「老後資金が2,000万円必要」と話題になりましたが、年々下がる年金額に不安を覚える人も多いのではないでしょうか?
少しでも生活費の足しにと定年後も働き続けたいと思う人が増えていますが、実は働いた分だけ年金額が減ることがあります。
「せっかく長く働いたのに損してしまった」とならないためにも、年金と収入について正しい知識を身につけましょう。
まだまだ元気な60代。
年金を貰えるようになっても、仕事を続ける人はたくさんいます。
そこでぜひ知っておいてほしいのは「年金の減額」についてです。
年金はこれまで自分ががんばって掛けたお金を受け取っているだけだから、少しくらい働いても減らされるなんてことはないだろう、なんて思っていませんか?
実は、規定以上に収入があるとその分の年金が減ってしまうのです。
ただし、すべての年金が減らされるわけではなく、減額対象となるのは「老齢厚生年金」部分だけです。
国民年金のみを受給している場合は、いくら働いても減額対象にはなりませんので安心してくださいね。
年金を納めるときに、国民年金(基礎年金)と厚生年金があります。
国民年金は20歳以上60歳未満の国民全員が加入しなければなりません。
厚生年金は国民年金にプラスして納める年金で、会社にお勤めの70歳未満の会社員や公務員は、基本的に全員加入しなければなりません。
給料明細には「厚生年金」という項目しかありませんが、この中には国民年金分も含まれています。
納める厚生年金の額は、お給料に対して18.3%(厚生年金保険料率)で計算され、本人と会社が半分ずつ負担する形で納めます。
月給以外のボーナスにも同様に納める必要があります。
会社に長く勤め報酬が多いと、納めた厚生年金もその分高くなるということです
この厚生年金が支給されるときに老齢厚生年金になります。
厚生労働省の「平成29年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、国民年金の平均支給額が月額55,615円、老齢厚生年金の平均支給額は月額147,051円(男性166,668円・女性103,026円)となっています。
定年後の生活の柱である老齢厚生年金部分が、報酬によっては減額されてしまうということです。
減税対象になる人の第一条件は、「60歳以上で年金を受給し、社会保険に加入しながら働き、規定額以上の収入がある場合」です。
60歳~64歳は在職老齢年金の規定額が28万円となるため、年金と月の報酬が28万円を超えると超えた分だけ減額対象となります。
65歳以上の場合は、在職老齢年金の規定額が47万円(2019年4月1日より)となるため、年金と月の報酬が47万円を超えると、超えた分だけ減額対象となります。
月収47万円なら大丈夫と思うかもしれませんが、会社員で現役のときにずっと厚生年金を掛けていた場合は、年金額が20万円を超えることもあり、その場合は残り27万円までしか枠がないということになります。
また、その中に年間で貰えるボーナスの合計を月割りにした金額も加算されることも忘れてはいけません。
冬のボーナスが想定よりも多く、数万オーバーしてしまうこともよくある話です。
年金だけでは生活が不安なので一生懸命働いたのにも関わらず、受け取るはずの年金がカットされただけだった…という事態も起こってしまいます。
残念ながら、カットされた年金は働かなくなったからといって戻ってくることもありません。
会社員ではなく、パートの場合はどうでしょうか?
パートやアルバイトでも下記の場合は、社会保険に加入義務があります。
当然フルタイム勤務となると大幅に超えてしまうので、社会保険に加入しなくてはいけません。
もし、会社員として社会保険に加入し年金受給時も働きたい場合は、パート・アルバイトでもフルタイム勤務だと減額対象になる可能性があります。
勤務時間を減らし、社会保険加入の対象外となれば減額対象からもはずれるので、受給できる年金額と報酬のバランスが大切になります。
とはいえ、途中で不都合に気づいたとしても労働条件を思い通りに変更できるかは、なかなか難しいところです。
知らなかったでは泣きを見ることになるので、損をしない労働条件をしっかり算出しておきましょう。
これまで勤め上げた会社で定年後も社員として働ける、もしくはフルタイム勤務で働けることは嬉しいことです。
ですがその場合は年金の減額に直面し、下手をすればこれまで掛けてきた年金がゼロ円なんてこともあり得ます。
では、年金を減額されず報酬を得るにはどうしたらよいのでしょうか?
1つ目のポイントは、47万円の壁(65歳以上の場合)を超えないこと。
これは、年金を減額されずに受け取る基本中の基本です。
47万円を超えなければ、年金を減らされることはありません。
厚生年金を掛けない職種を選ぶと、減額の危険はありません。
年金を受給するようになったら、自営業・公務員・パートやアルバイト勤務(社会保険に加入不要な時間で)・フリーランスを選びましょう。
これらは国民年金となり厚生年金を抜けることになるため、対象から外れることになります。
どうしても今の会社の仕事を続けたい場合など社員ではなくフリーランスとして委託契約を結んでもらうなどすれば、厚生年金から外れることが可能になります。
65歳未満の人は、特別支給の老齢厚生年金を受け取りながら、失業給付を受け取ることはできません。
失業給付が優先させるので、老齢厚生年金が減額されることになります。
ですが、65歳以上の場合は、失業給付と老齢厚生年金をもらうことは可能です。
ただし65歳を超えると失業給付の受けられる日数が高齢被保険者となり、50日分か30日分しか貰えなくなります。
一番賢い方法としては、65歳未満ぎりぎりで退職(65歳未満と認められるのは65歳になる前の2日前まで)し、65歳になってから手続きに行くことです。
定年後も働くなら、年金減額で損をしないためにも在職老後年金の減額は知っておくべき知識です。
なんとなくの知識では、あとから泣きをみることになりかねません。
また、個人個人で減額金額は異なります。
「あの人と同じくらいだから大丈夫だろう」という勝手な思い込みは危険です。
正しい知識を持ち、常に自分の場合はどうなのかを確認するようにしましょう。