住宅ローンを夫婦や親子で利用する際に便利な連帯債務。しかし、あなたにとって便利だったとしても、実はあまり連帯債務について知らない……そんな方もいらっしゃるかもしれません。
そこで今回は、いえーる 住宅ローンの窓口 ONLINEを運営するiYell株式会社の代表取締役兼CEOであり、日本一住宅ローンに詳しいと自負する「住宅ローン博士」の窪田 光洋が連帯債務の特性のほか、控除や団信に関する注意点を分かりやすく解説します。
- 住宅ローンの連帯債務とは
- 住宅ローン連帯債務の持分は契約上一緒!
- 連帯債務と住宅ローン控除
- 連帯債務で団信を利用する場合の注意点
- 連帯債務で住宅ローン借りた場合、借り換えはできるの?
- 離婚したら連帯債務はどうなるのか?対策と注意点
- 連帯債務で借り入れはどの金融機関でもできるの?
住宅ローンの連帯債務とは
連帯債務と連帯保証の違い
連帯債務と連帯保証の違いは、ローンを日常的に返済する人にあります。
対して連帯保証の場合は、ローンの返済を行うのは主債務者本人です。しかし、その人が滞納したり支払いできなくなったりした際に、連帯保証人が代わりにローンの返済を行わなければなりません。
連帯債務とペアローンの違い
こちらは、どのような違いがあるのですか。
連帯債務 | ペアローン | |
団信 | それぞれ加入できる | それぞれで加入しなけれならない |
住宅ローン控除 | 夫婦それぞれに適用 | 夫婦それぞれに適用 |
借り換え | 住宅ローン契約者のみが審査に通ればOK | 夫婦それぞれが審査に通る必要がある |
収入の合算 | 可能 | 可能 |
一方、ペアローンは1つの物件に対して、夫婦がそれぞれ主債務者・連帯保証人となり、2本の住宅ローンを返済していきます。
例えば夫が主債務者・妻を連帯保証人としたローンと、妻が主債務者・夫を連帯保証人としたローンの2本を返済するということです。
連帯債務者の審査
住宅ローン連帯債務の持分は契約上一緒!?
連帯債務と住宅ローン控除
連帯債務で住宅ローン控除は可能なのか?
住宅ローン控除について、もっと詳しく知りたい方はコチラをご覧ください。
連帯債務で住宅ローン控除を受ける際の注意点
それは、夫婦間で住宅ローンの負担割合を決めておくことです。
夫婦で負担割合を決めていないと、どんなことで困るのですか?
住宅ローン控除の計算方法
連帯債務における住宅ローン控除額の計算は少し複雑です。
今回は2つのケースをもとに、控除対象額の計算方法をご紹介します。計算に使用する値は以下の通りです。
・夫婦での借り入れ(負担割合 夫6・妻4)
・家と土地の購入金額 3,400万円
・頭金 400万円
・借入額 3,000万円
◎ CASE1 「夫が頭金を全額負担」
夫が頭金400万円を全額支払う場合について考えます。
まず、夫が家屋の持分取得に必要な支払額は1,300万円(3400万円×50%-400万円)です。これが、夫分の控除対象額となります。
そして、夫が実際に負担する借入金2,040万円(3,400万円×60%)と、1,300万円との差は740万円。
この740万円は、妻の家屋の持分取得に必要な支払額の一部として、夫が妻の代わりに支払う額です。
それに対して妻の場合は、家屋等の半分の持分取得に必要な額は、1,700万円(3,400万円×50%)
そして、先ほど計算した夫が妻の代わりに支払う額を使います。
妻分の控除対象額は、1,700万円から、740万円を差し引いた960万円となります。
◎ CASE2 「夫婦で頭金を折半」
頭金の400万円を半額ずつ負担し、借入金を夫婦6:4の割合で負担する場合について考えます。
まず、夫の負担額は1,800万円(3,000万円×60%)となります。
また、夫が家屋の持分取得に必要な支払額は1,500万円(3,000万円×50%)です。この場合は、1,500万円が控除の対象額となります。
これより、その差額の300万円(1,800万円-1,500万円)は妻の家屋の持分取得に必要な支払額の一部として、夫が妻の代わりに支払う額です。
それに対して妻の持分所得に必要な総額は、1,500万円から300万円を引いた1,200万円です。
この場合、1,200万円が妻の控除対象額となります。
連帯債務で団信を利用する場合の注意点
こちらは、連帯債務の場合でも利用できますか?
例えば、ローンの借入額が合計3,000万円。夫婦の負担割合が6:4の場合、夫の負担額は1,800万円、それに対して妻の負担額は1,200万円となりますね。
ここで、団信に加入している夫が病気などによってローンの返済が困難となった場合、夫の負担額1,800万円のみ、返済義務がなくなります。つまり、連帯債務では全額返済義務の取り消しとはなりません。
連帯債務で住宅ローン借りた場合、借り換えはできるの?
離婚したら連帯債務はどうなるのか?対策と注意点
売却
マイホームを売却できれば、連帯債務を外すことができます。売却価格が住宅ローン残高よりも高ければ、売却して住宅ローンを完済することができます。
しかし、住宅ローン残高が売却価格よりも高い場合は注意が必要です。もしこの状態で売却を行うと、家を手放しても住宅ローン残高は残ったままとなってしまいます。不足分を自己資金でまかなえない場合は、別の方法を検討しましょう。
連帯債務者の変更
連帯債務者を変更したい場合、代わりとなる人を見つける必要があります。
しかし、代わりの人が見つかっても、最終的な承認をするのは債権者である金融機関です。金融機関に状況説明をするなどして、債務者変更の可否を確認しましょう。
住宅ローン借り換え
単独名義で新たに住宅ローンの契約を行うと、連帯債務者を外すことができます。ただし、住宅ローンの借り換え扱いとなるため、契約者は金融機関に納得してもらえるほどの経済力が必要となります。
例えば、住宅ローンを借りた際に収入合算をしていた場合、離婚すると妻が持っていた債務を引き継ぐことになり、今後、主債務者だけで返済が可能であるかを審査されます。
このような状況になった時は、速やかに取り扱い金融機関に確認しましょう。
収入合算をしない連帯債務者であれば、返済比率に影響が出ないので、単純な免責的債務引受を受ければ問題ありません。
連帯債務で借り入れはどの金融機関でもできるの?
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