近年、核家族率が高くなったことや共稼ぎの家庭が増えたことにともない、ベビーシッターを利用する人が増えてきました。
ベビーシッターを利用することで、保育園のお迎えを気にすることなく残業ができたり、子連れで行けない場所に行くことができます。また、美容院に行ったり、友達とランチに行ったりと自分の時間を持つことも可能になります。
このように便利な反面、預けられていた児童が遺体で発見されるという痛ましい事件が発生することもあります。安心して我が子を預けるためには、どのようなことに注意すれば良いのでしょうか。
実は、これを書いている私はベビーシッター経験者で、ベビーシッター歴10年になります。
〝細かいところにまで気を使ったお世話をしてもらえる″
〝カウンセラーでもあるから、育児をはじめとする悩みや相談にものってもらえる″
〝お願いすれば、食事づくりの依頼も受けてもらえる″
などの評価をいただき、長期にわたって指名を受け、多くの方から好評を得ています。そんな私の実体験にもとづいた〝安心できるベビーシッターを選ぶためのいくつかのポイント″をご紹介します。
ベビーシッターにはどんな人がいるの?
ベビーシッターには、資格が必要ないということをご存知ですか?ベビーシッターに国家資格はなく、自治体への届け出の義務もありません。
ベビーシッターは、おおまかに以下の2つに分けられます。
1.「ベビーシッター事業所」に所属して仕事をしている人。
2.「個人」で仕事をしている人。
なかには、ベビーシッター事業所独自の資格をもっている方や、保育士の資格をもっている方もいますが、〝自分の子育ての経験を活かしたいから″、〝子どもが好きだから″、〝空いている時間で仕事ができるから″、といった理由でベビーシッターの仕事をしている方が大半です。
安心して任せられるベビーシッターを1人見つけておこう
ベビーシッターは、母親が不在のときに依頼することがほとんどです。子どもと2人きりになるわけですから、お子さんの安全のためにも、信頼できるベビーシッターを探すことが大切です。
BS朝日『ザ・インタビュー』に出演した研ナオコさんは、こんな体験をなさっています。
仕事に追われていたときに、ベビーシッターを雇った。しかし、仕事に出かける時、子どもたちが泣く姿″を見て異変に気付いた。そこにはベビーシッターの暴力があった
(BS朝日「ザ・インタビュー」http://www.bs-asahi.co.jp/interview/prg_168.html)より引用
他にも、仕事先のお母さんから実際にこんな話を聞きました。
母親が在宅時にシッターをお願いしたところ、「お昼寝してください。お昼寝してください」とあまりにも言われるので、昼寝をしました。しかし、起きてみるとベビーシッターはソファーに座ってスマホを触っているだけで、なにも仕事をしていませんでした。
この2つは極端な例ですが、いつかこのようなことが起こる可能性があるのです。だから、1人でも信頼のおけるベビーシッターを見つけておくと安心して子どもを預けられます。では、どのようにしたら良いベビーシッターを探せるのでしょうか?
金額の安さだけで決めていませんか? 良いベビーシッターの見分け方
ベビーシッターへ依頼する必要が急に発生しても、事前調査が十分にできないものです。そのため、早めにネットで、どんなベビーシッター会社やマッチングサイトがあるのか調べておくと良いでしょう。
お住まいの自治体の情報や、公益社団法人全国保育サービス協会に加盟している会社のリストなども参考になります。
■厚生労働省:ベビーシッターを利用するときの留意点
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosodate/babysitter/
他にも、以下のような項目を事前に考えておいて、チェックしていきます。
・料金(早朝、深夜などの利用は、加算される場合があるのでそこもチェック)
・何日前までの依頼なら受けてもらえるか
・どんなことをしてもらえるのか
気に入ったシッター会社やマッチングサイトが見つかったら、まずは電話をしてみることが大事です。
これも実際に仕事先のお母さんから聞いた話ですが、つわりがひどく、上の子どもの世話を頼もうと電話したところ、「うちは3日前までの予約ですので、そんな急な依頼は受けられません」と、けんもほろろに言う会社が多かったそうです。
けれど、ある会社だけは「それは大変ですね。急なご依頼なので見つかるかわかりませんが、探してみますね。お大事に」と言ってくれたそうです。電話口での対応で、その会社やマッチングサイトの姿勢がわかります。
できれば最初に面接をするようにしましょう。それができない場合は、在宅の時に一度お願いしてみてもよいでしょう。シッターさんのチェックポイントはこのあたりでしょうか。
・第一印象がよい
・明るく、清潔感がある
・子どもを抱っこしてもらい、そのときの対応を観察する
・なぜベビーシッターの仕事を選んだのか聞く
また、仕事先でこんなお話を聞いたこともあります。
”シッター会社から派遣された人は足腰が痛いという高齢の方で、「赤ちゃんの抱っこはできませんから」と断言された。”
”ベビーシッター育児支援(育児だけでなく、料理や掃除、洗濯などで子育てをする親を支援すること)で料理をお願いしたとき、料理本に載っているとおりの材料がないとできないと言う人がいたり、3時間かかって2品も作れなかった人がいた。”
何をしてほしいか事前にきちんと伝え、その仕事の様子をチェックすることが大切です。仕事終わりにはレポートを書いてもらうことも大事です。不在時にお願いするときに、お子さんの様子を知る大切な手がかりになります。良いと思うベビーシッターが見つかったら、次回依頼するときにはその人を指名しましょう。
最後に忘れてはならない、もうひとつの大事なこと
初めてベビーシッターをお願いするときに気が引けたり、病気の子どもを置いて仕事に行かなくてはならないときに罪悪感を感じる方がいますが、ときには、他の人の力を頼ることがあってもいいのです。全部自分でやろうと考えると、心身ともに疲弊します。
上手にベビーシッターを利用し、母子ともに心身を健康に保ちましょう。
文:山庭さくら