また去年みたいに下がってほしいけど、高くなるなら借り換えできなさそう。
借り換えってどのタイミングでするのがベストなの??
住宅ローンの返済において気になるのが金利!
金利の動向によって借り換えのタイミングに迷っている人も多いのではないでしょうか?
借り換えをすると毎月の返済を下げられることから魅力的ですよね。
住宅ローンの借り換えは、
- 自分が借りた時よりも金利が下がったとき
- 借り換え費用を払ったとしてもトータルの支払いが安くなったとき
この2点が借り換えしてメリットがあると言えるので、ベストタイミングです。
このタイミングを間違うと、安い金利に借り換えてメリットがあるのに毎月の返済が逆に増えてしまう人も居るんですよ。
他にも借り換えの細かいポイントについて解説します!
そこで今日は…
- なぜ住宅ローンの残期間に注意しなければいけない?
- 毎月の返済額と総支払額の考え方とは?
- 年齢と借り換えのタイミングとは?
そちらも踏まえて解説していきます。
今の住宅ローンの残期間に注意!借り換えの期間は年単位で切り捨てになる
あれ、今の住宅ローンってどのくらい残ってるんだっけ…?
住宅ローンの借り換えをしたい時に気になるのが、住宅ローンの期間ですよね。
実は、住宅ローンの借り換えタイミングによっては借り換え期間が短くなる誤算があります。
例えば今の住宅ローンの残期間が10年11カ月だった場合、借り換えローンの期間は11カ月が切り捨てになって10年となります。
つまり、残り131回払いだったのが、120回払いになるわけです。
分割の回数が減ってしまった分だけ、毎月の元本返済額が増えますよね。
利息の減少よりも元本返済額の増加の方が大きくなってしまうことがあるのです。
実際に見てみましょう。
住宅ローンの期間が短縮されるケース
以下の前提条件として借り換えを行ったシミュレーションをしました。
現在の住宅ローンの残期間が13年11カ月だった場合は、1年未満が切り捨てになりますので、借り換えの住宅ローンの期間は13年に短縮されてしまいます。
《現在の住宅ローン》
借入残高:1500万円
残期間:13年11カ月
返済回数:167回
金利:1.0%
《借り換えの住宅ローン》
借り換え費用:50万7200円を現金で払う
借換元本:1500万円
借入期間:1年未満は切り捨てで13年
返済回数:156回
金利:0.44%
(単位:円)
現在1.0% 13年11カ月(167回) |
借換0.44% 13年(156回) |
差額 | |
---|---|---|---|
毎月返済 | 96,253 | 98,948 | -2,695 |
総返済額 | 16,170,362 | 15,534,751 | 635,612 |
借換費用 | 0 | 507,200 | -507,200 |
合計 | 16,170,362 | 16,041,951 | 128,412 |
50万円ほどの借換費用を払ったとしても、支払いの合計では12万8412円安くなりますので、借り換えメリットがあるということになるのですが、毎月の返済では現在の住宅ローンの方が2695円安いですよね。
つまり、借り換えたことで、トータルの費用が少なくなるとしても毎月の支払いは高くなってしまうわけです。
これが残りジャスト14年で借り換えたとしたらどうでしょう?
ほかの条件は全く同じで比べてみましょう。
住宅ローンの期間に変更ないケース
以下の前提条件として借り換えを行ったシミュレーションをしました。
現在の住宅ローンの残期間が14年だった場合は、切り捨てになる月がありませんので、借り換えの住宅ローンの期間は変わらず14年です。
《現在の住宅ローン》
借入残高:1500万円
残期間:14年
金利:1.0%
《借り換えの住宅ローン》
借り換え費用:50万7200円を現金で払う
借換元本:1500万円
借入期間:14年
金利:0.44%
(単位:円)
現在1.0% 14年(168回) |
借換0.44% 14年(168回) |
差額 | |
---|---|---|---|
毎月返済 | 95,719 | 92,080 | 3,638 |
総返済額 | 16,176,370 | 15,561,538 | 614,832 |
借換費用 | 0 | 507,200 | -507,200 |
合計 | 16,176,370 | 16,068,738 | 107,632 |
支払いの合計では10万7632円安くなりますので、借り換えメリットがあるということですが、その代わり毎月の返済では借り換えた方が3636円安い結果となりました。
総支払額を節約したいのであれば、どのタイミングで借り換えても大した違いはありませんが毎月の返済を低く抑えたいのであれば、借り換えのタイミングは残期間が短縮されないように気を配る必要があるのです。
毎月の返済額と総支払額の考え方
毎月の返済額と総支払額はどんな風に考えたらいいんだろう?
