高齢ドライバーの自動車事故のニュースが報道されるたび、【免許返納】という言葉を見かける方も多いのではないでしょうか。
自分には関係ないと思っていても、今後自身の体力の衰えから運転免許証を返納する決断に迫られるケース、または身の回りの高齢者に対して返納を促す機会が訪れるかもしれません。
免許証を返納することで、「生活する上で不便になるのでは?」と不安になることも少なくないでしょう。
しかしその不安……ちょっと待った!
実は免許証を自主返納することで、自治体ごとに特典や支援策が用意されているんです!
そこで今回は、免許返納や返納したことによる特典などについてお伝えしていきます。
免許返納とは、運転免許が不要になった人や加齢に伴う身体機能や判断力に不安を感じる高齢者ドライバーが自主的に免許を返せる制度のことを指します。
免許返納の年齢制限は設けられていませんが、一般的に特典が受けられるのは65歳以上としているところが多いです。
(出典:「運転免許証の自主返納に関するアンケート調査結果」警察庁)
上のグラフは運転免許証を自主返納した1,447人に聞いた「免許を返納しようとしたキッカケ」の内訳を表すものです。
家族から勧められて返納することにした人が全体の3割を占めていますが、運転に自信がなくなった、運転する必要がなくなった等の理由で自主的に返納する人も多いようです。
なぜ高齢者になると自主返納を決断したり、周りに返納を促されたりするのでしょうか?
その原因はグラフで見ると一目瞭然です。
(出典:「平成29年における交通死亡事故の特徴等について」警察庁交通局)
こちらは、死亡事故の人的要因比較を75歳で区切ったグラフです。
75歳未満は安全不確認が多いのに対して、75歳以上は操作不適による死亡事故が多いことが分かります。
近年、操作不適による交通事故が発生したというニュースを散見することがあり、それをキッカケに免許返納を検討し始めた人も多いと考えられますね。
一方、高齢者ドライバーの操作不適の事故が多発しているにも関わらず、未だに返納を検討しない方もたくさんいらっしゃいます。
高齢者はなぜ免許返納をためらうのか、次にその理由を見ていきましょう。
(出典:「運転免許自主返納に関するアンケート調査結果」警察庁)
上のグラフからも読み取れるように、免許返納をためらう理由としては、
などが挙げられます。
確かに、自動車がないと買い物に行くのに苦労したり、趣味のドライブがなくなると生活にハリがなくなることなども考えられます。
しかし一方で、自分の体力を過信するがあまり、その慢心により多くの人を不幸に巻き込んでしまう可能性があることも、忘れてはいけませんね。
実際、どのくらいの割合で免許返納されているのでしょうか?
(出典:「運転免許の申請取消件数と運転経歴証明書交付件数の推移」警察庁)
表を見ると分かるように、75歳未満は平成29〜30年で免許返納率が下がっていますが、75歳以上に関しては毎年徐々に上昇傾向にあります。
やはり昨今のニュースにより免許返納を意識する、または意識させられるケースが増えていることが読み取れます。
この結果の中には、周囲を不幸に巻き込まないで済んだというメリットと、ライフスタイルの一部を奪われるというデメリットを天秤にかけた上での苦渋の決断も含まれているのはないでしょうか。
しかし、免許返納にはデメリットを覆すようなメリットもあるんです!
免許証を返納したら、車の運転ができなくなって不便になるということ以外にも、身分証明証がなくなることへの不便さを感じている方も多いのではないでしょうか?
安心してください。
免許返納の際に簡単な手続きを行うだけで身分証明証としても使用可能な運転経歴証明書を発行することができるんです!
さらにこの運転経歴証明書は高齢運転者支援サイトに掲載されている公共機関や店舗で提示すれば、様々な特典が受けられるようになっています!
なお、運転経歴証明書は免許返納してから5年以内であれば発行が可能です。
「免許を返納したけれど、運転経歴証明書は発行していない!」という方も、まだ間に合うかもしれません。
お住まいの自治体によって運転経歴証明書を提示することで受けられる特典内容は変わってきますが、今回は東京で受けられる特典を3つご紹介します。
こちらは一般社団法人東京都個人タクシー協会による運転免許返納者割引制度で、東京23区をはじめとした、一部離島を除く地区が対象となっています。
なお、本特典が受けられるタクシーは、車体の窓ガラスやドア上部に割引対象車であることが分かるステッカーが貼られているので探しやすく、ちょっとした移動にも便利です!
