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住宅ローン控除のポイントをしっかり押さえよう

住宅ローン控除という制度を知っている方は多いと思います。しかし、住宅ローン控除は決まった期間しか受けられず、申告を行う時期によって控除額が変わってきてしまうことも知っていましたか?

そこで今回は「住宅ローン控除の期間や注意したいポイント」について、日本一住宅ローンに詳しいと自負する住宅ローン博士「窪田光洋」が解説いたします。

CONTENTS

住宅ローン控除の期間はどれぐらいなのか

30代男性

つい先日、住宅ローンの一部が免除される住宅ローン控除という制度があることを知りました。お金が免除されるなんて、とてもうれしい制度ですね。

住宅ローン博士:窪田
そうですね。正しくは、住宅ローンの年末残高の1%が所得税から控除される』という制度です。

では、この住宅ローン控除が受けられる期間は知っていますか?

30代男性

期間があるのですか!?
最長35年間住宅ローン控除が受けられるのものだと思っていました。

住宅ローン博士:窪田
住宅ローン控除は受けられる期間が決まっています。

基本的に2017年現在の制度では、住宅ローン控除が受けられる期間は、住宅ローンの借り入れを行い、かつ入居をした年から10年です。

30代男性

そうなんですね。住宅ローン控除という名前から、ローン契約を行った日からだと思っていました。

住宅ローン博士:窪田
そうなんです。『入居を開始してから10年』というのがポイントです。

また、この住宅ローン控除の制度は頻繁に見直されているため、今後期間が変更する可能性があります。直近の変更では、2007年(平成19年)と2008年(平成20年)に居住を開始した人は、住宅ローン控除期間が10年または15年の2つの期間から選べる制度がありました。

30代男性

ややこしいですね。もう少し詳しく知りたいです。

それでは、2009年1月以降に入居をした場合と、2007年1月~2008年12月に入居した場合の住宅ローン控除期間についてみていきましょう。

2009年1月〜2021年12月に入居している場合

各年で控除額は異なりますが、2009年から2021年の住宅ローン控除期間は10年です。
ですので、来年の2018年に家を購入しようとお考えの方は、2028年まで住宅ローン控除を受けることができます。

入居を開始した年 控除期間 控除適用年 各年の控除額の計算(控除限度額)
2009年1月1日~2009年12月31日 10年 2009年~2018年 1から10年目
年末残高等×1%
(50万円)
2010年1月1日~2010年12月31日 2010年~2019年
2011年1月1日~2011年12月31日 2011年~2020年 1から10年目
年末残高等×1%
(40万円)
2012年1月1日~2012年12月31日 2012年~2021年 1から10年目
年末残高等×1%
(30万円)
2013年1月1日~2013年12月31日 2013年~2022年 1から10年目
年末残高等×1%
(20万円)
2014年1月1日~2014年12月31日 2014年~2023年 1から10年目
年末残高等×1%
(40万円)
(注)上記の控除限度額は、住宅の取得等が特定取得※に該当する場合であり、それ以外の場合の控除限度額は20万円以下である
2015年1月1日~2015年12月31日 2015年~2024年
2016年1月1日~2016年12月31日 2016年~2025年
2017年1月1日~2017年12月31日 2017年~2026年
2018年1月1日~2018年12月31日 2018年~2027年
2019年1月1日~2019年12月31日 2019年~2028年
2020年1月1日~2020年12月31日 2020年~2029年
2021年1月1日~2021年12月31日 2021年~2030年

※特定取得とは住宅の所得等の対価の額又は費用の額に含まれる消費税額等が、8%または10%の税率である場合におけるその住宅の取得等をいいます。

2007年1月〜2008年12月に入居している場合

2007年(平成19年)に、所得税を減らして住民税を増やすという「税源移譲」が行われました。そこで、今まで通り10年間の住宅ローン控除制度を行っていては、国の所得税の総額が減ってしまうという懸念が生まれました。その懸念に対応する策として、2007年~2008年の控除期間は10年と15年から選択することができるようになりました。

2007年、2008年に入居を開始し10年の住宅ローン控除を選択された方は、すでに期間が終了または今年に期間が終了します。
しかし、15年を選択した方は、まだ適応期間内です。

