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柔軟に間取りや設備を変更できる『スケルトン・インフィル(SI住宅)』とは?

2017/07/04

間取り設計


みなさんは、『スケルトン・インフィル』という言葉をご存知ですか?
スケルトン・インフィルとは、主に海外で導入されているマンションの構造形態です。

今回はスケルトン・インフィルとは何か、メリット・デメリットなども合わせてご紹介します。

スケルトン・インフィルとは

スケルトン・インフィルとは何かをご説明する前に、「スケルトン」と「インフィル」それぞれの言葉の定義からご紹介します。

スケルトン

スケルトンとは、躯体(柱・梁・床等の建物を支える部分)のことです。
建物は、スケルトン部分のみで建物構造として成立させなければなりません。このため、強度の高いコンクリートを用いるなど、長期使用を想定した耐久性が求められます。

インフィル

インフィルとは、住戸内の内装・設備等を指します。具体例としては内壁やキッチン・トイレ・ユニットバス、電気設備などが挙げられます。インフィルは、住む人のライフスタイルなどによって変更できることが理想的です。

スケルトン・インフィル(SI住宅)

今回ご紹介するスケルトン・インフィル住宅(※以下、SI住宅)は、スケルトン部分とインフィル部分を分離して考える住宅です。家族構成など将来的な変化に柔軟に対応できるように、間取りや設備の変更がが容易に行なえる造りになっていることが特徴。主に分譲マンションなどの集合住宅に導入され、居住者のライフスタイルや家族構成に合った自由度の高い家選びを実現できます。

これまでの在来工法やツーバイなどは、耐力壁などの壁量でもたせて、耐震性を高めるという発想でした。しかし、それでは間仕切り壁も耐力壁の一部として設計しなければならず、将来の変化に合わせた間取りの変更などは難しい状況でした。

日本国内の普及

SI住宅は、主に中国や東南アジア・中東などではマンションの基本的な売り方として導入されてきました。日本国内で初めてスケルトン・インフィルを導入した住宅が登場したのは2000年ごろ。まだ歴史が浅く馴染みが少ないですが、デベロッパーがスケルトン・インフィル仕様のマンションを提供し始めています。

それでは、SI住宅のメリットとデメリットについてご紹介していきます。

メリット・デメリット

チェックリスト

メリットとデメリットをきちんと知っておこう

メリット

住宅の長寿命化につながる

SI住宅の内部(インフィル)は自由に取り換えが可能であることから、経年劣化を考える必要もありません。結果として、住宅としての寿命が一般的な住宅よりも長くなります。

間取りの変更が可能

一般的な住宅とSI住宅の最も大きな違いは、間取り変更の自由度にあります。SI住宅は、外部構造と内部構造が分離しているため、壁などの仕切りを取り払うことが比較的容易にできます。

SI住宅の内部(インフィル)を躯体が見えるところまで取り去ってリフォームすることを、スケルトンリフォームといいます。
月日がたつにつれて、ライフスタイルにも変化が生じるでしょう。スケルトンリフォームなら、ライフスタイルに合わせた変化にも容易に対応可能なので、1世帯あたりの居住期間が非常に長くなることが考えられます。
また、中古物件を購入した場合、スケルトンリフォームで家の中を新築同様にすることができます。

外断熱で快適

SI住宅は、構造外に断熱材が使用された外断熱となっています。
外断熱の特長として、室内に結露が発生しにくく防湿性に優れていることが挙げられます。
そのため、住宅内は季節関係なく温度や湿度が一定に保ちやすく、快適に過ごすことができるでしょう。

資産価値を維持しやすい

SI住宅は建物としての寿命が長く耐久性にも優れているため、一般的な住宅と比べて資産価値を維持しやすくなっています。

デメリット

リフォームに費用がかかる

SI住宅の魅力は、間取り変更の自由度が高いことです。しかし、間取りを変更するためにリフォームをしようとすると、当然のことながら費用が必要に。
部屋を仕切る壁などは、一般の住宅と同様なので一つ取り去るのに大変な手間がかかってしまいます。いくら自由度の高いSI住宅とはいっても、お金や時間の問題を考えると、可変性には限りがあるといってよいでしょう。

SI住宅の特徴を押さえ、自分にあった家選びを

より良い家選びをしましょう


スケルトン・インフィル(SI住宅)について、興味をもっていただけましたか?

SI住宅の特徴について、簡単におさらいしておきましょう。

  • 躯体(スケルトン)と内部環境(インフィル)を分離した住宅構造
  • 必要に応じて、間取りや内装の変更が可能
  • 住宅の長寿命化につながる

国内での普及率や認知度は高くはありませんが、今後注目され得る住宅選びのキーワードとなるでしょう。一般的な住宅と合わせて検討し、より自分に合った家選びをしたいですね。

文:小倉大将

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