返済額と総支払額についてはこのように考えています。
- ✓毎月の返済額=持続可能性の尺度
- ✓総支払額=損得の尺度
住宅ローンとは毎月決まった額を35年なら420回、銀行に払うことだと考えています。
これが正確な定義でないことは百も承知ですが、途中で家を手放さない人にとっての住宅ローンの本質です。
毎月の返済額を最大420回、払いきれば住宅ローンは終わります。
しかしながら支払うことを意識すると、「住宅ローンの現実を感じる瞬間」は「毎月の返済額」です。
毎月の返済額を安全圏に抑えることで住宅ローンの返済を続け、マイホームを維持できる持続可能性の尺度なのです。
これに対して総支払額というのは仮定の数字です。
これが少ないからといって、その分の貯蓄が確実に出来るとは限りませんよね。
毎月の返済が減った分、別のことに使ってしまう可能性だってあります。
しかし、別のことに使えるわけですから総支払額で少ないということは明らかに得であるとは言えるでしょう。
同じ家に住むなら支払いは少ない方が明らかに得ですから損得の尺度なのです。
これを、さきほどの借り換えの2パターンにあてはめると以下のようになります。
毎月の返済額 =持続可能性の尺度 |
総支払額 =損得の尺度 |
|
---|---|---|
期間短縮されるケース | 持続可能性は下がる | 得する |
期間に変更ないケース | 持続可能性は上がる | 得する |
ですから、借り換えのベストなタイミングとは、必ずしも金利が最も安い時であるとは限らないんですよね。
返済期間に変更なく、かつ、総支払額で得をするタイミングがベストなんだと言えます。
もちろん、そのときに金利が底だったら言うことはありませんが、さすがにそのタイミングを狙っていると、最後まで借り換えすることは難しいかもしれません。
残期間が15年を切ると切り捨てられる月数が無視できなくなる
今回のシミュレーションで採用した残期間は14年です。
金利が半分以下になって総支払額で得する要因がかなり高い場合でも、残期間が短いと切り捨てになる月数が無視できなくなってくるという例です。
ということは、残期間が長ければそれだけ切り捨てになる月数を気にしなくても良いということでもありますよね。
借り換えようとしているタイミングで、住宅ローンが20年以上残っていれば、それほどタイミングに神経質になる必要は無いでしょう。
しかし15年を切ると、徐々に切り捨てられる月数の重みが重くなってきます。
自分の年齢と借り換えのタイミング
借り換えのタイミングは定年までの年数、つまり自分の年齢との関係でも考えておく必要があります。
定年退職が60歳とした場合、50歳になってから作るライフプラン(イベント)表、キャッシュ・フロー表はリアルな未来予想図です。
50歳から定年までの10年はそれまでの20~30年間にわたって積み上げたキャリアの延長線上にある10年です。
よほどのことが無い限り大きく上がりもしませんし、下がるにしても緩やかです。
つまり、良きにつけ、悪きにつけそこから先の収入が、ある程度の確度をもって予測できる10年なんですよね。
くわしくは、ぜひ前回のこちらの記事をご一読ください。
定年までに住宅ローンを完済するコツ
30代で住宅ローンをスタートした人が50歳になるのは、11年~20年後です。35年ローンならば残期間は15年~24年です。
残期間が15年を切るとタイミングが難しくなってくるのですから、借り換えるなら50歳になる前が良いですね。
また、50歳を過ぎた頃から病気のリスクが上がってきます。
それにより、『借り換えたいけど、団信保険に加入できない…』という人が徐々に増えてくる世代でもあるのです。
借り換えるなら、若いうちがお勧めです。
借り換え費用込みで借りるのはメリット無し
銀行に住宅ローンの借換シミュレーションをやってもらうと、頼んでもいないのに借換費用をオンして借りる場合のシミュレーションを出してくることがあります。
《現在の住宅ローン》
借入残高:1500万円
残期間:14年
金利:1.0%
《借り換えの住宅ローン》
借り換え費用:50万7200円
借換元本:1500万円
借入期間:14年
金利:0.44%
(単位:円)
借換費用 現金払い |
借換費用 込み |
差額 | |
---|---|---|---|
毎月返済 | 92,080 | 95,194 | -3,114 |
