人気があります。
その一方で待機者が常に一定数いることが多く、また入居できる条件が原則65歳以上の要介護3以上という厳しい条件があるため、すぐに入居することが難しいのがデメリットです。
入居条件に当てはまる場合はまずは空き状況を確認してみるのが良いでしょう。
入院後、自宅へ戻るまでの間に利用されることが多い施設です。
公的機関であるため、特養同様に介護保険が適用されます。
利用条件は特養よりも緩和されており、原則要介護1以上で65歳以上であれば利用可能です。
作業療法士や理学療法士などのリハビリテーションの専門家がおり、回復に専念できるのが特徴です。
ただし、リハビリなどで回復することを目的とした施設のため、長期入居は不可。
入居期間は3ヶ月毎に状態の確認があり、退所となる可能性があります。
2つ目は、家族や友人がいないために老人ホームに入居するケースです。
独身もしくは配偶者に先立たれ近く頼れる友人もおらず、老後一人になるケースは近年独居老人と問題視されています。
しかし、そのような方が介護施設利用を通してさまざまな人とコミュニケーションを取り、心身共に健康になることも多いのです。
「頼れる人がいないから・・・」と暗く考えてしまうのではなく、一人だからこそさまざまな選択肢があるということを覚えておきましょう。
まずはデイサービスで他人との時間がどのようなものなのかを知ってから、老人ホームなどの長期滞在する施設を決めるのがおすすめです。
自立している高齢者向けの施設で、食事サービスはもちろんプールや温泉などの健康を維持するための設備が充実しています。
楽しくコミュニケーションが取りやすい環境であることが大きなメリットです。
しかし、施設によって異なるが費用が高額であることが多く、初期費用に数千万円かかる施設もめずらしくありません。
介護が必要になった場合には退去しなければいけない点には注意が必要です。
3つ目は、老後の資金が十分に用意できない場合です。
有料老人ホームは、初期費用だけでも数百万円~数千万円かかるところも少なくありません。
年金は現役時代に高収入だった人であればある程度生活できる金額がもらえますが、そうでない人が大半なのが現状です。
預貯金などの資産があれば良いですが、そうではない方の場合は老人ホームなどの介護施設が利用したくてもできないことも十分にありえます。
介護施設は公的施設と民間施設があり、料金の差も大きいです。
60歳以上で、家族による援助を受けることが困難な人などが入居できる老人ホームです。
軽費老人ホームにはA型(食事提供あり)、B型(食事提供なし)、C型(ケアハウス)の3つの種類があり、A型とB型には所得制限(月収34万円以下)が、C型は所得制限がない代わりに入居一時金や家賃などが必要になります。
トイレやキッチンが揃った個室を使用でき、プライバシーも守られるのが大きなメリットで、料金も比較的リーズナブルです。
本人以外の意思で介護施設利用を決めることが多い、認知症になったケースです。
認知症の場合は24時間体制での介護が必要になる場合が非常に多く、介護をする家族の負担も大きくなります。
また認知症になった本人も家族に迷惑をかけたくないという思いが強く、双方の心の負担を減らすために介護施設を利用するケースも多いのです。
在宅介護にあたる、介護保険制度で創設された地域密着型サービスです。
「デイサービス(通い)」「訪問介護」「ショートステイ(宿泊)」を全て同じ事業者が行うことによりスタッフとも顔なじみとなり、認知症患者も環境に慣れやすいのが特徴です。
認知症を発症した高齢者向けの施設で、こちらも地域密着型のサービスになります。
入居条件は要支援2または要介護1以上で65歳以上の認知症患者となっており、地域密着型であることから施設がある市区町村に住民票がある人が対象です。
認知症に特化した施設であり、専門のスタッフ常駐していますが医療ケアの施設ではないため医師や看護師の配置は義務付けられていません。
現役時代に高収入であればあるほど年金受給額は多くなりますし、預貯金も十分あるから安心という方ほど、案外老後貧困に悩まされたりするものです。
例えば、生活にゆとりがあるからと入居一時金に数千万円かかる有料老人ホームに入居したはいいものの、入居しばらく経って認知症を発症してしまい、そのホームが認知症患者に対応していないため退去せざるを得なくなったケース。
新しく介護施設などを探す必要があり、必要資金も当然発生するため家族の負担が大きくなっていきます。
このように、突然のアクシデントによって予想外の出費が2つも3つも重なることは珍しくありません。
老人ホームに入るために多額の資金を用意しても、食費やおむつ代は毎月3~5万円かかります。
大きな金額を支払うことに目がいき、継続的にかかる費用に関しては見落としてしまいがちです。
老後のお金問題は考えるだけで頭が痛くなりますよね。
もしも自宅が持ち家である場合は、自宅を売却するほか、資金を得つつも自宅に住み続けることができる方法が2つあります。
自宅を担保に融資を受けるリバースモーゲージ、そしてもう1つは自宅を売却して賃料を支払うリースバックです。
選択肢の一つとしてあらかじめ検討しておくと良いでしょう。
老人ホームや介護施設には様々な種類があり、それぞれ特徴があります。
どの施設が最適かは利用者やその家族の状況次第ですが、いずれにしても事前にしっかりと情報を集め、施設へ見学も行った上で選ぶことが重要です。
元気なうちに自分の希望を明確にしておき、家族に伝えておくことをおすすめします。
人生最後のすみかとしてを選ぶ人も多い老人ホーム、後悔のないように入念に選びましょう。