マイホームを検討してみたはいいけど、住宅ローンって色々種類があって難しいわ…
変動金利と固定金利ってどちらのほうがお得なのかしら
ワクワクのマイホーム購入。
しかし、その上で「住宅ローン選び」という試練を避けては通れません。
借り入れ額も大きく支払期間も長いため、自分にとってベストな住宅ローンを選びたいですよね。
しかし、何を基準に住宅ローンを選んでいいのか分からない方も多いと思います。
例えば、変動金利にするか固定金利にするかはかなり迷うポイントなのではないでしょうか。
そこで本記事では、主に変動金利か固定金利か迷ったときに使える考え方をご紹介します。
この記事を読み終わるころには
- 結局住宅ローンの変動金利ってお得なの?損なの?
- 失敗したくないなら変動金利と固定金利どっちが良いの?
- 変動金利って今後どれくらいまで変動するものなの?
といった疑問は解消しているでしょう。
住宅ローンの変動金利が「お得」だと思う人は変動金利で借りてはダメ!
住宅ローンの金利タイプについては、「金利変動リスク」をどちらが負担するか?という切り口で考えます。
変動金利、当初固定金利が安いのは金利変動リスクを負うから
下の表のように金利変動リスクを負うか負わないかによって「金利≒価格」が決まっているのです。
金利タイプ | 変動リスク | 金利≒価格 |
---|---|---|
変動金利 | 私たち利用者が負う | 低い |
当初固定金利 | 契約期間内において未来が読みやすい前半は銀行が負うが、未来が読みにくい後半は利用者が負う。 | 中くらい |
全期間固定金利 | 銀行が負う。 | 高い |
銀行が確実に儲かるように銀行が自由に金利を上げたり下げたりできるので、金利の変動リスクを私たちが負担する金利タイプ。
▼当初固定金利▼
契約期間内において、借入期間の前半の期間は金利が固定される。動向を読みにくい後半はその時になってから銀行が確実に儲かる金利に設定されるので、金利の変動リスクを私たちが負担する金利タイプ。
▼全期間固定金利▼
借入期間の全期間にわたって金利を固定するので金利の変動リスクを銀行が負担する金利タイプ。
変動金利の上限は利息制限法の年利15%
変動金利は数字としての金利は一番低いですが、それは「金利変動リスク」を銀行が一切負担せず、金利が上がったら銀行が確実に儲かるように金利を上げることができるからです。
上限としては、利息制限法の年15%まで上げられます。
つまり、銀行はいざとなったら15%まで金利を上げることができます。
「今、金利が低いからお得だ」という感覚の人は変動金利を選んではダメな人の典型なんですよ。
絶対に失敗したくない人は変動金利を選んではダメ!
住宅ローンで失敗したい人なんていないと思います。
しかし、失敗する可能性がより低いのは固定金利であり、失敗する可能性が比較的高いのが変動金利です。
想定外に金利が上昇したときにそれに対応できるかが、変動金利か固定金利かの分かれ目になるポイントです。
変動金利が上がったら毎月の返済はどうなる?
住宅ローンの変動金利が上がると、すぐに毎月の返済額が上がるわけではありません。
なぜなら、5年ルールと125%ルールというものがあるからです。
金利を上げても5年間は直前の毎月の元利均等返済額を維持する。
▼125%ルール▼
金利を上げてから5年経過したら、そのときの金利とローン残高に見合った返済額に増やすが、その上限は直前の元利均等返済額の125%までとする。
すごく極端な例ですが、借りてすぐに住宅ローンの金利が15%に上がったとしても、5年間は毎月の返済額がずっと変わりません。
そして6年目から返済額が上がるのですが、その際は最初の1.25倍までが上限になっています。
その後、5年間はその支払額が維持されます。
例えば、3000万円借り入れて、現在の元利均等返済額が10万円だったとします。
ある時突然金利が15%上がっても、5年間は返済額が10万円のままで、6年目から10年目までは返済額が12.5万円になります。
つまり、1.25倍の支払いになっても払えるという余裕があるならば、金利が想定外の上がり方をしたとしても、10年間はこの家を維持することができるということなんですね。
ただし、この5年ルールと125%ルールはすべての銀行の変動金利に共通のルールではありません。
このルールが無い銀行や変動金利の商品もあります。
事前の確認が必要です。
変動金利が上がったらどうすればいい?