総返済額 | 15,561,538 | 16,087,725 | -526,187 |
借換費用 | 507,200 | ― | 507,200 |
合計 | 16,068,738 | 16,087,725 | -18,987 |
銀行が借換費用込みのシミュレーションを勧めてくる理由は、その分だけトータルの支払いが増える(1万8987円)ので、銀行の儲けになるからです。
また、毎月の支払いも3114円増えますね。
総支払額が増えて、毎月の返済額も増えるわけです。
持続可能性の面ではもちろん、損得の面でもメリットが無いということです。
原則として借換費用は現金で払うことをお勧めします。
金利の引き下げ交渉なら残期間はそのままで金利負担を減らせる
そして、借り換えを考えるなら、絶対に忘れてはならない選択肢が「今の銀行に対する金利交渉」です。
借り換えメリットは金利、ローン残高、残期間の3要素で確定します。
住宅ローンを借り換えることでメリットがあるということは、今借りている銀行の金利を引き下げる交渉が出来るということでもあります。
他行の金利はホームページや広告などで大々的に公表されていますよね。
そして、ローン残高と残期間は今の銀行は当然知っていますよね。
つまり、我々に借り換えメリットがあるということは今の銀行は既に知っていることなんですよ。
お客の方から何も言ってこないので、彼らはありがたく高い利息を頂いているというわけです。
ですから、こちらが実際に借り換えることが出来る(その信用力がある)という事実を突きつければ、銀行としては交渉に応じるしかないんです。
今の銀行で借りたままで金利が下がるなら、どんなタイミングであっても残期間が切り捨てで短縮されることはありません。
これは、大きなメリットですよね!
金利交渉は昼休みに電話一本でOK
『金利交渉』というと、銀行を相手に自分にそんな大胆なことが出来るのか…と構えてしまう人も多いですが超簡単です。
銀行の営業時間中に電話をかけて『住宅ローンの金利の見直しをしてもらいたいです。』と言うだけです。
本人確認のために5分かそこらかかりますが、要するに口頭で金利を下げて欲しいと言うだけなんです。
前述したように、他行の金利、今の残高、残期間…借換のメリットがあるかどうか、銀行は全部知ってます。
借り換えた方が得だということは、こちらがイチから説明しなくても、十分に理解しているのです。
『金利を下げてくれなければ、借り換える用意がある』
これを今まで言われていないので、そのまま当初の約定通りの利息をもらっていただけなのです。
ですから、それを言うだけで金利交渉できます。
それから、銀行の中で幾らまで金利を下げられるか、判断して電話で回答してくるのです。この間およそ1週間ほどです。
下げられない場合でも、別に銀行に目を付けられたりはしません。
そのまま借り換えずに借り続けても、もちろんOKです。家電量販店などで値引き交渉するよりも簡単ですよ。
まとめ~支払いに余裕が無くなってからでは借り換えも金利交渉も困難になる
- 『べつに今の金利で十分に払えているし…』
- 『借り換えなんて面倒なことをしなくても…』
- 『支払いがしんどくなったら、そのとき考えようかな…』
こんな風に思っている人もいると思いますが、支払が厳しくなれば銀行も厳しいです。
我々の立場としては、支払がしんどい時こそ、低金利のローンに借り換えたいですし、今の銀行には金利を下げて欲しいですよね。
しかし、銀行の対応は全く逆なんですよ。
高い金利でも余裕で返せる人には低金利で貸します。
だって、返せなくなる危険性は低いのですから、安い金利でも安心してお金を貸すことが出来ますよね。
逆に収入が減って返済が困難になっている人には高い金利でなければ貸せません。
そもそも貸したくないという判断もあり得ます。
だって返せなくなる危険性が高いのですから、元本が回収できなくなっても損をしないように利息を高くしたいです。
そして返せそうにないなと判断したら、そもそも金を貸しません。
泣き面に蜂、弱り目に祟り目、なのです。
ですから、借り換えや金利交渉はそんなの面倒だなと思っているような、余裕のある時が好機なんです。
金利を下げてもらわないと厳しい!という状態になってからでは時既に遅しの場合もあります。
支払いの期間変更や資金は余裕を持って行いましょう。
住宅ローンについてもっと知りたい・・・
関連リンク...