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東京23区を検証! 地震・火災・水害に強い街を探せ

住まいを選ぶとき、必ずチェックしておきたいのが災害に対する強さです。日本は世界に類を見ないほど地震が多く、東日本大震災や熊本地震は記憶に新しいところです。また、近年は台風などが原因の水害も全国的に多発しています。

災害は、「自分はだいじょうぶ」と思っても、いつ、どこで起こるかわかりません。住まい選びをする際は、できるだけ災害に強い地域を選びたいものですね。そこで、東京都23区のなかで、地震、火災、水害の3つの災害に対して、それぞれに強い自治体を、地形や地質、地域の取り組みなどをもとに、検証していきたいと思います。

盤石な千代田区! ただ、いざというときのウィークポイントも

自然災害というと、まず思い浮かぶのが地震ではないでしょうか。土地や建物を購入する場合はとくに(マンションも含め)、地盤が緩い地域は注意したいところです。

千代田区は地盤も盤石で揺れが少なく、ほぼ全域で建物倒壊危険度が最低ランク、つまり安全性の高い地域です。ほかに、練馬区、渋谷区、世田谷区も、ほぼ全域で危険度が低くなっていました。逆に、古い木造建築が密集している墨田区、台東区、荒川区は、地区全体の倒壊危険度が高い結果となっています。
●参照 東京都都市整備局 建物倒壊危険度ランク:http://www.toshiseibi.metro.tokyo.jp/bosai/chousa_6/kikendo.htm#toukai

しかし、ここで注意したいのは、地震が起こったときに無事に帰宅できるかどうか。
「安全性が高い」と前述した千代田区は、住む人にはよくても、区外から通勤・通学している人にとっては、最も帰宅が困難になる恐れがあります。ほかに、中央区、港区、新宿区は要注意です。
●参照 DIAMOND online:http://diamond.jp/articles/-/13323

それを考えると、地盤がしっかりとした世田谷区や練馬区が、住む人にとっても、通勤・通学する人にとっても、安心・安全の地区と言えそうです。
とくに、世田谷区は、自治体全体に避難場所が散らばっているので、あらかじめ確認しておくと、いざというときに落ち着いて避難しやすいかもしれません。
●参照 東京都都市整備局:
http://www.toshiseibi.metro.tokyo.jp/bosai/chousa_6/chiikikiken.htm

火災が少ない目黒区には、たくさんの○○があった!

消防車と消防士の粘土人形

地震の際、揺れがおさまってから注意したいのは火災。火災は、単に発生件数だけでなく、延焼による被害の拡大が怖いです。

震災後の火災被害が全域で少ないとされているのは、千代田区、渋谷区、港区などです。逆に、多いと予想されるのは、地震による倒壊被害の危険性も高い墨田区や荒川区を中心とした東部でした。
●参照 東京都都市整備局:http://www.toshiseibi.metro.tokyo.jp/bosai/chousa_6/kikendo.htm#kasai

ただ、火災というのは震災のときだけでなく、普段から起こりうるものです。
過去5年間のデータを見ると、住宅火災による死亡率は、低い順に、千代田区、目黒区、港区及び渋谷区となっていました。逆に、中野区、板橋区、北区は高い結果に。

2番目に住宅火災死亡率が低かった目黒区では、初期消火への取り組みが充実しており、区内各所に合計約4,600か所、約60mに一本の割合で、街頭消火器を設置しています。

さらに、小中学校や公園など、区内59か所に情報伝達のために防災行政無線を設置し、食料や毛布などの日用品の備蓄も15か所で備えられているので、総じて災害対策に力を入れている自治体といえそうです。
●参照 目黒区:http://www.city.meguro.tokyo.jp/gyosei/keikaku/torikumi/anant/shinsai.html

荒川区では、避難時に援助を必要とする人をおぶって避難させる、通称「おんぶ作戦」に取り組んでおり、お年寄りや要介護の方がいる世帯は、チェックしておくと安心ではないでしょうか。
●参照 荒川区:https://www.city.arakawa.tokyo.jp/kurashi/bosaibohan/sonae/enjotaisei.html

海抜が高くても油断できない! 台風やゲリラ豪雨に備えよう!

自然災害といえば、地震にともなう津波、または台風など、とくに海抜が低い地域や川・海沿いは水害が気になるところです。

葛飾区、墨田区、江東区、江戸川区などは、海抜0kmの地域が多く、さらに荒川沿いということもあり、水害のリスクは高いといえそうです。
●参照:国土交通省 国土地理院:http://www.gsi.go.jp/common/000061812.jpg

逆に、西部の練馬区、杉並区、世田谷区は海抜が高いので、一見安心です。
しかし、2005年に多発した集中豪雨によって、海抜が高く、大きな河川もない杉並区や中野区の浸水被害が最も多かったのです。どこに住もうと水害対策は欠かせません。
●参照:土木学会誌:https://www.jsce.or.jp/journal/jikosaigai/20051105.pdf

住んでいる街の標高、川の位置や水位、自治体が公表しているハザードマップをチェックし、もしものときにどこへ避難すればよいのか確認しておきましょう。

最後に

災害はいつ起こるかわからず、この場所なら絶対に安全ということはありえません。大切な自分や家族の命、また財産を守るためにも、できるだけリスクは避けたいものです。

可能な範囲で危険の少ない地域に住むのも賢い選択といえますが、どんな地域に住むにしろ、一度家族で防災についてよく話し合い、意識を高めることで万が一のときの危険を減らせるのではないでしょうか。

文:阿倍由佳

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