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自分の年収でいくらの家が買えるの?
誰もが家を購入するときに、そう自問します。しかしインターネットを検索しても、決して満足のいく答えは出てこなかったと思います。『そんなことは誰にも分からない』からです、これは古今東西変わらない事実です。
そして実は、この質問自体も間違っているんです。
本当に知るべきことが手に入れられる質問じゃないのですよ。『自分が無理なく返せる住宅ローンの金額はいくらか?』という質問にすれば、この記事にその答えがあります。先に答えを書いちゃいましょうか。
今回は、20代の方向けに書きます。
※30代以上の方は少し違った考え方になります。近日公開しますのでお楽しみに。
20代で無理なく返せる住宅ローン=現時点の税込み年収×0.191×35年
これに頭金の金額を足せば、自分が今の時点で無理なく買える家の値段が計算できるということです。例えば年収300万円で上記の式にあてはめると、住宅ローンの金額は2005万円(切り捨て)です。
じゃあ年収300万円で頭金がゼロだと2005万円の家しか買えないのか?というとそんなに単純なことでもありません。では詳しく説明しましょう。
20代からスタートする住宅ローンの組み方
住宅ローンは早い時期から返済を開始することで、早く完済できますので、早く買うほうが有利といえば有利です。でも、20代のうちはまだ頭金も十分に貯められていないことが多いですし、今後良くも悪くも収入がどうなっていくのかわからないんですよね。
そして、分かっている今の年収というのは、若いですから低くて当たり前です。今の年収をベースにシミュレーションしたら、自分の欲しい家は買えない…そんなジレンマに陥る人が多いはずです。
しかし、欲しい家はそれよりも高い…という場合につい手を出してしまいそうになるのがボーナス払いなんです。
ボーナス払いは絶対ダメ
しかし、ボーナス払いはお勧めしません。
最も収入の少ない月に合わせて住宅ローンの支払いを決めて、ボーナス月でも返済は一定にするのが収支の構造的に一番安全なのです。
どんなに安定した大企業でも今後35年間、欠かさずボーナスを払い続けることを保証できる会社などありません。最適な住宅ローンは年収や年齢、家族構成によって十人十色ですが、ボーナス払いだけは例外なく『お勧めしない』と断言できるものなんです。
詳しくはこちらの記事で解説しています。
35年間420回ノーミスでクリアできる返済金額を計算する
住宅ローンとは何か?と問われたら、私は『35年ローンなら420回、銀行に決まったお金を払うことだよ』と答えます。これが正確な定義でないことは百も承知ですが、途中で家を売らない人にとっては住宅ローンの本質です。
※35年×12ヶ月=420回
今20代ならば、定年退職までは30年~35年ですよね。ですから、今の時点で確実に420回ノーミスクリアできる元利均等返済額を知ることが、シミュレーションのスタートになります。
シミュレーションのルールは以下の3つです。
- 毎月の返済は手取り月収の4割まで
- 返済額が一定になる元利均等返済方式で
- シミュレーションの金利は固定金利(1.38%)で
詳しくご説明しましょう。
(1)毎月の返済は手取り月収の4割まで
まずは、毎月の手取り月収の4割(又は現時点の賃貸住宅の家賃)を目安にしましょう。手取り月収の4割というのは、人によっては少し厳しい場合もありますが、収入は今後増えていきますので、このように設定します。
(2)返済額が一定になる元利均等返済方式で
そして支払い方法は元利均等返済です。これは元本と利息込みで毎月の返済額を均等にする住宅ローンの返済方式です。毎月の返済額が一定になりますので、資金計画が立てやすいメリットがあります。そのかわり前半は元本が減りにくいです。
これに対して、元金均等返済(元本の返済は一定としてその利息を払う)という方法もありますが、前半の返済額が多くなり、後半に減っていくものです。元本の減りは一定になりますが、若くて収入の少ないタイミングでこれを選択することはお勧めしていません。
(3)シミュレーションの金利は固定金利(1.38%)で
賭けてもいいですが、銀行や不動産会社の営業マンに住宅ローンのシミュレーションをさせると『変動金利』でシミュレーションします。なぜなら、変動金利の方が金利が低いので、高い家が買え、沢山借りられるように錯覚するからなんです。むろん、その方が銀行や不動産会社の利益になります。
しかし、変動金利には金利の上昇リスクがあり、それに対して貯蓄をすることよって対応しなければなりません。
変動金利のリスクについてはこちらでも解説しています。
『変動金利とは何か?をあなたは知らない』
住宅ローンを借りる上で私が提唱しているの『千日メソッド』では、変動金利で借りる場合は、毎月の支払い額の4分の1を貯蓄することを推奨しています。さらに毎月の支払いと貯蓄の合計が手取り月収の4割以下に抑えられることを条件としています。
なので、「自分がいくらまでなら無理なく借りられるか?」妥協のないシミュレーションをするなら、固定金利でやらないとダメなんですよ。千日が予想している2018年のフラット35の金利は団信保険料込みで1.38%です。
冒頭の計算式の解説。『0.191』の意味は?
