すみかる住生活版

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安心のマイホームは「強い地盤」から。地盤の見分け方を専門家に聞いてきた

2017/03/15

こんにちは。前いえーる 住宅ローンの窓口ONLIN編集長の千歳です。
日本で暮らす以上、地震リスクからは逃れられません。そんな地震大国の日本の住宅は、過去の悲劇から技術的にも制度的にも世界で類をみないほど地震に強い国になりました。しかし、建物の耐震性がどんなに高くても、地盤が弱ければ地震に強いとは言えません。にもかかわらず、私たちは家を探すとき、どうしても立地や建物にばかり目が行きがちで、地盤に対する意識がまだまだ薄いのが現状です。

そこで今回は、「住宅地盤の専門医」として日本全国の地盤調査・解析を手掛ける地盤ネット株式会社の代表取締役である山本強社長と、同社グループのシンクタンクである地盤ネット総合研究所株式会社の取締役・研究開発部長であり、一般社団法人地盤安心住宅整備支援機構の主任研究員でもある横山芳春博士(理学)にお話を伺いました。

地盤調査ってどうやってするのでしょうか?

当社では、独自開発のiGP®という機械で調査をしています。この機械で10mほど地盤に棒を指しこんでその固さを計測することで地盤の強さを判定します。

全自動デジタル地盤調査機 iGP®(写真右:山本社長)

iGP®はスウェーデン式サウンディング試験という宅地の地盤調査ができる機械です。この方式では、調査対象の土地の中心と4隅の5地点のデータを総合して判定するのが特長です。
先の熊本地震の際もそうでしたが、隣同士の土地に建っている家でも、地盤によって大きな被害を受けた家とそうでない家に分かれました。地盤は少し離れただけで強度がまったく変わってしまうため、1地点で計測するのではなく複数地点で計測することが重要なのです。

iGP®は何がすごいんですか?

iGP®の最も優れているところは、フルオートメーションで調査されたデータが位置情報とともに記録されることです。これまでの地盤調査は人が固さを計測していたため、その結果にブレがありました。さらに、データは手書きで記録されるため誤りも起こりえますし、改ざんされる可能性も否定できません。iGP®は人に依存せずに自動で位置情報付きのデータを送信するため、ミスが起こったり改ざんされたりすることがなくなりました。

iGP®についてはこちらの動画もご覧ください。
【iGP®-業界最新鋭の全自動デジタル地盤調査機】
https://www.youtube.com/watch?v=4bFxxfoO2Wg

iGP®の素晴らしさを伝えたいという想いに加えて、地盤業界のイメージアップも狙ってこのような動画を制作しました。この業界は肉体労働のイメージがあるせいか、働く人にとってはどうしてもマイナスな印象を持たれることが多いのが事実です。しかし、iGP®によりシステマテックになった今、そのような過去の業界の印象を払拭したいと考えています。人々の安心な暮らしを支えるという、誰から見ても世の中のためになることをやっているこの業界で働くことに興味のある方は、ぜひ一度地盤ネット社のWebサイトを見てみてください。

個人で調査を依頼すると、いくらかかりますか?

最近は個人のお客様からの依頼も増えてきており、1件約5万円から調査ができます。安心の住まいを手に入れるための費用としては高くない費用だとは思うのですが、もう少し手軽に確認したいという方向けには「JIBUN no JIBAN」というアプリがお勧めです。

私たちは日本全国で1日約300件、多い日には700件近くも地盤調査を行っています。これだけの量の調査データが日々蓄積されると、実際に調査していないエリアも含めて、日本のほとんどのエリアの地盤の強度を統計的に判別できるようになってくるんです。これら自社データと公的なオープンデータをもとに、無料で地盤リスクの目安を手軽にチェックできるようにしたのがこのアプリです。

JIBUN no JIBANアプリ画面

このように「地盤安心スコア」として点数が表示されるので、誰でも簡単に地盤リスクを確認することができます。地盤に対する知識がなくても、点数さえ見れば目安がわかるようになっています。

また、特定の住所の地盤情報や近隣の地価情報を知りたい方には、「地盤カルテ」というサービスも提供しています。住所を入力していただくと、その土地の情報をすぐに確認することができます。

地盤カルテレポート画面(サンプル)

これが地盤カルテのサンプルです。この物件は100点満点中85点になります。80点以上はとても良い地盤です。この地盤カルテの発行数は20万件に迫っており、地盤に関心を持つ人が増えているのだと実感しています。公示価格(土地価格の相場)もあわせて表示しているので、地盤が強いけれども価格の低い場所が見つかると、それはお得な物件ということです。

地盤が強いのに安い土地があるんですか?

あります。実は地盤はこれまで、なかなか点数化されることがなく、情報がオープンになりませんでした。ですから、地盤の良しあしが不動産価格に反映されにくいのです。
わかりやすいのは、駅近の物件です。人気があり価格も高いですが、駅周辺というのは実は地盤が弱いケースが多々あります。一方、駅から10分以上の土地には地盤の強いところが多くあり、こういった物件はとてもお得だと言えます。

将来的には、地盤情報がもっとオープンになって不動産価格に反映され、どの不動産も価値に見合った金額で取引されるようになれば理想だと考えています。

また、2017年2月28日には、地盤調査済みで一定の安全性を担保できる物件のみを紹介する不動産マッチングサイト「JIBANGOO(ジバングー)」をリリースしました。これから家の購入を検討される方は、JIBANGOOで検索してみてください。現在は建売住宅が主ですが、今後は中古住宅や賃貸物件、土地などの物件も拡充していく予定です。

JIBANGOO画面

いえーる すみかる編集部のまとめ

地盤の情報をオープンにして、生活者の不利益を解消したいという山本社長・横山博士の熱い想いに感動した今回の取材でした。こんなに簡単に地盤の情報が手に入るアプリやサービスは、近い将来、家探しのマストアイテムになるはずです。まずはJIBUN no JIBANや地盤カルテで今住んでいる場所の地盤を調べて、「JIBANGOO」で良い地盤の物件を探し、地盤に対する興味を持つことから始めてみてはいかがでしょうか?

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