※対象エリアなど詳細はホームページをご参照ください。
イオンモールでは都内16店舗イオン直営売場にて、購入金額に関わらず1商品あたり100〜300円(税込)で即日配達を実施しています。
免許返納によって運搬手段がなくなったとしても、不便なく生活が送れるのはありがたいですよね。
ただし、配送料が店舗によって異なっていたり、一部未実施の店舗もあるので、事前に各店舗に問い合わせておくことをオススメします。
詳しくはイオンの即日便利用規約をご覧下さい。
医療法人IMSグループでは、全額自費による人間ドックを36,000円(税抜)で受診が可能です!
<対象となるクリニック5箇所>
ご自身の健康に不安を感じられるようでしたら、ぜひお近くのクリニックでお得に人間ドックを受けてみてはいかがでしょうか?
人間ドックの詳しい内容につきましては、上記記載クリニックの運転免許証自主返納担当者宛にお電話にてお問い合わせ下さい。
「免許返納というけれど、どのように返納するの?」と疑問が湧いてくるかもしれません。
ここでは、免許返納の方法について順番に見ていきましょう。
手続きは最寄りの運転免許センター、または居住地を管轄する警察署となります。
ここでも、東京を例に挙げて説明していきます。
免許返納に必要な持ち物は以下の通りです。
免許返納のみを行う場合 | ・運転免許証 ・印鑑 |
免許返納と運転経歴証明書を発行する場合 | ・運転免許証 ・印鑑 ・縦3cm×横2.4cmの証明写真 ・交付手数料(令和2年6月時点では1,100円) |
証明写真には以下のような指定条件があります。
申請場所によっては「写真持参」ではなく「現地撮影」の地域もあるため、撮影の前にこちらの注意事項を確認するようにしましょう。
免許証所有者本人が窓口に行くことが困難な場合に限り、家族などの代理申請も受け付けています。
上記持ち物に加え委任状・代理人の身分が証明できるもの(住所・氏名・生年月日が分かるもの)が必要となります。
ただし、免許返納を代理人にて申請できるのは、全免許種別返納の人のみとなるため、一部返納を希望されている場合は対象外となります。
免許返納に関しては、自治体によって受付時間や必要書類が異なります。
運転免許センター・警察署は平日午前8時30分から午後5時15分までが受付時間となっています。
土日祝日年末年始は業務を行っていない場合もあります。
お住まいの管轄警察署のサイトをご覧になってから手続きをしに行くようにしましょう。
では、免許返納はどのタイミングが望ましいのでしょうか?
返納を決めるタイミングは人それぞれ異なりますが、
などの理由で免許返納を検討される方が多い傾向にあります。
「最近、急発進・急ブレーキが増えた」
「車体に擦ったような傷が増えた」
「運転に自信がなくなってきた」
と感じたら、万が一の事故につながる前に免許返納を検討するのが好ましいでしょう。
せっかく免許を自主的に返納する気になったのに、受け付けてもらえないなんてことは避けたいですよね。
ここでは免許返納時の注意事項等をご紹介いたします。
上記の事項に該当する人は自主返納ができませんので注意しましょう。
また、免許返納後に再度運転免許を取得する場合は、特例等は特になく再度適性試験、学科試験、技能試験を受験し合格しなければなりません。
また、運転経歴証明書は公的な身分証明書として利用できるものの、自動車を運転することはできません。
無免許運転で逮捕、なんてことにならないようにくれぐれもご注意下さい。
お住まいの地域やライフスタイルによって、車は切っても切り離せないかもしれません。
しかしお伝えした通り、免許返納は必ずしもデメリットばかりではありません。
免許返納も1つの選択肢として頭の片隅に置いてもらえると幸いです。
「どうしても車は手放せない」という場合は、運転サポート付き自動車や後付けペダルなどの購入に役立つサポカー補助金も検討してみてくださいね。