入居を開始した年 控除期間 控除適用年 各年の控除額の計算(控除限度額)
2007年1月1日~2007年12月31日 10年 適用終了
15年 2007年~2021年 1から10年目
年末残高等×0.6%
(15万円)
11から15年目
年末残高等×0.4%
(10万円)
2008年1月1日~2008年12月31日 10年 2008年~2017年 1から6年目
年末残高等×1%
(20万円)
7から10年目
年末残高等×0.5%
(10万円)
15年 1から10年目
年末残高等×0.6%
(12万円)
11から15年目
年末残高等×0.4%
(8万円)
30代男性

もし住宅ローン控除の申告を忘れてしまっていた場合、期間内であれば控除は受けられますか?

住宅ローン博士:窪田
はい、万が一申告し忘れていた場合、期間内であれば、5年前までの所得税を受け取ることができます。
住宅ローン控除の手続き忘れ

【住宅ローン控除(減税)】手続きを忘れた場合はどうすればいいの?

1月と12月に入居しても控除される金額は影響がないのか?

住宅ローン博士:窪田
ところで、12月と1月のどちらに新しい家に引っ越しをしたいですか?
30代男性

そうですね、新規一転で1月に引っ越しをしたいです。

住宅ローン博士:窪田
それもいいですね。
しかし、住宅ローン控除のことを考えると12月に引っ越しをすることをおすすめします。なぜなら、12月または1月のどちらに入居するかによって、住宅ローンの控除金額が変わってくるからです
30代男性

そんな!どんな風に影響があるのですか?

住宅ローン博士:窪田
これには、住宅ローンの控除額の算出方法が関係してきます。住宅ローン控除額は『年末の住宅ローンの残高×1%』という計算方法で算出します。ということは、年末残高が多くあった方が、控除される金額も多くなりますよね?
30代男性

確かにそうですね。ということは、12月に入居を開始した場合は、返済をまだ開始していないため、借入金の全額が控除額の対象。しかし、1月に入居を開始した場合は、一年間返済した後の年末残高が対象となるため、控除額は低くなってしまう、ということですね。

住宅ローン博士:窪田
その通りです。つまり1月に入居するよりも、12月に入居した方が、住宅ローン控除は多くもらえます。
30代男性

では、12月に実際に入居を開始したけれども、ローン契約は1月に行った場合、住宅ローン控除に影響はありますか?

住宅ローン博士:窪田
いい質問ですね。年をまたいで住宅ローン契約を行った場合、住宅ローン控除が実質1年間受けられないケースがあります。

基本的に、住宅ローン控除は入居した年から10年間受けられる物です。しかし、住宅ローンの契約を行っていなければ、年末時点の残高が存在しません。そのため、入居しているのにも関わらず、本来受けられる控除を1年分損することになってしまいます。

ですので「入居開始」と「住宅ローン契約」は年をまたがないように気を付けましょう。

2022年以降引き渡しの新築マンションは注意

30代男性

私も近いうちに、住宅購入をし、住宅ローン控除を受けたいと考えています。しかし、住宅ローン控除が受けられるのは2021年12月31日までに入居を開始した人と知りました。となると2022年以降に家を購入した人は住宅ローン控除を受けられないのですか?

住宅ローン博士:窪田
現段階では、まだ2022年以降の住宅ローン控除の制度について公表されていません。
そのため、どうなるか分かりません。このまま制度が続くかもしれませんし、終わってしまうかもしれません。
30代男性

そうなのですね。少しでも住宅ローンを軽減したいので、ぜひこのまま続けてほしいです。

住宅ローン博士:窪田
そうですね。
どうなるか分からないので、2021年から2022年にかけて物件購入を考えている方は、2021年に購入し、年内に入居することをおすすめします。

先ほども述べた通り住宅ローン控除の申請は、購入物件への入居開始が条件です。
ですので、「あと少し早く入居していたら控除が受けられたのに」、とならないよう物件引き渡しは2021年までに行ってもらいましょう。

購入住宅に入居した時期の証明はどうやってするのか

30代男性

先ほどから住宅ローン控除の申請には入居が条件とおっしゃっていますが、どのように証明するのですか?

住宅ローン博士:窪田
入居時期の証明は、確定申告で「住民票の写し」を提出することで証明します。
30代男性

すみません。確定申告とはなんですか?

