駅前を歩いていると、ふと不動産屋の賃貸情報に目が行くことはありませんか?引っ越しは生活環境をガラリと変えてしまう一大転機。さすがに即決することはないでしょう。それでも、現在住んでいる家よりも良い条件の物件を見つけてしまった場合、もう少し詳細情報を知りたくなってしまうというものです。インプットされた情報が多ければ多いほど、具体的であれば具体的なほど、頭の中で新生活を送っている自分を想像しやすいからです。
一昔前までは、無料で配布されているような冊子や店頭の張り紙広告ぐらいでしか物件情報は得られないものでした。しかし、今ではインターネットの普及により、いつでも誰でも簡単に詳細情報を調べることができます。
非常に便利な世の中になったと言えますが、一概にそう言い切っても良いものなのでしょうか?
不動産屋店内で物件を紹介してもらう場合、あらかじめ接客担当者のフィルターがかかるため、ある程度絞られた情報の中から選択することになります。担当者と親密になることができれば、より自分にとっての優良物件を紹介してもらうこともできるでしょう。
しかし、一個人がウェブサイトで物件を調べようとすると無制限に、かつ機械的に羅列された物件を突きつけられることになります。これだけたくさんの物件を突きつけられては、一体どの物件が自分にとっての優良物件なのか判断しづらいというものです。興味本位でサイトに来訪しているのであれば、調べること自体を辞めてしまえば良いだけですが、もし引っ越しを迫られているような状況であった場合、それはもうストレスです。
前置きが長くなりましたが、私が所属するショーケース・ティービーでは「 仲介名人 」というサービスを販売・運用しており、およそ700サイト以上の不動産ホームページを作成してまいりました。
今回は本サービスのプロジェクト担当者に聞いた、不動産サイトに来訪した際に役立つ『どこを注目すれば優良物件に巡り会えるのか』、そのポイントとちょっとしたヒントをいくつかご紹介いたします。
『取引態様』欄は交渉の余地を図る指標である
不動産サイトにて物件詳細ページ内で『取引態様』という文字を見たことがありますでしょうか?賃貸物件、売買物件問わず、物件詳細ページには必ず『取引態様』という欄があります。
画像は不動産・住宅情報サイト「 HOME’S 」より
サイトによって表現の詳細が異なる場合はありますが、不動産広告を規制する「不動産の表示に関する公正競争規約(表示規約)」により表示が義務化されています。つまり、注文者の利害に影響する非常に重要な項目であることが伺えます。
一見した限りでは少し難しい不動産用語ですが、簡単に言ってしまえば不動産取引における宅建業者の関与がどのような形態(=関係性)であるのかを示した情報になります。ここでは『取引態様』欄に記載されている単語について解説いたします。
「売主(または貸主など)」= 物件の所有者であることを意味します
「代理(またはサブリースなど)」= オーナーから直接委託されているので、ほぼ所有者と同義であると考えて問題ありません
上記2パターンであれば、細かい情報を直接確認することができるので、交渉しやすい傾向があります。また、仲介する不動産会社がいないということを意味しているので、仲介手数料を支払う必要もないというプラスの側面もあります。表現がサイトによって異なってしまうため判断が難しいところですが、以下のような記載もあります。
「専属専任(または専任、または一般、または媒介など)」= オーナーから直接依頼を受け、物件募集を任されている業者を意味します
(※不動産業界では「元付け業者」と呼ばれていることも)
「仲介」= 直接オーナーから委託を受けたわけではなく、元付け業者と呼ばれる不動産会社の募集情報を基に、入居者を探して紹介する不動産会社を意味します。ただし、不動産サイトによっては元付け業者であっても「仲介」と表現しているところもあるので注意は必要です。「専属専任」と「仲介」とでは、双方広い意味では大差なく同じように思えますが、「仲介」となっている場合は物件の取材を直接行っていないケースも見受けられ、物件詳細を把握していないという場合もあります。
以上の理由から「仲介」と書かれている場合は、問い合わせをした際に一旦元付け業者に連絡し、さらに元付け業者から売り主に確認を取って……といった具合に、伝言ゲームのようになることもあります。ストレートな交渉がしづらいということを気にされるようであれば、注目すべきポイントであると言えるでしょう。とはいえ、直接交渉ができる関係性だったとしても、アナタの交渉能力に依存はしてしまいますが……。