人生100年時代と言われるようになりましたが、少子化で老齢年金は先細りです。
生きていくにはお金が必要ですが歳を取るに従い、収入を得る方法は限られてきます。
むしろ長生きしない方が幸せかも…?
これからの少子高齢化社会では、いま自分の親世代が送っているような老後を望むことは贅沢なのでしょうか?
困窮すれば生活保護という選択もありますが、住宅ローンの残った持ち家があると生活保護の受給はできません。
そこで今日は、持ち家に住みながら老後資金を借りられるリバースモーゲージについて解説しようと思います。
リバースモーゲージとは、住宅を担保に金融機関等から資金を借りる住宅ローンの一種です。
普通の住宅ローンと違うのは、住宅ローンを借りている間、元金の返済は不要で利息の支払いだけを行い、債務者死亡後に住宅を売却し元本を一括返済するという点です。
(普通の住宅ローンとリバースモーゲージの異同点)
普通の住宅ローン | リバースモーゲージ | ||
担保 |
自己居住の建物に第一順位の抵当権を設定する 支払を継続できなくなると、家を売却して元本を完済する |
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毎月の返済 | 毎月、元本と利息を返済 | 毎月、利息を返済 契約者は死亡後に元本を一括返済 |
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金利タイプ | 変動金利、固定金利などを選べる | 変動金利のみ | |
相続 | 家を配偶者や子に相続させられる | 名義人(夫)が亡くなった後は配偶者(妻)にそのまま引き継げる金融機関が多い。しかし子への相続はできない。 |
毎月の返済額は利息のみとなりますので、通常の借り入れよりも自由に使える資金が多いことから老後資金に枯渇した場合に、自宅に住みながらお金を工面できる方法として注目されています。
利用上の注意点としては
の3つです。
リバースモーゲージでは、1年に1回程度の頻度で不動産価値や金利の見直しが実施されます。
つまり、地価が下がり、その家を売って借りたお金を完済できないということになったら、元本の一部を繰上げ返済しなければなりません。
また、変動金利が上がると即座に毎月の返済額に反映されます。
また、長寿化が進み予定より長生きした場合、リバースモーゲージで借り入れした資金を使い切ってしまう長寿化リスクもあります。
リバースモーゲージは各行で様々な種類の商品が提供されています。
住宅ローンを借りている間、元金の返済は不要で利息の支払いだけを行い、死亡後に住宅を売却し元本を一括返済する点はほぼ共通です。
ここでは、各金融機関のリバースモーゲージで、違いが出てくるポイントを解説します。
リバースモーゲージは対象物件を最終的に金融機関が取得し金融機関が処分しますので、将来の物件価格に対して金融機関がリスクを取っています。
そのため、対象エリアとしては首都圏周辺や地方でも都市化の進んだエリアに限られるケースが多いです。
金融機関によってその対象とするエリアが違うため、確認が必要です。
リバースモーゲージは主に老後資金を融資する商品であるため、ある程度の年齢になった人がその対象になっています。
一般的な定年退職の60歳から申込み可能という金融機関が最も多いですが、中には50歳から申込可能という金融機関もあります。
担保物件は自己居住物件であることが共通の要件です。
さらに戸建てでなければならず、マンションは不可としている金融機関もあります。
これは、マンションだと建物が老朽化して建替えをしたいと思っても管理組合の合意が必要となるため、その後の管理にコストとリスクが伴うためです。
リバースモーゲージで借りる資金は、その使途を自由としている金融機関と使途を限定している金融機関があります。
資金の使途を限定するケースとしては、サービス付き高齢者住宅の入居資金、住宅のリフォーム資金、住宅の住み替え資金、住宅ローンの借換資金などとなっている金融機関が多いです。
資金の使途が限定されている場合は、実際にその用途にお金を使ったことの証拠を提出しなければなりません。
老後の生活資金が足らなくなった場合は、生活保護という選択肢もあります。
生活保護制度は、生活に困窮する人に対しその困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長することを目的として税金で毎月の生活資金を支給するセーフティネットです。
これに対して、リバースモーゲージは信用に対する融資ですから、本当に困窮する前の段階で所有資産である持ち家を上手に活用する資産運用といえますね。
生活保護は世帯単位で行い、世帯員全員がその利用し得る資産・能力・その他あらゆるものをその最低限度の生活の維持のために活用することが前提です。
つまり、預貯金・生活に利用されていない土地・家屋等があれば売却等し生活費に充てることが求められます。
そのうえで世帯の収入と厚生労働大臣の定める基準で計算される最低生活費を比較して、収入が最低生活費に満たない場合に、生活保護が適用されます。
つまり生活に利用している持ち家の場合は、直ちに売却しなさいということにはなりませんが、そこは公平の見地からの判断があります。
一等地に建つ広い家に住みながら生活保護を受けるなんておかしいですよね。
つまり、持ち家であっても生活保護を受けられる条件は、その家の資産価値が低く、生活保護を受けているほかの人達と同じくらいの住環境であるということになります。
そもそも、そういう家に住みたいと思って家を買う人はいないでしょう。
リバースモーゲージであれば、利便性の良い立地で面積も広ければ広いほど、多くの資金を融資してもらえますし、不動産価値の下落リスクも低いですから安心です。
我々を待っているのは少子高齢化社会です。
これは予測というより、周知の事実に近いですよね。
しかし、住宅ローンの計画には、その事実が反映されていないことが多いと思っています。
まだ我々が経験したことの無い社会だからです。
もちろん、全ての人が少子高齢化社会で収入を減らしてしまうわけではありません。
当然に個人差はあるでしょう。
しかし、支給される年金は、ほぼ確実に今よりも減少することは明らかです。
金融機関の審査基準もまた、これを十分に織り込んではいません。
今は過渡期にあたるのではないかと思います。
なので、「持ち家に住みながらも老後を生きられるか?」については、他でもない自分自身で返済計画に織り込む必要があるのですよ。
リバースモーゲージは、米国では1960年ごろからスタートしており広く普及していますが、日本ではまだ利用が進んでいません。
しかし少子化社会で老後の収入が減る環境下で持ち家を守りつつ、不足しがちな老後資金を確保する手段として救世主となることが期待されている仕組みなのです。