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現役女性起業家に聞く!好きなことを仕事にするための成功のカギ

オフィスでPCを使う女性

起業を夢見るなら現実を知っておこう

インターネットが普及したことによって、起業のハードルはずいぶん下がりました。
とくに、女性の起業は年々増えており(出典 東京商工リサーチ:http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20160616_01.html)、「自分のやりたいことで生きていきたい」と思っている人が増えてきたように感じます。
いっぽうで、生半可な気持ちで起業すると大変なことに。

また、出産、育児など、女性にとって大切なライフイベントと重なった場合、両立が欠かせません。
そこで、女性が起業するにあたって、ここだけは押さえておきたいというポイントを、ご自身も出産、育児を経験しながら会社経営をしている現役女性起業家のMさんにうかがってみました。

Mさん(仮名):
東京都出身の事業家。
20代から2社の会社経営に携わり、30代で、出産・育児を経て、女性の生き方・働き方改革をすることを目的として起業。
以降、無借金・黒字経営を継続中。

起業には、家庭を築くのと同じくらいの覚悟を

―起業するうえでいちばん大切な心構えは何でしょうか?

そうですね。「家庭を築くのと同じくらいの覚悟を持つ」ということかなと思います。
最近は、気軽に起業をすることができるようになってきたと思うんです。
会社登記するだけなら、おこづかい程度のお金でできてしまうし、趣味感覚で始めてしまうことも可能。
「うまくいかなかったら、やめればいいや」と思って始めちゃうこともできるのではないかなと。

これって、彼氏や彼女と付き合って、ダメなら別れればいいや、というのと似ていると思うんです。
でも、実際は、起業するだけでなく、「起業して事業を存続させる」となると、「結婚して家庭を築く」のと同じくらい覚悟が必要ではないかと思います。

やりたいことをやるために、「資金」は準備すべし!

子どもを抱く青ストライプを着た女性

家事・育児・事業を両立させる秘密は?


―実際に起業してみて、経験として積んでおいてよかったこと、意識して準備したことはありますか?

良い意味で期待を裏切ることができない回答になりますが、やはり「自己資金」ですね。

ここでいう自己資金とは、何千万円・何億円という規模のものを指しているのではなくて、せめて、事業の初期投資額に加え、自分ひとり、家族がいたら家族を含めて1年間生活していけるくらいの資金のことを指しています。

なぜなら、最初から事業がうまくいくとは限らないからです。
仮に1年無収入でもなんとか生きていけるくらいの資金があると、精神的にも身体的にも事業に専念することができるでしょう。

「事業ドメインが何か」や「普段の生活スタイル」にもよりますが、1千万円以内でも1年間の安心につながるケースは多いでしょう。

わたしの場合は、起業前にある程度の資金を準備しておいたことで、一番大変な企業直後の時期を最小限のリスクで乗り越えられたと思っています。

―出資者を募ることはありましたか?

出資をしていただくと、出資者の意向がさまざまなシーンで出てくる恐れがあります。
せっかく自分がやりたいことを事業として始めたのに、結局、お金を出してくれた方の意向を取り入れなくてはいけなくなるリスクがあるので、その点においても「自己資金」という部分にこだわりました。

「女性」を言いわけにしない

振り返る女性

女性だからできることもある


―Mさんは、経営と同時に出産や育児を経験していらっしゃいますよね。両方こなすとなると、相当な覚悟が必要なのではないかと思います。どのような覚悟をしていたか、また、意識していたかお聞かせいただけますか?

いくつかありますが、とくに、ふたつ。

ひとつは、「出産や育児を経験することでわかることは、すべて事業に活かそう!」と決めたこと。

もうひとつは、「女性だから◯◯なのは仕方ない」、「子どもがいるのに◯◯するなんてできない」のような、女性を理由にした言いわけをできるだけしないように覚悟を持ったことです。

人の心に届け続けるために、「わかりやすい事業」を

―企業が存続するには、常に社会から求められなければならないと思うのですが、そのためには何を意識するべきでしょうか。

それはズバリ「わかりやすさ」だと思います。
どうしてかというと、どんなに社会に貢献できることをやっていても、それが伝わらなかったり、曖昧な形で伝わっていたりしたら、せっかく事業をしていても気づいてもらえないからです。
気づいてもらえなければ、必要としてもらえないし、共感してもらうこともできないですよね。
そうなると、事業自体が続けられなくなってしまう。
なので、「わかりやすさ」を意識して、事業内容を発信するにあたって、「言葉選び」や「ツール選び」にも、かなりこだわりました。

それから、それ以前に、「何をやって、何をやらないか」ということも、慎重に選びました。

―「何をやって、何をやらないか」はどうやって判断しているのですか?

たとえば、「本来の事業の目的とは大きくズレるけれど、スキルやノウハウとしては自社にもできそう」ということがあったとしますよね。
でも、本来の事業の目的と大きくズレているなら、やりません。

あと、「本来の事業の目的とは大きくズレるけれど、たまたま素敵なご縁をいただいたので、やってみようかな」ということがあったとしても、やっぱり目的と大きくズレているので、お互いのために、やらないことにしています。

でも、「本来の事業の目的と多少ズレるけれど、よく考えると繋がっている」という場合には、やるようにしています。

―最後に、起業してよかったと思うことを教えてください。

リスクはあるけれど自由なところです。
起業しても不自由なやり方をしている人を見ると、せっかく事業を起こしたのだからもったいないと思うんです。
リスクと自由を選んだことは、やっぱりよかったし、性格的にも合っていたな、と思います。

しっかり準備して目標に向かおう!

特技を活かした事業を、誰もが始めやすい社会になりました。
女性視点の事業は、まだまだ世の中に少なく、今後さらに注目されていきそうです。
覚悟や苦労は並大抵のものではないと思いますが、Mさんのように、それを乗り越えて人や社会に喜ばれる存在になれたら、素晴らしいですよね。

いざ事業を起こすとなると、想定外の出来事も起こりえますが、それを乗り越えるためには、信念などのメンタル面を含めた準備が欠かせません。
起業を志している方は、しっかりとした備えをしたうえで、目標に向かって頑張ってくださいね!

聞き手・文:阿倍由佳

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