皆さんにとって、一生のうち一番高い買い物ってなんですか?
世界旅行や高級車、ヨットなど色々ありますが、一番身近で高い買い物はやはり「家」ではないでしょうか。
高額な買い物となる家ですが、人気エリアはさらに金額が上がるにもかかわらず多くの人が暮らしていて、近隣の住宅との物理的な距離が近いですよね。
またマンションなどの集合住宅はもちろん、戸建て住宅だとしても仮に隣の家が火事になった場合、自分の家も被害が及ぶのは容易に想像できます。
では、住宅ローンを組む際に火災保険の加入は必須なのでしょうか?
この記事では火災保険加入が必須なのか、またその理由と加入の方法などについて徹底解説していきます!
住宅ローンの契約時に火災保険加入は必須!その理由とは
結論から申し上げますと、住宅ローンの契約を行う際に火災保険加入は必須と思ってよいでしょう。
長い期間返済をする住宅ローンですが、返済中に火災が起きてしまったら、住宅ローンの返済は残るのに、自宅に住むことは出来なくなってしまいます。
また金融機関としても、住宅ローンはローン対象住宅の土地や建物を担保にお金を貸すため、その物件が仮に火事でなくなってしまった場合、大損することになってしまいます!
そのため、住宅ローンを組む際には火災保険の加入が必須となる金融機関が多いのです。
火災保険の補償内容とは
では、火災保険は具体的にどのようなことを補償してくれるのでしょうか?
前提として、火災保険は「建物」にかける保険です!!
土地は燃えてなくならないため、補償がありませんので、心に留めておいてください。
火災保険は主契約と特約の二つに分けられます。
主契約は、文字通り基本となる補償に関する契約のことで、特約はその主契約だけでは、足りない部分をオプションで補うものを指します。
特約は主契約にセットするため、特約のみでは保険加入できないので注意してください。
主契約は火災に対する補償となりますが、特約で家具などを補償してくれる家財保険を付帯することができます。
建物ほど高額ではないにしても、買いなおすとなかなかの金額になることから、建物以外にも補償してくれるのはありがたいですよね。
また、火災保険といっても補償されるのは火災だけではありません。
特約を付けることで、火災以外の台風や洪水、雪災、落雷などの「自然災害」や、最近では外部からの衝突や盗難、水漏れや不測かつ突発的に起きた事故まで様々な補償を受けられるのです。
加入がおすすめ?地震保険とは
火災以外にも様々な補償があるとお伝えした火災保険ですが、実は地震が原因だった場合に発生した火災などの被害には適用されないのです!
このリスクを補うのが地震保険です。
火災保険では賄えない、地震・噴火またはこれらによる津波を原因とする火災・損壊・埋没や流失による建物や家財の損害を補償してくれます。
ただし地震保険は単独では契約できず、火災保険にセットして加入することができる任意の保険です。
そのことから、火災保険と同じ保険会社でしか契約出来ませんので注意してください。
日本は地震大国のため、地震保険料が高いので加入するか悩んだら、家を買うエリアは地震が多いかなどをハザードマップで確認し、加入の検討材料に入れるのも良いでしょう。
それでも決めかねた場合は、住宅ローンは諸費用を含めて借り入れができるので、最初は加入することをおすすめします。
地震保険は火災保険加入後でも途中から加入はできるのですが、多くの場合時間が経つと申込を忘れてしまい、あとで後悔することになるかもしれないためです。
火災保険料っていくらくらい?金額の目安
火災保険料は以下の項目で大きく左右されます。
- 住宅種別(戸建てorマンション)
- 構造(木造、鉄骨、鉄筋、耐火建設など)
- 物件所在地
- 物件面積
- 補償内容
物件所在地が東京、神奈川、福岡など人口の多いエリアの他、最近地震などの自然災害が多い熊本、関西・中部地方では保険料が高い傾向にあります。
そのように多くの要因で保険料が決まるのですが、例えば以下の場合の保険料の目安をみていきましょう。
<例>加入条件
火災保険 | 地震保険 |
保険期間:10年 保険金額 ・建物:2,000万円 ・家財:300万円 |
保険期間:5年 保険金額:1,000万円 |
<火災保険+地震保険の目安>
マンション/戸建鉄骨 | 戸建木造 | |
火災保険 | 8万~20万 | 12~23万円 |
地震保険 | 2万~3万 | 3万~5万 |
合計 | 10万~23万 | 15万~28万 |
木造の方が燃えやすいのでマンション・鉄骨よりは、やや高めです。
ちなみに上記目安の加入条件でご覧いただいてもわかる通り、保険期間は火災保険と地震保険で異なります。
もちろん保険会社により違いはありますが、火災保険は最長10年、地震保険最長5年という決まりがあります。
実は火災保険は当初多くの住宅ローンと同じく最長35年でした。
2015年10月以降、火災保険は最長10年となったのです。
その要因として、近年大きな被害をもたらすような自然災害が多く発生するようになり、保険会社が長期の収支予測をすることが困難になったからです。
地震保険も同様でその他の災害以上に毎年震度4以上の地震が起きているほど頻繁に被害が出ています。
地震保険はその他の災害よりも多く発生することから、火災保険よりも保険期間が短く最長5年となっています。
家を購入したあとの火災保険加入するタイミングとは
記事の最初で「住宅ローンを組む際に火災保険の加入が必須となる」と述べましたが、家を購入したらどのタイミングで火災保険に加入するのかを説明します。
家を購入する売買契約を締結したあと、家の代金を不動産会社に支払ったタイミングで家のカギを受け取ることができます。
通称「引き渡し」といいます。
この引き渡しの時が火災保険の始期日となるように準備する必要があり、諸費用を確定させるためにも、住宅ローンの契約(金銭消費貸借契約)日までに火災保険のプランを決めておかなくてはなりません。
大きな買い物をすることになるので、必ず「引き渡し」に間に合うよう準備することを心掛けましょう。
火災保険はどうやって加入する?