金利が上がっても毎月の返済額を維持した場合、元本が底だまりに残ってしまい結局は最終回に一括で返済しなければなりません。
一括で返済できない場合は、金融機関に相談して最終回後に分割できるケースもあります。
しかし、住宅ローンを延長するような措置ではなく、できるだけ早期に完済することを求められます。
そこで、変動金利が上がったときには多額の繰上げ返済によって元本を減らしてしまうのです。
例えば4,000万円を変動金利0.5%で35年元利均等返済で借り入れた場合、毎月の返済額は10万3,834円です。
金利が上がっても、この10万3,834円を維持したまま、当初の35年で完済するには、その時点でいくら繰上げ返済すればいいでしょうか?
いろんな金利で計算してみました。
400万円借入から金利上昇したら繰上返済すべき金額(単位:円) | ||||
---|---|---|---|---|
残期間 | 30年 | 25年 | 20年 | 15年 |
残高 | 3,470万 | 2,927万 | 2,371万 | 1,800万 |
0.5%→1.0% | 246万 | 173万 | 114万 | 65万 |
0.5%→1.5% | 465万 | 331万 | 221万 | 128万 |
0.5%→2.0% | 666万 | 477万 | 320万 | 187万 |
0.5%→2.5% | 847万 | 612万 | 413万 | 243万 |
0.5%→3.0% | 1,010万 | 738万 | 500万 | 297万 |
0.5%→3.5% | 1,162万 | 852万 | 581万 | 347万 |
0.5%→4.0% | 1,298万 | 960万 | 659万 | 396万 |
0.5%→4.5% | 1,423万 | 1,060万 | 730万 | 443万 |
0.5%→5.0% | 1,541万 | 1,150万 | 799万 | 488万 |
例えば、上の表の太字の847万円の意味をご説明します。
借入から5年後には、残期間30年になっていて、そのときの残高は3,470万円です。
今から5年後の時点で金利が今の0.5%から2.5%に上昇したとしたら、847万円を繰上げ返済することで、今後も10万3,834円の毎月の返済で完済できるということです。
これ、どういうことかというと、現行の変動金利0.5%のシミュレーションよりも847万円支払いが増えたということです。
変動金利が今後どこまで変動するのか?を予想する人の残念な勘違い
過去を見て未来を予想しようとすることは、後ろを見ながら夜道を歩くようなものです。
にも関わらず過去の推移によって未来のことが少しでも分かるかのような勘違いをする人が多いです。
「金利は下がり過ぎた、だから上がるだろう」という人はそういう勘違いをしているんです。
しかし後ろに広がる景色は、それまでの道のりがそうであったということ以上でもそれ以下でも無いのです。
今言えることは今の金利が過去最低であることだけです。
なので、今の低金利をベースとして固定する長期の固定金利で住宅ローンを借りるというのは理にかなっているのです。
金利は銀行が握っている
冒頭に述べたように、変動金利は銀行の都合で上げたり下げたりすることができる金利タイプです。
銀行は十中八九、今後上げてやろうと思っているから、今は低いのです。
【金利予想】変動金利が上がるXデーは銀行の営業戦略から2023年~2028年が濃厚
リーマン以前に借りた人が住宅ローンを完済する2023年に上がる
団塊ジュニア世代の人件費がピークを迎える2023年に上がる
この予想は「過去こうだったから、未来はこうなる」という残念な未来予想ではありません。
変動金利はあくまで銀行が操作するものであるため、営利企業としての銀行の習性から銀行の行動を予測したものなのです。
変動金利で借りて良い人は残高をコントロールできる人
変動金利で借りた場合、金利に関しては銀行の方が一枚上手ですし、その後金利を何パーセントにするか、完全に握られています。金利の土俵で勝負しても勝ち目はありません。
「金利」は銀行がコントロールします。
我々は「残高」を握っているのです。
ですので、金利を上げてくる銀行に対して、シンプルかつ最も有効な対処方法は繰上げ返済なのです。
変動金利で借りて良い人は、既にその繰上げ返済資金を持っている人や最初の10年でその繰上げ返済資金を貯蓄できる人です。
「いつどれだけ上がるか分からないから、そういうことは考えない。」というような考えで何千万円もの住宅ローンを借りるのは危険すぎるのでやめましょう。
まとめ~金利が安いという理由だけで変動金利を選んではダメ
変動金利は最も金利が安い金利タイプです。
住宅ローンのシミュレーションをすると、最もたくさん借りられるように見えますので、営業マンがシミュレーションをするときに何も言わないとまず確実に変動金利でシミュレーションします。
しかし、安い金利には金利変動リスクという理由があります。
このリスクをちゃんと理解し、その対策を立てられる人でなければ変動金利を選んではダメなのですよね。
最適な住宅ローンは単純に金利が安いだけで決まるものではありません。
年齢、年収と購入する家の価格によってリスクの傾向と対策も違います。
そのリスクの傾向と対策にマッチした資金計画と住宅ローンを選ぶ必要があるのです。
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