住宅ローンの審査では、属性審査はもちろん、物件の審査も行われます。これは、万が一ローンを返済できなくなった際に物件を売却して返済をしてもらうためです。物件の評価額以上の貸し出しをしてしまうと、売却額が返済額を下回って赤字になるので、きちんと審査が行われるのです。
今回は、戸建住宅とマンション、それぞれの評価がどう変わるのか比較してみましょう。
戸建住宅でも新築物件と中古物件で評価は異なります。新築住宅の場合、建物はハウスメーカーとの契約金額が評価額とされます。土地は基準地価や路線価から算出されますが、相場と大きく異なることがなければ購入金額の評価は出してもらえるでしょう。
大手ハウスメーカーが手がけた物件の場合、優良な担保であると評価されるため、審査が有利になる場合があります。
中古住宅は、最も審査が通りにくいといわれます。なぜかというと、住宅には耐用年数(〇年経過したら価値が0になるか)が定められており、建物の評価がこれをもとに算出されるからです。
木造建ての耐用年数は22年程度とされていますが、多くの場合は30年たっても問題なく住めることがほとんどです。
土地の評価はそこまでは変わらないものの、建物の評価は築年数が古いほど低くなり、新築時の50%~70%、場合によってはもっと低くなるケースもあります。借入希望額に対して物件評価が低くなった場合、手持ちのお金で対応しなければ住宅ローンを組むことが難しくなります。
マンションは戸建住宅と評価方法が異なり、市場価格に合わせて評価されます。同じ地域の似たような物件がどの程度で販売されているかを元に、販売価格が適正か判断します。明らかにリフォームが必要と判断されるような物件は評価が下がってしまいますが、すでにリフォームがされていれば評価が大きく下がることはないでしょう。
例えば、既存不適格で再建築不可の物件。これは、建物が建てられた当初は建築基準法をクリアしていたけれど、法改正により現在は不適格とされ、新しく建て直すことができないような物件を指します。こういった物件は土地の評価が低くなるため、金融機関によっては取り扱いされない場合があります。
他にも、借地権付きの物件が挙げられます。借地権は使用料を払って土地を借り、建物を立てるような物件です。借地権付きの物件は権利関係が複雑なため、金融機関の審査も厳しくなり、住宅ローンの借り換えができない場合もあります。
マンションの場合、新築・中古ともに販売価格が適正であれば、物件評価でつまずくことは少ないですが、中古の戸建て住宅を検討する場合はある程度の頭金を用意した上で検討すると良いでしょう。特殊な物件の場合、金融機関によって取り扱いの可否があるので事前に調べておきましょう。