物件購入の際に火災保険を加入することになるのですが、加入する人は大抵以下の3つのパターンのいずれかになります。
1. 借入先金融機関紹介されたものに加入する
住宅ローンとセットで2~3社の火災保険の案内を受けて、その中から加入するパターンです。それぞれが「団体割引」扱いとなっていますが、次の2よりはやや保険料が高めです。
2. 不動産会社から紹介されたものに加入する
不動産会社の多くは損害保険会社と提携をしているため、提携先の火災保険案内を受けることになります。
大手不動産会社では、複数の会社と提携をしているので、いくつか提案された中から選べることが多いです。
また銀行の紹介した火災保険よりは、保険料は割り引かれていて安い傾向があります。
3. 自身で探して加入する
一番労力がかかりますが、広い選択肢の中から最適な保険を選ぶことができます。
今はインターネットで簡単に調べることができるので、よく商品内容を確認しましょう。
ただし、自分で探し比較検討するとなると、時間がかるので時間に余裕がある人に向いています。
必要な補償をしっかり見極めよう
火災保険も他のものと同様、安いに越したことにありません。
金額を下げる方法は、主に以下2つです。
- 保険金額を下げる
- 補償内容を見直す
保険金額や補償内容が大きすぎないか、しっかり検討してから加入しましょう。
例えば以下の補償内容を外したらどうなるか、具体例を載せますね。
水災をつけない場合
水災を外す人が多い理由は、外すことで保険料を大幅に下げることが出来るからです。
水災とは、台風や暴風雨、融雪等による洪水や最近では、ゲリラ豪雨によるマンホールから水があふれる災害が含まれます。
ハザードマップや過去の統計などを調べても、昔では考えられなかった地域にも最近は洪水被害が多発していることもあります。
一歩間違えると家がなくなり住宅ローンだけが残ってしまうということになりかねませんので慎重に考えましょう。
類焼傷害特約をつけない場合
類焼に関する補償(類焼損害特約)は、近隣住宅が火事等にあったときに補償してくれる心強い特約です。
隣の家まで遠く離れている場合でしたらいいのですが、特に東京や大阪など住宅が密集している地域では加入をおすすめします。
失火責任法により故意や重大な過失がなければ自分の家が火事になった際に隣の家に燃え移ったとしても責任を問われません。
しかし、ご近所付き合いは長く続くものです。
自分の家は補償されて新築同然になったとしても、隣の家は・・・では気持ちよく暮らし続けられませんよね。
保険料は安ければ安いほどよいのは確かですが、費用のことばかりに気を取られ、のちに大きな「後悔」をしないよう気をつけてください。
最後に
土地から購入する人はじっくりと火災保険について研究する時間がありますが、完成済みの物件を購入する場合はそうはいきません。
1か月くらいで引き渡しとなるケースが大半だからです。
また、住宅購入は購入者はやることがたくさんあるため、火災保険にまで手が回らない方も多いでしょう。
しかし、末永く住む新居のためにも、火災保険に少し時間を割いてしっかりと検討をすることをおすすめします。
皆さまの人生で一番高い買い物になるかもしれませんので、住宅購入に少しでもお役に立つことができたら嬉しく思います。
「お値段以上の」火災保険が組めることを願っています。
この記事を執筆した人
株式会社フィナンシャルクリエイト
FP2級技能士・宅地建物取引士
金井 一樹
保険代理店業と不動産業界の経験があり、FP資格だけでなく宅地建物取引士の資格も所持。
現在は「日本にもっとお金の教育を」をミッションに掲げ、金融教育や資産運用アドバイスを行う株式会社フィナンシャルクリエイトで執行役員を務める。
また自身も資産運用のアドバイザーであるIFAとなり、ウェルスマネジメントとリスクマネジメントの両方の観点からコンサルティングを行う、お金の専門家として活動中。
⇒Youtube「お金の教育チャンネル」にて住宅ローンについて解説
https://www.financial-create.co.jp/
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