では実際に計算してみましょう。
年収300万円の手取りの年収を240万円として、そこからボーナスを抜いた毎月の手取り月収を15万円とすると、その4割は6万円です。毎月6万円で35年元利均等返済、ボーナス払いなし、固定金利1.38%でシミュレーションすると以下のようになります。
借入額2000万円であれば、毎月の返済が約6万円となりますね。2000万円というのが今の時点で無理の無い借入金額ということになります。
0.191というのは、固定金利1.38%の元利均等返済で、年収から概ね計算した12カ月分の返済額の目安を示す割合だったんです。
この割合は年収300万~500万円の間なら概ね適正に計算できるものになっています。日本の税金は累進課税となっていて、所得が大きくなるほど税率が高くなる仕組みなので、額面年収に対する手取りの割合は、額面が多いほど低くなっていくため、年収が多い場合は少し変わってくるのでご注意ください。
シミュレーションの額を超えた家を買ってはいけないのか?
私の過去のどの記事でも『ボーナス払いはダメ』とは書いていますが、シミュレーションの額を超えてはいけないとは一言も書いていません。『身の丈を超える』大いに結構なんです。重要なのは、幾ら超えているのか?その測定をリアルに行うことです。
例えば年収300万円の人が3000万円の家を買った場合、いくら超えているのでしょうか?
『300万円の人は2000万円までなんだから、1000万円超えているんでしょ?』
違いますよ。
大事なのは、1000万円超えているということではなく、毎月の返済で幾ら超えているか、という物差しです。借入金額というのは単に住宅ローン契約書に書いてある、ただの数字です。毎月幾らかというのが、我々利用者にとってのリアルな数字です。
身の丈に合った物件選びは、専属アドバイザーに相談してみることをオススメします!
家を買うときには、いくら身の丈を超えているかの把握が大事
実際に計算してみましょう。毎月の返済額で3万円超えているということです。
1.38% 元利均等返済 |
3000万円 | 2000万円 | 差額 |
---|---|---|---|
毎月返済額 | 9万円 | 6万円 | 3万円 |
対応する手取月収 | 22.5万円 | 15万円 | 7.5万円 |
対応する額面年収 | 460万円 | 300万円 | 160万円 |
毎月3万円身の丈を超えているというのを肝に銘じておくことが重要なんです。毎月の収入がこれに追いつくまで、いかにして今の家計からこの金額を捻出するのか?というのが現実的かつ建設的な問題解決のポリシーなのです。
- 月の返済で3万円を捻出出するために1日に千円節約する方法を考える。
- 共働きにして、世帯年収を増やす。
- いざという時のためにボーナスを貯蓄しておく。
大事なことですので、もう一度書きます。ここで安易にボーナス払いを選択してはいけません。ボーナスを貯蓄しておくのと、ボーナス払いにするのとは全然違うのですよ。
家を買うときに「お金で損したくない人」が読む本
千日 太郎 (著) / 日本実業出版社
文:
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【シリーズ】
・ボーナス払い ダメ、絶対 by
・今の低金利時代に定期預金なんて勿体ない?ならば住宅ローンを繰上返済しよう by
▼住宅ローンの選び方【中級編】by 千日太郎▼
第1回:自分にとっての住宅ローンとは何か?をあなたは知らない
第2回:変動金利とは何か?をあなたは知らない
第3回:固定金利とは何か?をあなたは知らない
第4回:「当初固定金利」とは何か?をあなたは知らない
第5回(前編):固定金利と変動金利のミックスローンとは何か?をあなたは知らない
第5回(後編):一定期間固定金利のミックスローンとは何か?をあなたは知らない
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