住宅ローン博士:窪田
「確定申告」とは所得税を払うため「いくら所得がありました」その結果「所得税を〇〇円払います」というものです。また確定申告は住宅ローン控除を受けるために行わなければならない手続きです。

「確定申告」では1年間の所得から納税額を確定し、税務署に申告します。多くの会社員の方は、会社が確定申告をしてくれているため、あまりなじみがないかもしれませんね。

しかし、住宅ローン控除を受ける場合、初年度のみ自身で確定申告を行わなければ、住宅ローン控除を受けることができません。

30代男性

住宅ローン控除を受けるためには必須の手続きということですね。

住宅ローン博士:窪田
この確定申告の際に必要な書類の一つが入居時期を証明する物になります。
それが「住民票の写し」です。一般的には引越しをした日に住民票を異動するため、住民票が入居日の証明になります。

確定申告には入居の証明だけでなく、ローンの残高証明等、ほかにも必要な書類があります。
詳しくは【住宅ローン控除(減税)】確定申告に必要な書類と手続きの時期を参考にしてみてください。

住宅ローン控除をマスターしてお得なマイホーム購入

【住宅ローン控除(減税)】確定申告に必要な書類と手続きの時期

確定申告で住宅ローン控除を申請するスケジュールは

30代男性

確定申告を申請する時期はいつ頃ですか?期限などはありますか?

住宅ローン博士:窪田
住宅ローン控除の申請する時期は、購入住宅に入居を始めた年の、翌年1月1日から3月15日で、約2か月半の間に申請を行う必要があります。

通常の還付申告はおおむね2月16日~3月15日の期間に行われます。(期限の開始日・終了日が土日の場合変更になります。)しかし、住宅ローン控除の還付申告は1月1日から可能です。

期限は約2か月半と長く感じるかもしれませんが、必要書類を準備するのに時間がかかります。ですので、年が明けたらすぐ申請する意気込みで、余裕をもって準備を進めましょう。

確定申告をどこに申請すればいいのか、申請方法を知りたい方は確定申告の時期と提出方法をご覧ください。

住宅ローン控除をマスターしてお得なマイホーム購入

【住宅ローン控除(減税)】確定申告に必要な書類と手続きの時期

住宅ローン控除(減税)は平成31年7月以降も延長されるの?

住宅ローン博士:窪田
現在の住宅ローン控除の適用期間は2021年12月31日までです。

これまで住宅ローン控除を受けられる人は、2019年6月30日までに入居を開始した人が対象でした。
しかし、2016年の閣議決定で、消費税10%への増税が2017年4月から2019年10月へ2年半延期されたことで、住宅ローン控除の適用期間も約2年半延長されました。そのため、現在の住宅ローン控除の適用期間は2021年12月31日(平成33)までとなっています。

住宅ローン控除の期間は繰り上げ返済をしない方がいいの

住宅ローン博士:窪田
どちらを優先すべきか、は住宅ローンの金利によって異なります。

住宅ローン控除は年末残高×1%の額が免除されるものです。
そのため、住宅ローンの金利が1%以上または1%以下のいずれかで、繰り上げ返済を行うべき時期が異なります。

金利が1%以上の場合

住宅ローン控除の減少額よりも、繰り上げ返済の利息減少額のほうが高い場合が多いです。
そのため、住宅ローン金利が1%以上の場合、住宅ローン控除の恩恵をあまり感じられないので、住宅ローン控除期間中から繰り上げ返済を早々に行ったほうがお得です

一方、金利が1%以下の場合

住宅ローン控除の効果を最大限に活用できる場合が多いため、住宅ローン控除期間中に繰り上げ返済を行わないことをおすすめします。
そのため、住宅ローン控除期間が終了してから、一気にまとめて繰り上げ返済を行う方がお得になります

借入額や金利の変動によって上記のケースと異なる場合もあります。ですので、ぜひ一度シミュレーションを行って見ることをおすすめします。

住宅を購入する際は住宅ローン控除の期間も忘れずに

住宅ローン控除の期間について、ポイントと注意点をまとめてみました。
家を購入する際には、住宅ローン控除の期間も意識することをお忘れなく。そして、住宅ローン控除をうまく活用しながら、住宅ローンの返済に役立てましょう!

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