日本の年金制度が盤石でないのは、今では周知の事実となっています。(2020年4月現在)
老後の大きな不安は生活費で、セカンドライフを迎えるまでにいかにお金を貯めるかが、現役世代に与えられた課題です。
老後に必要な資金は2,000万円ほどといわれていますが、それはあくまで平均的な数字で、必要となる資金は個々で異なります。
今回は老後にかかる費用の計算方法から、自由に使えるお金のバランスなどを解説します。
老後にいくら必要になるという前に、まずは自分自身が老後に使えるお金を計算することからはじめましょう。
例を出します。
老後の収入源が年金だけの場合で、貯金がそれまで1,000万円あって、年金が2,000万円、退職金が500万円で、老後の生活費が3,000万円と医療費が500万円かかる人だと、
となり、このままだと老後の贅沢に使えるお金はないということが分かります。
したがって、老後趣味などを楽しみながらゆったり暮らすためには、現役時代にもっと貯金をしておくか、老後に別の収入を得る方法を考えなければいけません。
このように、早めに老後に使えるお金を計算しておくことで、十分な備えにもなります。
老後に必要になる資金を計算するにも、あなたがセカンドライフをはじめるまでにどのくらいの貯蓄ができるかが分からないと、それ自体を計算することはできません。
当たり前ですが、老後に必要な資金の計算方法は、収入から支出を差し引いたものです。
収入には、貯蓄、年金、退職金が含まれます。
もちろん老後に働き続ける場合は、それも収入に含まれます。
老後継続的にかかる費用には、食費や水道光熱費などの毎月の生活費の他に、住宅費、医療費、被服費、接待交際費、自動車関係の費用などが含まれます。
医療費に関しては、今までよりも多くかかることが予想されます。
歳をとると食費や水道光熱費は統計的にも現役時代よりもかなり抑えられますし、今よりも外に出歩く頻度も少なくなるため、接待交際費も安く見積もることができます。
自治体にもよりますが、自動車がなくても電車やバスがかなりお得に利用できる可能性も高くなるため、自動車関係の費用は丸々なくすことも可能です。
総務省が公開している2017年の家計調査報告書によると、単身者では毎月の支出が15万円を切る金額となっていて、夫婦だと65歳~69歳が約26万円、70歳~74歳で約24万円、75歳以上で約22万円という結果が出ています。
支出の金額が大きいほど節約できる金額の多くなりますので、努力をしなくても、日々の工夫で趣味を楽しむくらいの予算は確保できる可能性は高いでしょう。
20代、30代の若者は、友人の結婚式で急な出費がかかる機会が増えます。
自分が結婚することで、それまでの出費は回収できますし、バリバリ働く現役のうちは、それほど深刻な負担にはならないでしょう。
40代から50代、60代と歳を重ねていくと、以前よりも周りで人が亡くなることが多くなり、お葬式にかかる一時的な出費が増えます。
それでも結婚式のお祝いに比べると金額は低いですし、まだ働いているうちは大きな負担になりません。
定年後はよりお葬式や法事・法要に招かれる機会は多くなり、法事・法要となると一回の出費も大きくなるため、年金生活をしている方たちとっては、かなりの痛手となります。
さらに、歳をとると両親や配偶者の葬儀の喪主になる可能性も高くなり、一般的にお葬式を行うには、200万円程度の費用がかかります。
葬儀の後にお墓を建てて埋葬する場合も、150~200万円かかると言われているので、一時的とはいえ、この出費は収入源が年金しかない方にはかなり大きな出費です。
冠婚葬祭以外にも、高齢になると病院に行く機会も多くなり、老後生活の毎月の出費の中に、医療費を含んで計算している方がほとんどでしょう。
しかし、突然の入院や、毎月治療や投薬が必要になった場合は、一時的にもそうですが、年間の負担額も結構大きくなってしまいます。
さらに介護が必要になれば、その負担はかなりのものになります。
最終的に老人ホームなどの施設のお世話になることを考えると、毎月20~30万円ほどの費用がかかるのが一般的です。
冠婚葬祭や介護や医療に関しては、あらかじめ想定内で老後の計画にきちんと入れている方が実際には多く、それに備えて保険や互助会に早めに加入している割合も少なくありません。
ただし、老後に一時的にかかる費用に関しては、見逃していることも結構多くて、その中に老化に関するケアがあります。
特に女性は、いくつになっても美容に気を遣う方が多く、今後はどんどん平均寿命が延びていくことが予想されますので、今まで以上の出費を計算しておかなければいけません。
女性が美容にかける費用で代表的なものには化粧品がありますが、男性でも老後に薄毛を気にして育毛剤やシャンプーなどにお金をかける方が増えています。
最近では男女問わずにウィッグの利用率も高くなっていて、これは一時的な出費で済むものと、継続的なケアが必要になるものに分かれます。
その他にも歳をとると老眼対策や歯のケアにはお金がかかるようになり、特に総入れ歯やインプラントにする場合は、一時的に数十万円から100万円以上の出費になってしまいます。
年金制度の崩壊を心配して、今後迎える老後に不安を抱えている人は多く、将来に期待を持てない若者が増えているのも事実です。
ただし、年金受給額は今後も減少しても、完全に0円になるのは相当先の話です。
できるだけ早めにしっかりと貯金や資産運用に励んで備えることで、少なくても自分の趣味を楽しめるくらいの老後を送ることは、それほど難しいことではありません。
突発的にかかる出費も頭に入れて、今から老後を楽しく送る計画を立てましょう。